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とある兵士『ジェフ・トルーマン』の消える日

 第27話で御座います。


 またもや遅くなりましたが、どうぞご覧ください。


 辺りを警戒しながらも、ジェフは徐栄の下へと、フェイスマスクを外しながら移動していると足元に纏わりつく物体を発見した。


「歩きにくいから離れろよ、徐晃」


 右手に「PGM3_8」を持ち、左手で頭を掻きながら、左足にへばりついている徐晃に声をかけるが、徐晃は何も言わずに頭を振るだけだった。

 内心で溜め息をつくジェフだったが、何だかんだ言っても1人の少女が賊相手に命のやり取りをして、漸くその緊張から解放されたら我慢出来なくなるのも仕方ないか、とジェフは勝手に納得し左腕で徐晃を足から引き剥がす。


「あうっ」


 足から引き剥がされた徐晃が悲しそうに呻いた瞬間、ジェフは徐晃を左腕一本で抱え込んだ。


「ふぇ? あの、オジサン?」

「俺の首に両腕をかけな」


 ジェフにそう言われた目が赤い徐晃は言われた通りにすると、ジェフは左手で徐晃のお尻を支える。

 最初は驚いていた徐晃だったが、直ぐにジェフの行動の意味を悟ったのか、抱っこされあやされているのを黙って受け入れる。

 徐晃がジェフの肩に頭をこすりつけぐずりだした辺りで、ジェフは徐栄の下に辿り着いた。


「よう、お疲れさん。徐栄、大丈夫か?」

「は、はい。トルーマン殿、ご覧の通り苦戦はしましたが、大きい怪我などはしておりません」


 辺りを警戒しながら徐栄はジェフにそう答えた。


「し、しかし、何故トルーマン殿は此処に?」


 若干震えている徐栄の声を聞き、ジェフはとりあえず言葉を返した。


「まあ、理由は後で話してやるよ。とりあえず怪我人がいるなら言ってくれ。直ぐ野営出来るとこまで移動すんぞ」


 そうジェフに言われた少女達は、すぐさま集まって移動を開始するのだった。



 ジェフと徐栄との会話後、直ぐにその場から離れて野営出来そうな場所を探して、ジェフ達はすぐさま野営の準備に取りかかった。

 以前沙摩柯達が捕まっていた時の少女達が持つということで、持って行きやすそうで且つ比較的綺麗な天幕を一つだけ拝借していたのだが、それを張ると他はほぼ吹きさらしの荒野に火を焚いて近くに荷物を置くだけだったのだが、少女達は役割分担が出来ているのか、すぐに準備が完了する。

 たった一つの天幕も少女達が数人で持ち運べる物なので、あまり大きくない為、収容人数的に少女達の中でも年少の者や身体の弱い者を優先して入れていく。


 そんなこんなで、とりあえず一息つくため、残り少ない食料を分配し食事をする徐栄達と自前の缶詰めの中身をかき込むジェフが焚き火を中心に座っている。

 そして皆が食事を摂ってホッとし始めた頃、徐栄がジェフに話し掛けてきた。


「トルーマン殿、また助けて頂いてありがとうございました。…しかし、トルーマン殿は、都で何かする予定だと仰っていましたが、そちらの方はもう良いので?」


 そんな事を、おっかなびっくりジェフに尋ねる徐栄にジェフは答えを返せずにいた。


(…再会出来たのは良いんだが、言い訳がなぁ。どうやって言いくるめたら良いんだ?)


 徐栄達に疑われずに自身の目的を達成出来そうな言葉を考えるジェフだったが、直ぐに思いつくはずもなかった。


(俺の馬鹿野郎が…。コイツラが襲われてるって聞いた途端、救出する事だけ考えちまった。マジでどうすりゃ良いんだろな)


 本気で難しい顔になりかけたジェフだったが、今そんな顔をしたら言い訳を考えていたと思われても仕方ないと思い、適当な話と事実を合わせて話すことにした。


「まあ、なんつーか。都に行けたおかげで、何とか本国と連絡が取れたんだけどよ、肝心の任務自体を達成出来てないから大目玉喰っちまったのよ」


 嫌そうに頭を掻きながら若干俯き加減で話すジェフを、少女達は黙って見つめている。

 ふと、ジェフが徐栄を見ると若干不機嫌そうな表情をしていた。


(…開幕から嘘がバレた空気を感じるねぇ。女ってこういう時の勘が鋭いからイヤなんだよなぁ)


