第10話「縦割り③」
その頃、有澄と凛、アマネの戦いは佳境を迎えていた。
「アマネ、作戦通りにいけよ、」
凛はそう言うと、時計をセットし叫んだ。
「サモン解除!1.5.2 アフターユニゾン!」
三体に分身している有澄の上にはそれぞれ時計から持ってきただろう数字にかたどられた物が1.2.3と浮かんでいた。有澄は鉄のようなものでバリアを張っている凛とアマネが出てくるのを待っているようだった。
「凛くん!いけると思う!」
「了解」
アマネはバリアからとび出て、飛んできた硬い板のようなものにアマネは勢いよく飛び乗った。
(考えろ。先輩は分身。分身が本体と全く同じとは考えにくい。どこかに綻びがあるはずだ!この板を操れるのはあと約5分。アマネがこの状態を維持できるのも5分くらい。あと5分でカタをつける。)
「アマネ、先輩の動きに注目して!どこかに必ず差異があるはず!」
「差異、」
アマネは攻撃してくる3人の有澄から避ける板から落ちないようにバランスを取りながら、3人をじっくり見つめた。
「あ!凛くん!1人が絶対最初に動いてる、かも!」
「それだ!それがきっと本体だからそれに銃を放って。」
(銃は引き金を引いて、狙いは頭!お願い、手震えないで、)
「アマネ!深呼吸!」
アマネは凛の声で深呼吸をし、3人に向かってそれぞれ1弾放った。どれも頬をかすり、致命的な傷にはならなかった。そんなアマネを見て1人の有澄がアマネのところへジャンプした。その瞬間アマネももう1発弾を放ち、有澄の頭にヒットした。その有澄はそのまま下へ落ち叩きつけられたように見えた。
「アマネ!すごいぞ!ナイス!」
板が床に着き、降りてきたアマネに凛はハイタッチを求めた。
「ありがとう、凛くんのおかげ、」
アマネも手を出しハイタッチをしようとしたが、とつぜん2人とも床に倒れた。
「なんで、本体が消えても分身は残るのか、」
凛は自分を床に倒し、押さえつけている人に聞いた。
「バカなの?私が本体だからに決まってるでしょ」
そう言うと2人を解放し、分身を消した。
「そんな、私は本体を打ったはずなのに、」
アマネも驚いて有澄を見つめていた。
「あのね、せっかく分身使えるのに自分自身を特攻させるわけないでしょ?少し見込みが甘かったね」
「なるほど、それは俺の判断ミスだ!勉強になります!」
凛は目をキラキラ輝かせてお礼を述べた。
「おっ!そっちも終わったみたいだな!」
雨汰は有澄の隣に立った。
「さすが俺の相棒!圧勝だな」
雨汰は誇らしそうに有澄へ話しかけた。
「そんなに私を見くび、」
有澄は雨汰の無傷な姿を認識し、口が止まった。
「どうした?」
「な、なんでもない!」
(ちょっと後輩に勝ったからって、なに。新人に傷をつけられて恥ずかしくないの、雨汰は私よりもっと先にいる。私じゃ雨汰に追いつけない。)
「あのさ、有澄。俺言いたいことがあって!」
雨汰は妙に改まって有澄を見つめると有澄の手を取って握った。




