私、本当にリラ族らしいです。
「そんで、ハナはなんの魔法を使うんだ?」
カイがハナに質問する。
「馬鹿か。リラ族なのだから、星天大魔法に決まっているだろう。」
フユキが呆れたようにカイに向かってそう告げる。私はそんな魔法使ったことないのに。レスティからはまだ全然この世界のことを教えてもらっていない。そして、そのレスティの姿はここにはない。なんですぐ居なくなってしまうんだろう。
「二人とも。ハナはまだこの世界の記憶完全にが戻っていないん
だ。あまり混乱させるようなことは言わないでくれ。」
ラリーがハナの困惑している顔を見て、カイとフユキにそう言った。
「ごめん。」
「すまなかった。」
「いえ。ところで、星天大魔法ってなんですか?」
「星天大魔法とは、ギリシャ神話の神々の力を借りることで発動する最強の攻撃魔法だ。だが、これを使えるのはこの王国の中で魔力が一番多いリラ族しかいない。お前はリラ族だから、きっと星天大魔法が使えるはずだ。」
と、フユキが説明してくれたが、
「でも、私魔法使ったことがないので、使える保証はないです。
それに、リラ族かどうかも分かりませんし。」
「いいや。お前はリラ族だ。」
きっぱりとそう告げたのはジュン。
「リラ族は金髪の美しい髪で、暁の目を持って生まれてくるからな。ま、魔法の使い方はこれから訓練していけばわかるはずだ。それに、ハナならきっと星天大魔法は使えるさ。君の魔は、星の神たちに愛されている感じがする。」
「でも、例え星天大魔法を使えなくても、それ以外の魔法は使えないとね。」
アスナは真剣な顔で言う。
「私たちは、命のやり取りをする任務をすることだってあるから、自分の身は自分で守れないと生き残れない。」
「それはそうだな。テロ組織の壊滅命令とか、闇組織に潜入調査したりとかするしな。」
笑みを浮かべて軽々とカイは口にするが、目の奥は笑っていない。そりゃ、私はもうTKMDの隊員だ。仕事だって、そんな簡単じゃないことは承知の上。だが、私は、毎回そのような死線を潜り抜けてきた彼らとこれから対等にやっていけるかどうか、怖くなった。
「まあその事は置いておいて、傷は完全に治っていないし、今日はゆっくり休んでくれ。俺たちは任務に行くぞ。」
そうラリーが言うと、みんなは背を向けて移動を始める。
「お大事に。」
「今度はいっぱいお喋りしましょ♪」
パタン、とドアが閉まり、私は一人になった。
「ふぅ~、狭かったあ~!」
「レ、レスティ!?」
突然、目の前にレスティが現れた。
「また勝手に居なくなって!どこにいたの?」
「その花瓶の中よ。」
私の近くに置いてある花瓶を指差して、レスティは伸びをする。
「なんで?姿は私以外には見えないんだから隠れる必要はないんじゃない?」
「違うの!ハエとか、小さい虫が寄ってくるから隠れてたの!!」
、、、あきれた。やっぱり、妖精でも女の子は女の子なのね。
「それで、私に聞きたいことがあるんじゃない?」
「うん。私、星天大魔法使いたい。私、リラ族なんだよね?やり方教えて。」
どうせ使うのなら、自分しか使えない魔法を使いたい。
「いいわ。ただし、例えリラ族でも、危険はともなうわよ。」