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007 砂浜でのクエスト-1

 翌日の朝、俺は昨日武器の修復をしてないことを思い出し、今はその作業をしている。

 ちなみに俺は元々宵っ張りで睡眠時間が短く、昨日は早く寝たということもあり、目が覚めた後視界の右上の時刻表時を確認したところ、五時だった。早起きの新記録である。ベッドを見てみると、当然のようにエレナは寝ている。

 先程も言ったが、俺は今武器の修復をしており、そのやり方というのは、砥石でチャクラムの刃の部分を研ぐというものである。こうしても切れ味が上がるだけで、耐久度が回復するとは思えないが、まあその辺はゲームということで納得しておこう。 にしても、作業中のこのシャー、シャーという擬音はどうにかならないものか。

 これじゃまるであれだ、昔話でよく出てくる、何て言ったかな、名前が思い出せない。


 「何で私の部屋に山姥がいるのー?」


 そう、山姥だ。というかこの声は……


 「おっと、悪い。起こしちまったか、エレナ。」


 エレナが起きたようである。チャクラムをシャーシャー研いでたのが五月蝿かったのだろうか?


 「……あなただれー?何で私の部屋にいるのー?」


  どうやら俺を泊めたことを忘れてるようである。まあ寝起きだからしょうがないといえばしょうがないか。


 「俺だよ、海月だよ。昨日泊めてくれるといっただろ。」


 「……海月は退治しないとねー。」


 エレナはそういうと、ステータスウィンドウを操作して剣を装備する。そしてその剣を抜き放ち、俺に斬り掛かって来る。ってちょっと待てー!!


 「ちょっと、エレナ、さん!!それは、ちょっと、洒落に、なりま、せんよ!?」


 俺はエレナの攻撃をできるだけ避け、避けきれないものはハラスメント防止コードにより防がれる。

 というか、エレナさんの寝起きは最悪でした!!



――――――――――――



 「ごめんなさいね、私、寝起きは悪くて……」


 エレナが申し訳なさそうな顔をしてそう謝罪してくる。

 あのあとしばらくエレナによる折檻を受け、つい先程漸く目が覚めたようで、今は謝罪をしている。



 「特にダメージがあるわけでもないから気にしてないが、あれは精神的に結構くるぞ……」


 「悪かったって言ってるじゃないの。それにあなたが紛らわしい名前をしてるのがいけないのよ。」


 ひどい言い掛かりである。責任転嫁にも程がある。


 「この話はもう終わりにしましょ。ところで、あなたはこれからどうするの?」


 現実世界なら確実に捕まるであろうことをしたというのに、この人は何を言ってるのだ。

 まあその辺は軽めのノリでスルーするとして、今日はそうだなせっかく調べたんだし、あれをやってみるか。試したいこともあるしな。


 「今日は、防具屋のクエストをやってみるよ。」


 「クエストって、あなたいつの間にそんなこと調べたの?」


 「武器の修復をする前にWikiで調べたんだよ。」


 今日はクエストをやってみたかったから、実は朝起きた後にWikiとついでに掲示板もちらりと見ていたりする。

 攻略情報はWikiにまとめられてるので、掲示板は主に情報交換の場として使われるようだ。もちろん各種の攻略スレの他に、雑談スレやあとどこにでもこんなことを考える奴はいるようで、二つ名スレなんてのもある。



 「そう、それなら今日はお別れね。私の方は生産活動に精を出すつもりだし。」


 「エレナはもう生産活動が出来るようになったのか。ならあとで俺の防具を作ってくれ。」


 「考えておくわ。」


 そんなやり取りをしたあと、俺達は別れた。さて、いっちょ頑張りますか。



――――――――――――



 俺は今、オーランの東にある砂浜に来ている。

 俺が今受けている防具屋のクエストというのは、ここに出現するストーンシェルタートルというモンスターがドロップする石の甲羅という防具を10個入手することだ。

 そういうわけで俺は早速《索敵》スキルと《隠蔽》スキルと《無音歩行》スキルを使いながら探していく。



――――――――――――



 「よし、まずはあいつからだ。」


 俺はそういうと、《索敵》スキルにより、砂浜に隠れているストーンシェルタートルを見つける。

 やっこさんを砂浜から引きずり出すために、まずは《索敵》スキルで見つけたストーンシェルタートルがいる5m程先の砂浜に右手で握っているチャクラムを当てる。

 すると、そこが隆起し、石の甲羅を背負っただいたい五歳児の子供と同じくらいの大きさの亀が出てくる。おそらくあいつがストーンシェルタートルだ。

 それを確認したあと、引っ張り出すために使ったチャクラムの他にもう一つポーチからチャクラムを取り出し、それをもう片方の手で握る。

 前にも言ったが、チャクラムは投擲武器なので、アイテムポーチに入れておくことが出来る。

 まずは右手のチャクラムをストーンシェルタートルに向けて投げ、そのあとすぐにアイテムポーチからさらに三つ目のチャクラムを取り出し、握り締める。くどいようだがチャクラムは投擲武器なので、やろうと思えば複数を併用することも出来る。

 最初に投げたチャクラムがストーンシェルタートルと俺のだいたい中間あたりまで行ったら、左手のチャクラムを投げ、再びアイテムポーチからチャクラムを取り出し、握り締める。

 一つ目のチャクラムがストーンシェルタートルに当たった瞬間に、右手に握る三つ目のチャクラムを投げる。

 一つ目のチャクラムが二つ目のチャクラムを投げた位置まで来たところで、左手の四つ目のチャクラムを投げる。

 一つ目のチャクラムが戻ってきたので、それを右手で取り、すぐに投げる。

 二つ目も同じように左手で取り、すぐに投げる。

 以後三つ目からも同じように掴んでは投げを繰り返す。

 これが俺のやりたかったこと、《投擲》スキルと《掴み》スキルと《軽業》スキル、それに加えて俺がリアルではジャグリングを特技としているからこそ出来る芸当、チャクラムジャグリングだ。

 そのあとも暫くチャクラムジャグリングをし、ストーンシェルタートルを倒したようなので、戻ってきた最初のチャクラムと二つ目のチャクラムをアイテムポーチにしまい、残りの二つを左右の手でそれぞれ掴む。

 ストーンシェルタートルに限らず砂浜の敵は、防御力が高いようなので、倒すのに手間がかかるな。

 ドロップ品は、こうなった。



――――――――――――



石の甲羅

重量:3 レア度:1

防御力:7

 ストーンシェルタートルが背負ってる甲羅。

 防御力は高いが、見た目は悪いしそれに重いので、加工して使うことをオススメする。



――――――――――――



 一つ目ゲットである。この調子でさくさくと獲得して後9体で終わりにしたいが、おそらくそううまくはいかないだろう。

 それにしても、このチャクラムジャグリングは、確かに楽だが、《投擲》スキルと《掴み》スキルと《軽業》スキルしかレベルが上がらないから、スキルのレベリングにはあまり向かないな。

 これは、初見の敵やボスに限定するか。

 そんなことを考えながら、次の獲物を探しに行った。

漸く海月のやりたいことが書けました。


ちなみに海月はリアルでは自称・・プロジャグラーです。

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