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ガキンチョ女神との出会い
--ああ、毎日がめんどくさい。
Sin,cos,tanなんて社会に出てから何時使うのだ。歴史上の偉大な人物?そんな奴らの名前を覚えてなんの得がある。
俺は、こんなつまらない事を教え込まれる為に高校生になったんじゃないぞ。
そんな悪態をつきながら俺はいつも通り、1年A組の教室に入ろうとドアノブに触れた。
「その願い。叶えてあげる!」
ドアノブに触れた瞬間可愛らしい女の子の声が聞こえた。
聞こえたと言うよりも直接頭の中に響いたという感覚に近い。
「ああ、現実を悲観してついに幻聴が聞こえるようになったか」
俺はそんな事を呟きながらドアを開ける。
「あ、すみません。間違えました。」
俺は静かにドアを閉めた。
「ちょっと待って!合ってるの!合ってるからどっか行かないで!」
今度は頭ではなく、耳に先程の女の子の声が入ってきた。
ドアの向こうには、黒板に教卓、学習机と椅子が並んだいつもの1年A組の景色があるはずだった。
しかし視界に入った景色は、奥行き、高さ不明の紫紺の空間とその中心に偉そうに腰かけた赤髪の少女だった。