 不味そうな雰囲気に内心で舌打ちするジェフだったが、途中で話を切る方が余計に不味いと判断し話を続ける。


「任務については聞かないでくれよ? まあ、徐栄も俺と同じ軍人なんだし判るだろう?」


 そうジェフに言われた徐栄が照れるように顔を赤くして頬掻く様子を見ながら、ジェフは話を続ける。


「んで、本国からは任務を達成するまで帰ってくんなって言われちまってなぁ」


 やれやれといった風な態度で肩を竦めるジェフに少し機嫌を回復したと思っていた徐栄の表情がまた悪くなった。

 明らかに機嫌が悪くなった徐栄を見たジェフは、不味いと思いつつも話を締めくくりにかかった。


「そんで、地元諜報員から俺が接触した現地人…まあ、お前らの事なんだが、お前らが俺の仕事に関係してるっつう話を聞いた上に襲われそうになってるって報告を受けたんで飛んできたって訳だ」


 そう話を終えるジェフを見つめる徐栄の顔は苛立ちに満ちていた。


「…その本国の者とやら、一体何様のつもりなのだ!! トルーマン殿は私達を命掛けで助けて下さった。そのせいでトルーマン殿の任務に支障が出たのは確かだろうが、それにしては一方的過ぎます!!」


 本気で声を荒げて怒っている徐栄に、ジェフは若干引いていた。


(た、確かにちょっとは慕われてるかなとか思ったが、まさか此処までだったとは…)


 表情には出さないように気をつけていたジェフだったが、内心では苦笑していた。

 周りの少女達も同感らしく酷いだのなんだのと、ジェフのでっち上げた『本国』とやらの話を信じてくれたようだった。


「ありがとよ、徐栄。でもまあ、上からすりゃ任務を遂行出来なきゃ無能呼ばわりされても仕方がない」


 実際兵士1人だけに任せる任務など早々有るはずも無いが、少女達からすれば1人で色々出来る(と少女達は思っている)ジェフが無能などと言われる事に我慢出来ないらしく、最初は徐栄だけが不機嫌だったのが少女達全体に広がってしまったようだった。


(…嘘を並べ立てたらマジになって相手がキレた。う~ん、予想外すぎる。いや、慕われてるって事にするか。一応コイツラにとっては命の恩人なんだし…)


 遠い目になりそうになったジェフだったが、プラスに考えることで折り合いをつけようと思い込む事にする。


「まあ、そういう訳なんでな。諜報員から連絡が来るまで、暫くお前らと行動を共にしたいんだが、構わねえか?」


 命令を受けている様に見せて、それでも少女達の意思を尊重していると思わせようとしているジェフは内心で小さくため息をついていた。


(仕事ってのは本当だが、無条件で信じてくれてる奴らを騙すのは気が引けるな)


 塗り重ねた嘘に気が滅入りそうなジェフだったが、少女達からすればありがたいどころの話ではなかった。

 そしてジェフの申し出を聞いた徐栄と李儒は顔を見合わせて頷き合っていた。


「トルーマン殿と私達にどのような関係があるのかは、想像も出来ませんが私達でお役に立てるなら、どうぞお使い潰し下さい。ただ…」

「虫のいい話ですが…。できましたら、使い潰すなら萌ちゃんとわたしだけにして頂けると助かります」


 徐栄と李儒は真剣な表情でジェフに答える。

 その様子に2人を見ていた少女達までジェフの顔を見つめ出した。


(あー、クソ真面目な2人だかんな。借りは返さないととか考えてやがんな…)


 徐栄と李儒が前から申し合わせていたかの様に、頭を下げてきたので唖然としているジェフだったがそんな事を頼んでいるわけではないため、出来るだけボカして説明することにした。


「ああ~、何だな。今から話すことは…あ~、クソッ…一回しか言わねぇし、質問もするなよ」


 勿体ぶった振りをしているジェフを前に徐栄達は息を飲む。

 そんな様子を見たジェフは、頭を掻きながら話し出した。


「ぶっちゃけると、さっきお前さん達を襲った賊や徐栄達を捕らえた賊、んでもって沙摩柯達を捕らえた賊の黒幕が俺の任務に深く関わっている」


 そう言われた徐栄達は目を見開いて驚いていた。

 正直な話、真っ赤な嘘をぶち上げたが、ジェフが捕まえないといけない相手は、ジェフ自身が考えて人間の枠組みで考えてはいけないと思っているため、徐栄達には限りなくデカい相手に見せておいて手出しをさせない様に仕向けようとジェフは考えていた。

 この事で必要以上に怯えられる可能性が高かったが、手出しされるより遥かに良いとジェフは思ったのだ。


「ウチの本国でも危険視している凶悪犯なんでな。出来る限り徐栄達には迷惑を掛けないようにするし、徐栄達に何かして貰わないといけない事態には、絶対にさせないから安心してくれ」


 ジェフは言葉通り現在の自分に出来る範囲の本題を話す。

 本国と言うか自分と貂蝉達にとっての凶悪犯なので嘘でもない。

 そして、どう考えてもジェフが居る以上、彼女達がその関係で厄介事に巻き込まれるのが分かりきっているのだが、ジェフが居ないと今の彼女達では先程の賊の襲撃が簡単に発生し大怪我や下手をすれば死亡する可能性すらある。


