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#2

 僕はこの男性は誰? と思った。

 突然見ず知らずの人(「人間」ではなく「人外」かもしれない)が「オイ!」とか言われたら、ビビるじゃん。

 僕は無意識に「はい?」とおどけて返事をした。


「貴様はこんなところで何をしてる?」

「僕?」

「他に誰がいる」

「……そうですね……」


 よく見たら僕以外に歩いている人物は誰もいない。

 もしかして僕はこの人に変な少年と思われている?

 いや、そんなことはありえないよね?


「すまないなぁ。見ず知らずの者から「貴様」って言われたら驚くよな?」

「はい」

「それはそれはすまなかった。ところで、少年。人気のない道で散歩か?」


 僕は首を横に振った。

 そして、今頃気づいたが、呼び方が「貴様」から「少年」に変わっている。

 その男性はまるで、近所のおじさんと話しているかのように、気さくに話しかけてくれた。

 口は悪いけど、なんかいい人そうだ。


「実は僕、中学に入学してからなぜかは知らないですが、いじめられてまして……」

「うむ……」

「毎日が辛くって、楽しく学校に行けないんですよね。家に帰ったら受験勉強をしなきゃならないのに集中できなくて……」

「ほう……」


 僕はいつの間にか自ら警戒心を解き、自分の悩みごとを彼にぶつけていた。

 男性は適当に相槌(あいづち)を打ちながら、僕の話に耳を傾けている。


「――――最後に、僕はもう限界なんです。この世から消えてなくなりたいです」

「ならば、俺と契約しないか?」

「はぁ!?」


 その男性は僕の負の感情を読み取ったかのようにその言葉を発した。

 どこかのテレビアニメや漫画みたいに『魔法少女なんとか』みたいなファンタジーみたいな話。

 そんなのは完全に現実にありえない話だ。


「少年はさっき、「限界」と「消えてなくなりたい」と言った。それは負の感情さ。悪魔である俺にとっては、最大の執行力となる」

「んー……」


 やはり、彼は「人間」ではなく悪魔という名の「人外」。

 僕の負の感情が彼の執行力となるよう――。


 面白い。実に面白くなりそうだ!


 僕は殺戮者にはなれないが、復讐したいと思っている。

 あいつらを奈落の底に突き落としたいと心の底から思ったのだ。

2016/11/26 本投稿

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