プロローグ03:女性
…私はこれからどうすればいいのだろうか…今ここで自分の体が変だということを言ったほうがいいのだろうか?それとも、何も知らないフリをしていたほうがいいのだろうか____
…こんな風に悩むくらいなら、いっそ、うちあけてしまえば__そう思ったときだった。
「おい、あれは起きたのか?」
突然、ノックもなしに黒服の、スーツ姿の女性が入ってきた。
背筋がいきなりぞっとした、いや原因はわかる、この人だ。
本能的に察するにこの人には勝てない、何か武術でも習っていたのだろうか、立ち姿からまるで攻撃的な意思を感じる。
多分それだけだったらここまでにはならないだろう、気が桁違いも大概名レベルで違う…まるでレベル1の勇者がレベル1000の魔王に出会ってしまったかのような物だった。
「そうなんだよ、目が覚めたね、例の子」
「ふん、そうか…」
__例の子?
「えっと、その…?」
何かを聞いておかなければいけない、でも言葉は何も出てこなかった。
そんな混乱している姿を見て医師はやさしげな口調で
「あわてなくても大丈夫だよ、命をとりはしないからね」
そう微笑みながら私に言いかけた後__
「あと君はね、初対面の人にそんな殺意を向けない、それでも交渉に来た口なのかい?」
だいぶあきれた口調で女性になだめるように言った。
…何が起きているんだ?
「…フン…」
女性は医師が座っている椅子の近くの壁に寄りかかった。
…あんまり反省はしていないみたいだったけど、さっきよりは気を抑えてる様な感じだった。