#1
case1
中学3年男子
いじめに悩まされており、自殺を視野に入れている。
9月10日 19時頃。
僕は暗くなりかけた道をゆっくりとした足取りで歩いている。
向かう先は近くの駅の踏切。
なぜ、僕がこんなところに向かっているかって?
むむっ。少し恥ずかしい話だけど、聞いてほしい。
僕は中学校に入学してから、原因不明のいじめにずっと悩まされてきた。
机の中にゴミや使い古して使えなくなった雑巾を入れられたり、給食に玩具のゴキブリを入れられたことがある。
昼休みや放課後は先生から見えないところで傷だらけになるまで喧嘩。
授業中、僕は何もしていないのに対して、なぜか知らないけど、クラス全員から罵倒の嵐が飛び交う。
両親はもちろんのこと、担任の先生やスクールカウンセラーに相談しようと思ったけど、さらにいじめがエスカレートすると思ったから、僕は何も言わずにずっと我慢しながら学校に通い続けた。
僕は中学3年生だから受験も控えている。
これからが一番重要な時期なのに、嫌なことが多く、ストレスになり、授業や受験勉強に集中できないのだ。
毎日学校に行くことが辛い。
学校に行っても、僕に話しかけてくれる心優しい人なんか誰もいない。
今の僕にとって、居場所なんてどこにもない。
家にいても学校にいても同じくらい悪い意味で気を遣ってしまうから。
これはいい意味で悪循環だし、今まで過ごしてきた時間は無駄だったと思うから――。
「早く死ねば、もう学校に行かなくて済むんだよな……!」
あと少し時間が経てば、電車は僕の近くを通過する。
僕はその電車に飛び込んで人身事故で死ぬんだ……。
「……ふっ……ははっ……あはははは……!」
そう思うと笑ってしまう。
むしろ、笑いが止まらない。
僕なんか……生まれてこなければよかったんだ!
だから、僕は「生」を選ばす、「死」を選んだのだ。
僕が遮断機を潜ろうとした時、深紅の瞳を持つ見慣れない男性が「オイ」と声をかけられ、僕の視界に入ってきた。
2016/11/25 本投稿