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1:始まりは突然に。

父さんが消えてから5年たつが、特に問題なく暮らすことが出来た。


農作業も自分でできるし、なにか困った事があっても村人が助けてくれたり、精霊達が助けてくれるのだ。


人間族は普通精霊が見えないらしい。

実際に母さんは見えないらしいし、村の人間族の人たちも見えないと言っていた。(亜人の人たちは見える)


俺は何故か見えた。

父さんが見えていたのだから、たぶん遺伝かなにかだろう。


父さんが何故精霊が見え、好かれていたか聞いた事があるが、「この世界に来た時のボーナス的なもんじゃね?もしくは厨二的な才能が目覚めた」とか訳のわからない事を言ってた。



精霊達の中にも色々と種類がいて、そのなかでも

風の精霊の一人はいつも俺の周りに着いてくる。


子供の頃、森で幼なじみと遊んでいると倒れていたので助けてあげたらなつかれてしまったのだ。


今日も農作業をしている俺の周りを元気よく飛び回っている。


「ぶんぶん鬱陶しい!ハエか!」


「なによー、相手してくれないからだよーだ」


「相手してほしいなら作業終わってからにしろよ…」


「農作業終わったらアル学校行っちゃうじゃん!」


俺の事をアルと呼ぶ風の精霊のシルフィは拗ねるように言う。


普通精霊は人より高貴な存在らしく信仰されて崇めたてられるものだが、シルフィを見ているとそんな気も起こらない。


「学校終わってから相手してやるから、イーナのところにでも遊びにいけ。イーナが遊んで欲しそうだったぞ」


「絶対だよ!じゃあイーナと仕方ないから遊んでやるかなー☆」


シルフィはなにが楽しいのかニヤニヤしながら飛んで行った。


その数秒後、遠くから

「鬱陶しい!ハエか!」

「あー!アルと同じ事いうー!」


というやりとりが聞こえてきた。

うむ、今日も平和である。


農作業を終えて、いつもと変わらない学校までの道を歩く。

学校と言っても城下町にある魔法学校とか騎士学校のように立派なものではなく、普通の民家で元研究者(結構有名な人だったらしい)が父さんに頼まれて仕方なくはじめたものだ。(今はノリノリでやってるようにしかみえないが)


「ちょっとアル!シルフィに何言ったのよ!朝からまとわりついてきて鬱陶しいんだけど!」


「なによー。イーナが遊んで欲しそうにしてたんでしょー?」


「はあ?」


ぶーぶー五月蝿いシルフィを頭の上に乗せてイーナが歩いている俺の隣まで来る。


イーナはエルフと人間の子供で、いわゆるハーフエルフだ。

ハーフエルフだけあって美少女だ。

ただし、一般のエルフ達と違って性格に難ありだ。


エルフは普通大人しく、冷静な性格が多いのだが、イーナはすごく凶暴である。


昔お菓子の取り合いになった時にはぼこぼこにされてしまった。

まあ、今ではそこまでお転婆ではないが、それでもズバズバものを言う性格なのでたまに泣きそうになる。


「アル、何考えてるか知らないけどその顔やめて、気持ち悪いから」


現在進行形で泣きそうだ。




そんな変わらない日々にアルは満足していた。

少し退屈かもしれない。けど、生活が苦しい訳でもないし、なにより平和だ。


しかし、アルはこの平和ないつもの日常に




違和感を感じた。




静かすぎるのだ。




田舎の村なのだから都会みたいな喧騒とかはないだろう。

しかし、イーナとシルフィのやかましい声以外、全く音がしないのはおかしい。


風が吹く音、虫の鳴き声、川の流れる音、それらが聞こえないのだ。


隣を歩く二人は気づいた様子もない。



二人に声をかけようとして手を伸ばして気づいた。


腕が光り輝いていたのだ。

それどころか全身が光りに包まれていた。


この輝きを自分は見たことがある。


5年前、父さんが消えた時のあの光りだ。



そして、村からは最初からそこに存在していなかったのように、アルの姿は消えていた…

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