方向音痴な伯爵令嬢が取り持つ縁
滅茶苦茶な文章ですが目を瞑って最後まで読んでいただけると幸いです。
本日は王宮で夜会が開催されている。
だがそんな状況にも関わらず王宮内で迷子になってしまった伯爵令嬢が一人。
しかし彼女は今までこんな風に迷子になってきたことが沢山あった。
例えば一月前、我が伯爵家の庭園で散歩していたところ何故か道を誤って迷子になったし、三ヶ月前には今と同じように王宮内でやはり迷子になった。昔から方向音痴なのは変わらない。
けれども毎回すぐに婚約者であるユベールが見つけて、事なきを得ていた。
彼女には不思議に思っていたことが1つあった。
『なぜユベール様はどんなに探すのが難しい場所であっても、すぐに見つけてくれるのでしょうか?』
ちなみに現在彼女が居るのは、恐らく王宮の庭園らしき場所だ。沢山の薔薇が植えられており、とても美しいことで有名だと聞き及んでいる通りの光景に、多分そこだと見当がついた。
状況を忘れ少しばかり散策に耽る内、少し先にある噴水に座っている人影が見えた。これはまたとないチャンスだ。あの方に会場までの道を聞くしかない。
近づき声をかけた。
「あの、つかぬ事をお聞きしたいのですが」
しかしその人は、道を聞こうと途端いきなり泣き出したのだ。
「うぅ、どうして私はいつもこうなのかしら。本当は殿下のことが大好きなのに」
そう言って泣き出したのは侯爵の茨姫と称されているヴィオレッタ・リンブル嬢だった。才媛として有名な上、見た目もとても美しいが、自身にも他人にも厳しい態度で接するため、少し近寄り難い雰囲気を持つ女性。そんな彼女に密かに憧れる令嬢は多く、私自身もその1人だった。
彼女はこの国の第三王子の婚約者だ。
憧れのお方が王宮でのパーティをほっぽり出して涙を流している、となると何か力になりたいと思った。例え断られても構わない、それよりこの状態の彼女の方が心配だ。
勇気を振り絞りハンカチを差し出す。
「すみませんヴィオレッタ様ですよね。私はアリスと申します。よろしけばハンカチをどうぞ。何か悩み事があれば相談に乗りますよ?」
急に話しかけた私に驚いた様子で目を見開いたが、彼女はハンカチを受け取ってから、おずおずと口を開いた。
「私殿下のことがとても大好きなの、でもいつも素直になれなくてその度に可愛らしくない言葉を吐き出してしまうわ。褒められても好きって言われてもついつい刺々しい言葉を口に出してしまうのよ。きっと殿下もこんな可愛らしくない娘なんて婚約者にしておきたくないはずよ」
しかしいつも凛としている彼女が人目につかないようなこの場所で泣いているのにはもっと理由があるに違いない。
「今日なんて酷かった。殿下と男爵令嬢が楽しそうにお話しているのを見て嫉妬をし、殿下が隣にいるにも関わらず彼女に向かって『私の殿下を盗まないでくださいこの女狐!』と叫んでしまったわ」
もしかしてその男爵令嬢というのはアルメリア・ルビー嬢ではないのか。この男爵令嬢、私の大好きなユベール様にも以前ちょっかいを掛けていた。イケメンとなればなりふり構わず声を掛ける方という印象だ。
そりゃうちの婚約者は確かにイケメンだ。長い銀髪に琥珀色の瞳、優しくてどこから儚そうなとても素敵な容姿をしている。
ユベール様の時は彼が私にベタ惚れだったから彼女に見向きもしなかったが、実際に彼女の手に堕とされたという子息の話もある。
ふわふわしてて庇護欲をそそるような可愛らしい見た目をした女性。そんな人に甘えられたら男はイチコロかもしれない。
しかしヴィオレッタ様はそこまで気負う必要がないと思う。だって、
「ヴィオレッタ様、お口を挟んでもよろしいでしょうか?ヴィオレッタ様がそこまで気負う必要はございません。だって殿下は明らかにヴィオレッタ様が大好きでいらっしゃいますわ」
「え?どういうことかしら」
「ヴィオレッタ様は感じたことございませんか?殿下がヴィオレッタ様を見つめるときのあの瞳。あれはいかにも愛らしい人を見つめるときの瞳ですよ」
「そんなことないわ。だって」
