推しの情報
「…と言ったってなぁ。何をすれば良いのか?」
『推しと仲良し大作戦』をすると決めたは良いものの、父もとい推しに冷遇されてる私がまず何をすれば良いのかが見当つかない。
「まず情報を整理してみよう。」
父もとい推し≪アーサー・レオンハート≫は『ドラグニカ・ファンタジア』の沢山ある作品の一つ『レオンハートキングダム』の主人公であり、仲間と共に世界を支配しようとするドラゴンとその僕たちを倒す旅に出て見事倒したのだ。
しかし、その旅の途中で≪モルガナ≫と戦い呪いの言葉を吐かれる。
そこに「その言葉があろうと2人で乗り越えましょう」と優しい言葉をかけてきた婚約者、もとい私の母である≪ネヴィア≫と共に国を盛り上げていこうと結婚するシーンでゲームは終わった。
「そして私が産まれ、母は亡くなった…と。」
そう、アーサーの心のオアシスであったネヴィアは私を産んだ数年後に亡くなったそうで。しかもその忘れ形見であるはずの娘はよりによってモルガナ似。
「こりゃ普通に病むよなぁ…。」
父の冷遇には意味があった。しかし
「おかげで私も病んだしひねくれましたわ…」
理由も伝えられず、母の愛も知らない中での父からの冷遇。おかげで娘も病みましたよ、えぇ。
理由(前世からの情報)を知ってからは今までの病み具合は多少良くなったけれどもそれでもまだ私は納得出来ない。そもそもモルガナ似と言うよりは父であるアーサー似だというのが当たり前なのだ。しかも父は私に所謂国語以外の教育係も付けたことがないのだ。一国の姫として知識は大事であるにも関わらず。
「知識を付けたら反逆するとでも思ってるのかな…?」
多分理由はこれだ、絶対これ。反逆させないためにわざと知識をつけさせないようにしてるのだ。そして外にも出さないなら別に良いとでも思っているのだろう。かつての輝いていたかっこいいヒーローな推しとは思えないほどの所業。ひどい。
「…これは父に直談判するしかあるまいな…。」
まともに話を聞くとは思えないけれど、外にも出してもらえずまともに教育もされず。このままじゃ絶対にヤバイ!というかこのままじゃ一国の主である父もヤバイ気がする!あんなに苦労して王様になったっていう経緯を知ってるいちファンとしても今の推しの現状は辛い!
「…お父様にお願いしてみるかぁ…ダメ元で。」
とりあえず教育係をつけてもらうのと中庭位には出させてもらうように頼もう。方針は決まった。
いよいよ次回アーサーパパ登場です。頑張れモルドレッタちゃん。