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頭に響く声。

「はあ、はぁ、、、、っ!!」


慣れない山道を必死に走るが、なかなか早く進めない。息も切れ始めた時、酷い頭痛がした。


「うっ、、、!!」


あまりに激しい痛みに私はその場に崩れ落ちる。


「ハナ!大丈夫!?」


レスティは私に心配の声をかけてくれるが、今の私の頭に響く声はレスティの声ではなかった。



「来たれ、星々を愛す者。この世界を愛す者。

 古より築かれた我ら神々との絆を繋ぐ者よ。

 我が名は全能の神、ゼウス。

 我らに愛されしリラ族の最後の末裔よ、時は来た。

 さあ、今こそ錆び付いた時計の歯車を回すのだ。」



ゼ、ウ、、ス。リラ、、族。

なんだかとても懐かしいような、悲しいような、、。



「ハナ!ハナ!!!」


「!」


声が消えると同時に頭痛は消えた。が、


「捕まえたぞ!ハナ・フロリーナ!!」


「これで俺たちは目的を果たすことができる!」 


腕をがっちり捕まれ、縄で結ばれてしまった。

こうなっては手も脚も出ない。

次の瞬間、首に鋭い衝撃が走り、私は意識を失った。




*************************************************

目を開くと、そこは廃棄の城だった。

どうやら山を越えて私を運んだらしい。窓の外からは賑わいのない城下町が見えた。


「ようやく目が覚めたか。」


声が聞こえた方向を見ると、身体中が傷だらけの男が立っていた。その男の後ろには、さっき私を捕まえた男たちもいた。

この人がリーダーなんだ。と直感でそう思った。


「やっと見つけたぜ、ハナ・フロリーナ。」


「やっとって、私のことをずっと探していたの?」


「そうだ。十年間、俺たちはお前を探し続けた。」


「十年間も?それで、私をどうするつもり?

 指名手配されてるし、国に差し出すの?」


「どうするかって?そんなの決まってるじゃねえか。」


その時、私は脇腹に痛みを感じた。見れば、ドクドクと血が出ている。


「なっ!?、、、がっ、!」


血を吐き、地面が赤く染まる。私は、恐怖を感じた。こいつらは、捕まえて国に差し出す為じゃなく、ただ私を殺す為に私を十年間探し続けたんだ。一体私が何をしたというんだ。

ガタガタと身体が震え始める。そんな様子をみて、リーダーの男は満足そうにニヤリと笑った。


「怖いか?そりゃそうか。刺されたし、血も吐いたしな。ただ、俺たちにしたことはこんな恐怖を味あわせるだけじゃ、全然足らねぇなぁ!なぁ、お前ら!!」


後ろにいた男たちも笑いながら次々に小刀を抜き出す。





殺される。





そう思った直後、嵐のような突風が起こった。しかし、その風はどこか温かく、優しかった。



「そこまでだ。」




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