と、彼女が反論しようとすると足音が聞こえる。
「ヴィオレッタ!」
あら、ヴィオレッタ様に迎えが来たようだ。このお声は第三王子、イグナーツ殿下だろう。
やっぱり愛されてるなぁ。ヴィオレッタ様を見つめるときの彼の瞳には、相変わらず熱が籠っている。
「ヴィオレッタ、先程は済まなかった。あの令嬢とは何も関係がない。社交辞令として話していただけだ。俺が愛してるのはただ1人、ヴィオレッタだけだ」
そう言うと殿下は彼女を抱きしめた。
殿下の後を追うように別の足音が近づいてくる。
「殿下ぁ、どこ行っちゃったんですかぁ。私ぃ、寂しいですのぉ」
この声はアルメリア嬢だな。甘ったれた声で殿下の元へ近寄ってくる。
「アルメリア・ルビー嬢、申し訳ないが俺が愛してるのはヴィオレッタだ。もうこれ以上ヴィオレッタに悲しい思いはさせたくないから俺に擦り寄ってくるのは辞めてくれ」
ショックだったのか彼女はとても怒りながら喚き出す。
「酷いわ!どうして私ではなくヴィオレッタ様がいいのよぉ!!」
アルメリア嬢は遂に本性を表した。
そんな彼女に対し
「昔からどんなに学業や武芸など先生から叱られて辛くて挫けそうになっても傍で支えてくれた。いつも隣で向き合ってくれた彼女が大好きなのだ」
平然と惚気ける殿下、そして殿下の腕の中で抱きしめられながらお顔を真っ赤にしているヴィオレッタ様。もう幸せになってください!
そこまで聞いたら恥ずかしくなったのかアルメリア嬢は悔しそうに逃げていった。これで男漁りも減るといいのだけど。
とても幸せそうなヴィオレッタ様を見ると安心する。
「ありがとう、ハルモニア伯爵令嬢。今度何かお礼させてほしいわ。今度私が主催するお茶会があるのだけど是非来てくださるらしら?」
そう言って微笑むヴィオレッタ様は女神のように優しい表情をしていた。
そんなの了解以外の答えなんてない。だから私も満面の笑みで
「はい!ぜひその時はよろしくお願い致します」
と答えた。
約束を取り付けヴィオレッタ様と殿下は去っていき元々近かった距離が更に縮まったような気がする。
それはいいものの...殿下達が去って気づく。私、迷子のままなのだけどどすればいいのか。
そう思っていた矢先
「アリス」
後ろから聞こえるこのお優しい声はユベール様だ。良かった、迎えに来てくれた。
今日エスコートされた際1回会ったけどやはり上品で美しい着こなし。大好きな彼を見るだけで安心する。
「また迷子になったみたいだね。今日は王宮の庭園かぁ、相変わらずだね」
「はい、お恥ずかしながら迷子になってしまって。ですがユベール様が見つけて下さったので安心です」
「良かったよ、今日も見つけられて。じゃあ会場に戻ろうか」
そしてユベール様の手が差し出された。その手に私の手を乗せて戻るとしよう。
さて、さっきまで疑問に思っていたユベール様がなぜ私をすぐに見つけられるのかなんてことはすっかり忘れていた。
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実はユベール様、アリスちゃんにGPSらしきものを付けてたりする(世界観は突っ込まないでください)
登場人物紹介
アリス・ハルモニア→この作品の一人称で方向音痴な伯爵令嬢。自分の見た目を普通と思っているが割と美人。方向音痴なこと以外あんまり欠点がない。若干ユベールのGPSにも気づかないような鈍感な一面もある
ユベール・アルカディア→アリスの婚約者で次期侯爵当主。アリスのことを溺愛しておりよく迷子になるから内緒でGPSを付けてたりする。儚い見た目のイケメン
ヴィオレッタ・リンブル→侯爵令嬢で第三王子の婚約者。侯爵家の茨姫という2つ名がある。才媛で美少女。素直になれないけど彼のことが大好き。
イグナーツ・ルミナリエ→この国の第三王子。素直に愛を伝える人。優秀で兄である王太子を支えたいと思ってる。
アルメリア・ルビー→男爵令嬢。ぶりっ子で面食い。本性は言わずもがな
読んで頂きありがとうございます。滅茶苦茶な文章ですみません。