とある兵士と少女達の挨拶?
第7話で御座います~。
尚この話では、独自の設定が御座います事を、お断り申し上げます。
嫌な方は、回れ右~ってな事で~。
すれ違いが解消されはしたのだが、しかし、未だに真面目な萌は、厳しい目でジェフを見ており、ジェフ本人は辟易していた。
こんな状態ではあったが、響が話を受け持ち何とか、ジェフが少女達を護衛し、この国の首都まで連れて行く所まで話を持って行っていた。
その様子を見ていた藍は、少し溜め息をついた後、ジェフに大声で話し掛けた。
「オジさん!私の名前は、姓は徐、名は晃って言います!よろしくね!!」
そう言うと、藍は満面の笑みを浮かべて見せた。
「ああ、宜しくな徐晃」
徐晃が名乗ってみせた後の笑顔に釣られたのか、ジェフも笑みを見せ、徐晃が見た中では一番いい表情だった為、徐晃は嬉しくなるのだった。
「オジさん、あのね…!!」
話を続けようとした徐晃を緑の髪の少女が遮る。
「藍、自分だけ名乗って、あたし達には名乗らせてくれないのかしら?」
あっ、と一言零した藍が、緑の髪の少女に誤る。
「ご、ごめんね、緑。すっかり忘れてたっていふぁいよー、ふぉへんよ~ひょふ~」
緑と言われた少女に藍は、頬を引っ張られて、涙目になりながら緑に謝っていた。
緑は、冷ややかな目でジェフを一瞥した後、すぐに名乗った。
「はぁ、失礼しました。あたしの名前は、姓は満、名は寵と申します」
よろしく、満寵とジェフが言おうとした時、満寵が言葉を遮った。
「とるぅまん様は、この国の方ではないとの事ですので、ご存知無い様ですが、名は諱と言いまして、親や親しい方しか言ってはならないものですので、訂正して頂けませんか?」
満寵に冷たい目で見られながら、そう言われたジェフだったが、満寵に切り返す。
「ほ~、確かに知らなかった。そりゃ悪かったがよ、今の時点で『徐』って姓を持つ奴が二人居るが、俺はどう名前を言や良いんだ? デカい方の徐ちゃん、チビッコの徐ちゃんみたいな感じで良いのかい? 長いからコッチはかなり困るんだが」
ジェフが余裕そうに返すと、ムッとしたのか、多少語気を強くし聞いてきた。
「何が困るんですか? とるぅまん様が、わたし達の名前を呼ぶ事等、殆ど無いと思いますが?」
そう満寵は、はっきりとした拒絶をしてきたが、ジェフはどこ吹く風と言った感じだった。
(徐晃とこの満寵は仲が良いってのは、さっきからのやりとりで分かる。つ~事はだ、失礼な奴だと徐晃に印象づけて、俺から徐晃を、引き離そうとしてるんだろうな。嫉妬って怖いねぇ)
ジェフの推察は大体当たっており、子供心ながら仲の良い徐晃を、ジェフに盗られると満寵は思い、自分で精一杯考えた方法で、ジェフを貶め徐晃を取り戻そうとしているのだった。
だが、そんな嫉妬などに巻き込まれて、身動きが出来なくなるくらいなら、容赦なく切り捨てるのがジェフと言う男である。
「俺はお前らを首都っつうか、都だっけか? 洛陽とか言う場所まで連れて行かにゃならん。だが俺一人での護衛だからな、お前らには多少言うことを聞いて貰わないと困るんだよ。『チビッコの徐ちゃん、もう少し離れろ』とか言ってたら俺がやられるわ。一応言っとくが、確かに俺はお前らを護衛してはやるが、お前らが何らかのヘマをやらかしたら無視するし、俺自身が本当に危険だと判断したら、俺は全力で逃げるぜ。お前らを見捨ててな。ちっと脅してる様に聞こえるかも知れんが、お前らから頂いた先払いの報酬ならこれが限界だ。失礼云々言うんだったら、自分達でどうにかしてくれ。どうにか出来るんならな」
強い口調と目線をジェフに浴びせられた満寵は、涙目でジェフを睨みつけるが、それ以上何も言わなかった。
しかし、ジェフと満寵の話を聞いていた、話の中心がジェフと満寵に不満を言う。
「オジさん、緑を悪く言うのは止めて。皆、オジさんを嫌ってたり怖がってたりしてる訳じゃなくて、えと、多分不安なの。緑だってそうなんだよ。ただ緑もさ、助けてもらった人を、いきなり悪く言うのっておかしいよ? オジさんは他の国から来たって言ってるんだし、私達の事を知ってる訳じゃ無いと思うんだ。多分だけど」
自信満々に胸を張りながら言葉を紡ぎ出し、最後のオチでジェフすらガクッとなったが、気を取り直した満寵は、素直に徐晃の言葉を受け取り、ジェフに謝罪するが、ジェフ本人も子供に言うこっちゃなかったな、と謝り返されたので、満寵自身が慌てるのだった。
「ほら~、やっぱり~、悪い人じゃありませんよ~、桂花ちゃ~ん。なら~、ちゃ~んと~、御挨拶しておく事が~、肝要ですよ~」
「う、うるさいわよむっちゃんって、この言い方おかしいと思うんだけど、睦月に直しちゃ駄目なの?」
むっちゃんと言われた細い目をした鳶色の髪の少女、睦月に「今は~駄目ですよ~」と言われながら引っ張られて、桂花と言われた少女が前に出て来た。
