#10
僕が学校に着いた頃。
教室にはすでにほとんどのクラスメイトが登校していた。
彼らは友達としゃべったり、真面目な奴は受験勉強のため、朝から問題集か過去問らしきものを解いたりしている。
「おはよう」
僕がいつも通りにみんなに挨拶をした。
しかし、彼らは僕の方を見てクスクス笑ったり、何人かで集まってこそこそと話している。
受験勉強している奴は一瞬だけ僕と目を合わせるだけであとは下を向いてひたすらシャーペンを走らせていた。
「よぉ、今日はいつもより遅かったじゃねぇかよ!」
「今日の放課後は何して遊ぶ?」
「なんかいつも通りだと飽きてきたしなぁ……」
「確かに、それは言えてるー」
こいつらが僕をいじめてくる主犯格。
彼が僕の机と椅子をガンッと蹴り倒す。
その時、僕は「……や、止めて……」と言ったが、どうやら彼らの耳には届いていたのだろうか。
「はぁ? 何を言ってるんだよ!?」
「もう1回、言ってみろよ」
やはり、僕の言葉は届いていなかったらしい。
「だから、止めて、って……」
「さっきのことは忘れて、今日の放課後は思いっ切りパーッと遊びましょうか!」
「そうだな!」
「絶対に体育館裏に来いよ! もし忘れたら承知しないからな?」
僕が言ったことを上手く遮るかのようにして、彼らは次々と告げていく。
「先生にチクったりするなよ?」
「じゃあ、今日の放課後、体育館裏で待ってるからな!」
「「分かったか?」」
最後に彼らからこう言われたので、僕は「……分かったよ……」と返すしかなかった。
一方、他のクラスメイトはその話をシャーペンを走らせる音をBGMとして流しながら無駄に楽しそうに聞いている。
数秒後にチャイムが鳴ったため、僕は急いで机と椅子を直し、授業の準備に取りかかった。
早くこの空間にいる人間達に復讐したいと考えている。
もし、速やかに決着をつけるならば明日ではなく、今日の放課後しかないだろう――。
できるならは、体育館裏ではなくてこの教室でそれを決行したい。
できればの話ではあるが、人外の彼も「あれ、早くねぇか?」と言われるかもしれないが、できるだけ早く始末したいと僕は考えているのだから――。
†
俺は周囲の人間には見つからないよう、ずっと少年の後ろに真の姿で立っていた。
しかし、案外バレないものだなと考えているのは気のせいかどうかは分からない。
これで少年の朝の様子が見られたような気がするが、朝から彼のことを無視はないだろう? 無視は。
しかも少年の奴ったら、少し先走っているような気がするのだが……。
そういえば、「復讐するならば明日かな?」とか言ってなかったか?
まぁ、俺は彼の復讐はいつでも大歓迎だがな――。
2017/01/28 本投稿




