#6
「ところで、僕は何をすればいいの?」
「少年はどんな目的で俺を呼んだんだよ?」
僕が質問したら、彼も質問を仕返した。
鈍感で「えっ?」と聞き返したが、そんなことを訊かれてもどう答えようか困ってしまう。
「んーと……。僕はクラスのみんなに復讐をしたい」
「それだけか?」
「うん。今のところは、ね」
「また、目的を増やしたかったらいつでも言えよ? そうしないと俺が困るからな。では、どうするのかを考えなければならないな」
「そうさせてもらうよ」
なるほど。
それを最初から言えばよかったんだ。
――クラスのみんなに復讐する――
それが僕の大きな目的だ。
彼は僕に「増やしたければ増やしてもいい」と言ってくれたが、今のところはそれしかない。
「そういえば……」
「どうした?」
「あなたの姿は他の人には見えるの? それとも、僕しか見えないの?」
僕は彼の姿が他の人から見えるのかが気になってしまったため、訊いてみた。
クラスのみんなにその姿を見られたら、凄く恥ずかしいくて仕方ないから……。
「いや、俺の姿は少年にしか見えない。普段は周りの人間には見えないが、少年が復讐すると決意した時だけ現れる」
「僕が……復讐すると……決めた時……」
「そうだ。俺と一緒に歩いてると変な目で見られると嫌だろ? だから、「復讐すると決意した時だけ」にしているのさ」
彼はからから笑いながら寝床から立ち上がった。
「1つ重要なことを言い忘れたが、その目的が果たされたら少年は死ぬことになるから、いつでも死ねるように準備しておけよ?」
学習机の方へ行き、僕の耳にこう耳打ちをしたあと、肩をポンポン叩き始めた。
「ねえ、そんなに僕の肩が凝ってるの分かるの?」
「少し凝っている。少年は肩の力が入りすぎだからな」
「普段は学校に行っても、家にいても肩に力が入っちゃうからね……ありがとう」
相手は人間ではなく人外だけど、それなりの暖かさを感じてしまう。
僕は「目的が果たされる」その時まで、生きなければならないことは現実なのだ。
2016/12/17 本投稿