(あの変態の話を完全に信じる訳にゃいかんが、一度あんな事があった以上二度無いとは断言出来ねぇからな)


 超常現象を簡単に起こせる者達が言った言葉だったので簡単には信じられないが、無視も出来ないしジェフ自身も後悔したくないと考えた為、そんな話を持ちかけたのだが徐栄と李儒はますます難しい顔をしたので、これ以上ゴタゴタしたくないジェフはまくし立てる事にした。


「徐栄!! 李儒!! 難しく考えんな!! お前らは助けて貰えるし、俺は自分の仕事が出来るんだよ。受けてくれりゃ俺が助かるし、お前らも生き延びるには、青州に着かないと駄目なんだろうが!! 利用出来るもんは何でも使え!! それとも俺は必要ねぇか?」


 一気にまくし立てられた徐栄と李儒だったが、大慌てで答えた。


「そ、そんな筈、あるわけがありません。し、しかし…」

「萌ちゃん。と、とりあえずトルーマン様の仰る事は正しいわ。わたし達だけじゃ今日みたいな事があった時に対応出来ないかも知れないし、トルーマン様がついてきて下さるのは萌ちゃんも嬉しいでしょ?」


 途中から話がすり替えられた気がしたジェフだったが、李儒は吹っ切れたのかジェフの話を受けるように徐栄に促した。


「それにわたし達は元よりこの子達も安心出来るじゃない。恩返しは生きる基盤を作ってからしましょう。 …萌ちゃん専用の返し方もあるし」


 李儒は自分達が連れている子供達を出汁に使い徐栄を説得する。

 唸っている徐栄を前に李儒は最後の台詞だけ徐栄や周りに聞こえない様に言い、口角を少しだけ上げて笑う。

 そんな事を知ってか知らずか難しい顔をしていた徐栄も頷く。


「む、うぅ。た、確かに私達やこの子らも安心出来る。生き延びることを考えればやむなしか…。トルーマン殿、宜しくお願い出来ますか?」


 漸く折れた徐栄にジェフが頷く。


「ああ、勿論だ。無理矢理でわりぃな、だが俺も受けて貰わないと正直困るんで助かったぜ」


 そう言いつつ苦笑いをするジェフに、徐栄達は笑みをこぼす。

 そんな中、話の間大人しかった者がジェフの左腕に飛びついてきた。


「オジサン! ね、ねぇ、これからも一緒に居てくれるの!?」


 勢い良く飛びついてきた徐晃に若干驚いたジェフだったが、左腕にくっついている徐晃の頭を少し荒く撫でながら答える。


「まあ、そういうこった。だからよ徐晃、オジサンはやめねぇか? 俺もそこそこ年食ってるがまだオッサン呼ばわりされる程じゃねぇぜ?」

「うぅー、また頭わしわしするー。 …で、でも真名受け取って貰えないもん。だから、わたしも言わないもん」


 頭を乱暴に撫でられた徐晃は最初嬉しそうに受け入れていたが、名前の件では意外に頑なだった。

 その点については責任があるなとジェフも思っていたので、ジェフは左腕にくっ付いた徐晃を引き剥がしジェフの正面に座らせて自分の切り札の一つを切ることにした。


「なら、もう一度名乗らせて貰うぜ。俺の名は、ジェフ・トルーマン。は、偽名でな、本当の名前は『レオン・トルソー』ってんだ。宜しくな徐晃」


 そう言われた徐晃は元より少女達全体がざわついていた。

 そして目の前でそう名乗りを受けた徐晃は呆けている。


「う、え? えと、オジサンはジェフさんだけどホントはレオンさんで、えと、あれ?」


 かなり徐晃が混乱している様なので、説明がてらジェフ改めてレオンが徐晃に話しかける。


「俺の部隊じゃな、特殊任務中は偽名を使う事があんだよ。だけどな、お前達とはこれから本当の意味で協力し合わないといけないんなら、偽名じゃ格好つかねぇだろ? だから、俺の本名を名乗ったのさ。んで、徐晃。俺は『真名』って奴を名乗って預けたいんだが、どうすりゃ良い?」


 ゆっくりと話したレオンにそう言われて漸く話を理解できたのか、両目に涙を口元は笑みを浮かべながら徐晃が声を張り上げる。


「わ、わたしは徐晃! 真名は『(らん)』だよ!! 宜しくね!!」


 興奮気味の徐晃にレオンも笑みを浮かべて返事をした。


「ああ、これから宜しくな、藍」


 初めて真名を呼んでくれたレオンに徐晃が思いっきり抱きついてきた後、徐栄と李儒や周りに居る少女達から次々と真名を預けられ覚えるのに四苦八苦するレオンが居るのだった。

 やっとこさ、真名を預け合った主人公達。


 長すぎだろ、とか思いつつまったり文章を書いていたりします。


 細々とやっていくので、よろしゅうです。

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