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とある兵士と青州への旅路5

 年越しまでに投稿出来て良かった……。

 短いですが、どうぞ~。



 女性を助けて幾日か経ったが、レオン達一行は、まだ女性の一軒家に滞在していた。


「ん~。雨、止まないね~。けど久しぶりの雨で涼しくなったかも」

「だな。けど、おかげで外が走れねーよ」


 窓枠に頬杖を付ながら、雨が降る空を眺める徐晃に、若干不機嫌な何平が相槌を打つ。

 徐晃と何平の話の通り現在は、雨が降っているのだった。

 大雨と言うわけではなかったが、流石に大所帯な上に大半が子供だということもあった為、レオンは女性に頼み込んで暫くの間、雨宿りをさせてもらっていた。

 無理かも知れないなぁ等と、レオンは思いながら女性に雨宿りをお願いしに行ったのだが、女性はあっさりと承諾した。


「助けて貰ったご恩もありますし、子供も好きですから構いませんよ」


 そう言って優しい笑みを浮かべる女性に対して、レオンはただただ頭を下げるのだった。

 女性からすれば、レオン以外には武官と文官らしき女性に、異民族の女性、後は大勢の子供達という時点で怪しすぎるのだが、訳ありな理由を聞くつもりは特になかった。

 今の時勢に訳のない旅人等なかなか居ない上、レオンに悪意を感じなかったのだ。


「何かするなら、私が倒れている時にするでしょうし、何より子供達が懐いていますからね」


 そして、どれだけ取り繕っても子供達が側に居る以上、レオン本人は元より、子供達の態度や行動の方が、レオンの人柄を正直に物語っていた様だ。

 レオン本人は元より、レオンを信じている子供達を信じた、といっても過言ではなかった。

 そんな女性の思いとは裏腹に、レオンは、1人天幕の中でうんうん唸りながら、ノートPCの前で突っ伏しながら呟いた。


「家主のねーちゃんのおかげで、雨に打たれる状況だけは避けられたんだが、顔も覚えられちまったよなぁ……」


 レオンにとっては顔を知られてしまう事より、子供達の事を取った訳だが、今になって自分の行動で後悔していたりする。

 しかし、この場でこれ以上自分が動いて問題を起こすべきではないと判断したレオンは、顔を若干歪めながら再びノートPCに向き直ると目的地までの資料をまとめ始めるのだった。


