#9
朝ご飯を食べ終え、僕は身支度を整えるため、洗面所にいる。
今のところは彼はいないので、おそらく僕の部屋に籠っているのだろうと――――。
「はぁ……今日も学校に行きたくないなぁ……」
「少年、浮かない表情を浮かべているな」
彼は僕のぼやきに反応をしたように、いつの間にかに背後に立ち、鏡に映っていた。
「うわぁ!」
「そんなに驚くか?」
「普通は驚くよ! ふ・つ・う・は! あーもう、歯磨き粉がいっぱい出ちゃったよ!」
その時、僕は凄く驚き、歯ブラシには歯磨き粉がいつもより多めについてしまっている。
今日は運がないではないかと密かに思った。
「それは少年が悪い」
僕が悪いって……それは自己責任なのは分かっていたけど、仕方ない。
「ところで、そんなに学校に行くことが嫌なのか?」
彼は僕に問いかける。
やはり、彼にも気になるものは気になるのだなぁと――。
「そりゃそうだよ。学校は僕にとっては地獄の場所だもん」
僕はもったいないと思いながら、つけすぎた歯磨き粉を半分くらいティッシュで取り、こう答える。
彼は「「地獄の場所」か……。是非、お邪魔したい」と少し口角を上げ、クックッと嗤い出した。
「そんなに僕の学校生活に興味があるの?」
「べ、別にいいだろう?」
「いいけどさ……それ以外だろうと思われる可愛い子探しは止めてね」
「はいはい、分かったよ。少年は勘が鋭いな」
「それはどうも」
僕は歯磨きと洗顔を速やかに終え、自分の部屋で制服に着替える。
今日の準備の最終確認を終えた通学鞄を背負い、僕は両親に見送られながら、僕以外の誰も見えない存在である人外の彼とともに学校という名の地獄の場所へ向かった。
僕は彼に僕の学校での様子を見られてしまうのは恥ずかしいと思っているが……。
彼がその様子を見てどう感じるのかが少し気になるところでもある。
さて、愉しい愉しい復讐の時間はこれからのはずだ――。
2017/01/21 本投稿