2人共、姿はみすぼらしいが、動作に気品がある為、良いとこのお嬢様なのか? と、ジェフに思わせた。
「あ~、私は~、姓は戲、名は志才と申します~。趣味は隠れて行う~、人間観察と~、桂花ちゃんと~、遊ぶ事です~。ほら~、桂花ちゃんも~」
「分かったから離しなさいよ!んんっ、私の名前は、姓は荀、名はイクよ」
何故か不満気な様子を醸し出した戲志才は、荀イクに対して追撃をかけた。
「それだけ~? もっと他にあると思うんだけど~」
と言われたが、他に言う事何て無いじゃない、と思っている荀イクは次の戲志才が放つ言葉を聞いてハッとした。
「ほら~、色々知って貰った方が~面白いじゃないですか~。それに~、賊徒に捕まった時に~助けて頂きましたよ~?」
戲志才の言葉を聞いた荀イクは、う…と呻いてしまう。
「まさかとは思いますが~、荀家の桂花ちゃんともあろうお方が~、助けて貰ったお礼を忘れてた~、何て言わないですよね~」
戲志才の細い目の端がキラリと光を放つ。
「むっちゃ…、睦月ちゃん、あんた、私が忘れてるの見越してやってるでしょ…ついでに、色々知って貰う必要は無いわ」
その言葉に戲志才は、首を傾げた。
「何の事だか~さっぱり~。とるぅまん様と~、良く知り合う事は~、後々を考えると~、分かると思うんだけど~? あと~、むっちゃんは~、明日の夜までです~」
この言葉に荀イクは、何時もの事ながら、半ば呆れてしまう。
(こいつ、時折思うんだけど、秘するべき事を堂々と言う時があるって知恵者としてどうなのかしら…)
そう思って左手で左目の辺りを抑える荀イクに、戲志才がツッコミを入れる。
「とるぅまん様の前で~、今の私達が~、謀何てしたら~、私達2人だけならいざ知らず~、他の人も~大変な目に合いますよ~。お一人で~、護衛をして下さるって事ですが~、私達は~、放り出されたら~、野垂れ死ぬしかないんですから~。今の知り合うって言うのは~、単純に私達の事を知って貰うって意味ですよ~」
戲志才と付き合いの長い(乳母が一緒)荀イクは、戲志才の言葉の裏を聞き取った。
(今の何も出来ない状況でツマラナい事(謀)何て考えるな、か。判ってるって、言いたかったけれど、出来ることから工作しようと思ってたのが、睦月ちゃんにはバレバレだったのね)
そんな話を堂々とされているジェフは、顔を伏せて震えていた。
「と、とるぅまん様? だ、大丈夫ですか?」
この事態に、かなり参っているのが、響だった。
只でさえ、真面目な萌がピリピリしている状態で、徐晃好きが高すぎる満寵の嫉妬に、才能はあるが、まだまだな2人の稚拙な行動、それなのに、護衛をほぼ無料でしてくれると言う人に対してそんな事を行ったら、わたしがとるぅまん様の立場ならどう思うかと考え、即結論を出す。
(激怒しますよね。悪ふざけが過ぎる、と)
なので、顔を伏せて震えているジェフに、半ば達観しつつある響ではあったが、諦めたらそこで終わりなので、死にそうな顔をしながら、ジェフのご機嫌を伺うのだったが…
「くっくっ、ははっははははは、お前らなかなか元気が出てきたみたいだな。昨日や朝方に比べたら、大分良くなったじゃねぇか、なぁ、お嬢ちゃん。って、そう言や、お嬢ちゃんの名前を聞いてな…、っ!? ど、どうした? お嬢ちゃん」
ジェフは、大笑いしながら響の方を向いたが、響を見た瞬間、肌が粟立った。
暗い顔をした響の身体の外側に、黒い靄がゆらゆらと揺れている様に見えたのだ。
徐栄や満寵、荀イクと戲志才もこの姿を目撃し、ジェフと同様に肌が粟立つ。
そして、響が口を開いた。
「いい加減にしろ、貴様等ぁあああ!!!!!!!!」
死にそうな精神状態で、心配し気を使いながら様子を伺うという精神的に更なる負担を強いられたのに、気を使った相手が全く気にしてない様子に、響の何が壊れた様だった。
その後、三時間以上に渡って怒り続けた響を、徐晃がタイミングを見計らいながら響の怒りを静める妙な状態になってしまっていた。
とりあえず、色々と限界の様だった響の自己紹介は明日にして、サッサと全員に眠って貰ったが、全員寝静まった頃、徐晃がこっそり起き出して、火と寝ずの番をしているジェフの隣に三角座りで座った。
「オジさん、私今回は疲れたよ」
そう上目遣いで言われたジェフは、徐晃の頭を撫でながら礼を言う。
「ありゃ、爺さんに勝るとも劣らない怒りっぷりだったな。徐晃、本当に助かったぜ」
そう言われながら、頭を優しく撫でられている徐晃は、目を細めていたが、急に目の端から水滴を零した。
その様子に、一瞬驚くジェフだったが、特に何も言わず徐晃の頭を撫で続けるのだった。
真・恋姫†無双では、序盤だけ名前が出る戲志才さん。
史実では、荀イクが曹操に推薦したとの話が、伝わっているので、荀イクと戲志才の関係をかなり深くしております。