 〇


 片や場所は変わって家の中では、何平がモンモンとした雰囲気を醸し出していた。

 理由としては、レオンと何平だけが男性なのに、成人男性と言うことでレオン1人だけが、現在は天幕を使用しているからだった。

 何平からすれば、自分は男じゃないと言われている気がして、気分が悪かったのだ。

 なので、何平も無理矢理レオンと一緒に天幕に行こうとしたのだが、そこを徐晃に引き止められてしまったようだ。


「親父は男だから外に出たってんなら、俺だって出た方が良いんじゃねえのかな……」


 そんな独り言をポツリと呟いていると、隣に居る徐晃に聞こえてしまい、徐晃は何平の方を向き上目遣い且つ涙目で見つめながら何平に話しかけた。


神楽(かぐら)は、私と一緒に居るのがイヤなの?」

「っ!? んなこと、あるわけねえだろうが!!」


 突然隣に居た徐晃からそんな事を言われて、顔を真っ赤にしながら慌てて否定するが、徐晃が涙目になっていたのでますます狼狽える。

 そんな何平を後目に、徐晃は追い打ちをかけた。


「隣で話しかけても、文句しか言わないんだもん。私と一緒に居るのがつまんないのかなぁ、って思っちゃったんだけどなぁ」

「なっあ、が……。わ、わりぃ……。けど、俺はお前と話してるのは嫌じゃないぞ、本当だ」


 慌てふためきながらも本心を伝えようとする何平に、徐晃は漸く笑顔を見せた。


「良かったー。つまんないって思われてたら、どうしようかと思っちゃった」

「お前と一緒に居て、楽しくなかった事なんてねぇよ」


 と、頬を赤くしてそっぽを向いた何平に、再び話し掛ける徐晃。

 その様子を、満寵は苦笑しながら見つめていた。


「2人共、仲が良くなって良かったけど、側に居づらいわね」

「そーですねー。まあ、端から眺めているだけでも、面白いから良いんじゃないでしょーか」


 満寵の呟きに、満寵の側に居る髪の毛で目元が見えない少女が相槌を打つ。


「まあ、確かにそうだし。こんなに穏やかな時、最近無かったから良いのかもね」

「そーですねー。楽しまなきゃソンですよねー」


 側に居た少女に話し掛けた満寵の言葉に、にこやかに返答する少女。

 他の少女達も、本当に落ち着ける場所でのんびりする事が久しぶりだったので、思い思いの場所でくつろいでいる様だった。

 その様子を見ていた徐栄は、目を細めながら息をついた。


「暫しの休息といった所だな。この時間を大切にしたいものだ」

「そうね。あと少しで北海だからこの休みは丁度良かったわ」


 徐栄の言葉に頷きながら、李儒も相槌を打つ。

 徐栄と李儒の2人も気を張ってはいるが、年若い2人にも厳しい旅だったのは違いなく、2人にとっても色々と気持ちに整理をつけられる良い時間になっていた。


「……んで、とりあえずどうする?」

「うわっ、沙摩柯か……。流石に後ろから急に現れるのは心臓に悪いから止めてくれ」

「はぁ、ほんとですよ沙摩柯。次やったら怒りますからね」


 急に背後に現れた沙摩柯に、驚いた徐栄と李儒は怒鳴りそうになったが、子供達の手前小声で沙摩柯を非難するが、沙摩柯は小首を傾げて答える。


「……さっきから声をかけてたんだけど、聞こえてなさそうだったから近づいて声をかけてみた」


 抑揚もなく淡々と話す沙摩柯に、徐栄と李儒はバツが悪そうな顔になり謝った。


「す、すまなかった沙摩柯。どうやら気を緩め過ぎたらしい」

「ええ…… 本当にごめんなさい。気付かなかったなんて、本当に悪かったわ」


 2人は心底悪かったと顔を暗くしていたが、その2人を見て沙摩柯は言葉をかける。


「……いや、嘘だし」

「嘘なのか!?」

「嘘なの!?」


 愕然としながら突っ込む2人に、クスクスと笑う沙摩柯。

 そんな沙摩柯につられて徐栄と李儒も笑い出した。


「……やっと笑った。変に気を張ると子供達が気にする」

「っ!? あ、ああ、その通りだな。ありがとう沙摩柯」

「ええ。本当に、私達もまだまだ抜けてるわね。気をつけないと…… ただ、びっくりさせるのは止めてね」


 沙摩柯の言葉に苦笑しながら答えた2人に沙摩柯が再び答えた。


「……確約は出来ない」


 ニヤリと笑う沙摩柯に再び徐栄と李儒が笑い出し、その様子を見ていた少女達も笑みを零すのだった。


 〇


 雨が上がり辺りに水溜まりが沢山出来上がった頃、まだ日が差す前にレオン達一向は助けた女性の家の外に出ていた。


「いやはや、お世話になりました。騒がしい中、軒を貸して頂きありがとう御座います」


 旅装姿のレオンが、レオン達の見送りに外に出ていた女に声をかける。


「いえ、私の方こそ。助けてもらった上に、久しぶりに賑やかな時間を過ごせましたから、とても楽しかったですわ」


 レオンは助けた女性に別れの挨拶がてら、近隣の様子を堂々と聞き出していた。

 レオン自身、情報収集には注意を払いたかったが、なりふり構っていられない事と、なるべく貂蝉と連絡を取らない様にするためだった。


(奴とアレがツルんでた時点で俺たちゃ終了だ。そうでなかったとしても、何処から漏れるか分からないのが、情報ってもんだからな。まあ、貂蝉にも伝えてあるし、なるったけ自力でするっきゃない)


 現地で発生するであろう面倒事に対して、幾ばくかの抵抗の為に情報収集をしながら進むしかない、と気持ちを新たに世話になった家をレオン達は後にするのだった。


 ○


 レオンと子供達が再び旅を始めて数日後、漸くレオン達の目にも大きな城壁が見える場所にまでやってきた。

 その光景に深いため息をつきながらレオンは側にやってきた徐栄と李儒に尋ねる。


「おう、萌に響。あれが目的地の北海で間違いないか?」

「は、はい。漸く……」


 レオンの言葉に徐栄が答え、李儒も頷きで返答した。

 一時休息が取れたとはいえ、武官として身体を鍛えていた徐栄に比べ、一文官である李儒は、既に限界に近いこともあり動作だけで応えたが、目には輝きが戻っていた。


「漸くだ。まあ、大分遠かったが、誰も欠けずに来たんだ。最後までしっかり行くぞ、お前らっ!!」

『はい!!』


 レオンの発破に気合いの乗った返事を返した子供達を引き連れ、漸く彼等は青州の最終目的地である「北海」に辿り着いたのだった。



 何とか北海に辿り着いた一向に待ち受けるものとは……


「エタらなきゃまた次回な」


 それを言わんでくれ、レオンちゃんや。


「ちゃんづけすんな。まあ、いいわ。んじゃ、今年も世話んなったな、来年も宜しく頼むぜ」


 この次は、今までに登場した主要キャラクターの紹介を挟んだ後に、物語を進行させて頂きます。

 それでは、良いお年を~。



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