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どうでもいいプロローグ

3月も半ばにはいる頃だった...まだ桜の木にはつぼみがあるかないか位だった

少しずつ暖かくはなっていたものの、少し風が吹けばまだ肌寒く感じることが多い日だった...

そんなある日___僕は死んだ





暗い場所だった、腕には重い手錠のようなものが、足には鎖のようなものと重りが付いていた。

暗い、ただ暗い道をゆっくりと進まされていた...そして時々鞭のようなもので叩かれたり、急に止まったりを繰り返して、そして前にいた何かがいなくなることを感じると、少しだけ前に進まさせられてすぐ、止まった。

そして止まった先には何となくだけど解るものがあった、暗くて見えないけど目の前にある何かを。

大きな、巨大な何かがそこにいて見下ろしている。

それは人ではなく、人知を越えた何かがいる。本当ならば人間ごときが知ってはいけないもの、だけどそれがそこにあるのは確実に解っていた。

「答えよ、人の子よ」

いきなり声が響いた、いや声というよりもその意思いやそれよりも不可解なものだった、本来耳を通して聞こえるはずのその声は、なぜか、頭に直接響いてこちらの肌を騒ぎ立てる何かを持っていた...

「お前にとって生とは何か?」

ただ圧倒的な何かだった、もうそれに従う他ないようななにかだった、気が狂いそうにもなった、ここにいるそれだけでも精一杯なくらいだった、ましてや__頭のなかで何かを考えることなんてできやしなかった。

「...わかりません」

声にならないくらいの声だった、足が完全に震え上がってたっているのもやっとなくらいで、出来るならもうこの場から逃げたいくらいだった。

でも体はいうことを聞いてくれなかった、いうことを聞くはずがなかった。目の前の何かはこちらの体を動かす権限すらも持っているように感じた...

「ふん...話にならんな...」

怒りのような何かを感じた、何度も何度もどこにいてもどこに行ったとしても感じたそれを感じた。

「何度繰り返させてもこれか...」

呆れた声だ、何度も聞いたことがあるその声そのものだった

「いい加減うんざりだ、お前は...」

何度も何度も繰り返させられた、何一つ変わるはずのない、一字一句間違えることのないあの言葉がまた、何百何千何万と繰り返させられてきたあの言葉が、次確実に出てくる、そう感じた...

頭にノイズが走る、複数の場面がほぼ同時にフラッシュバックされる、体の力は抜けて、血は引く、もはや立つことすらもできないような感覚に陥るその瞬間___

「ふん、やはりその程度でしかなかったか貴様は、何度繰り返そうが、何度違う結末を向けても、その身に刻まれてしまったものはそうで、あったか...」

倒れこむその瞬間に、相手から体を支えてくれたのを感じた。

今までにかつて遥か昔からもそんなことは__なかったはずだ。

暖かい、優しい光のような何かだった、完全に抜け落ちる前の力は戻り始め、体に血がまた巡り出す。

少ししてから、何かが後ろにも横にもいたように感じていたが、消え失せていた。

「もう、大丈夫だな?」

そう相手からいうと、支えていた光のような何かは消えていた、がなんとかギリギリで立っていることができた。

__多分次が最後になる、そう感じた。長く、果てしなく長く続いた何かは次で終わる__

「貴様にとって生とは何であったか?」


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