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とある兵士と少女達の長い夜2

 第15話です。


 またまた0時に間に合わなかった…


 しかも誤字があったので修正しました。


 更に書き忘れておりましたが、残酷な描写が本文中に出てきますので、お気お付け下さいませ。



 徐晃を偵察もどきに行かせて、少し経った時、ジェフは隣でやる気になっている徐栄を見て、また説明がいるのかと内心でため息をついた。


「徐栄、言っとくがお前にやって貰う作業は待ち一辺倒だからな? お前の所に逃げてきた奴を仕留めて貰う、それまでは何があっても待機だ。動くなよ?」


 ジェフは徐栄に対して、言い聞かせる様に言うと、徐栄は嬉しそうに頷いた。


「はい、お任せ下さい。トルーマン殿のお邪魔は決して行いません」


 物凄い笑顔で言われたため、本当に大丈夫なんだろうかと逆に心配になるジェフだったが、本人がそう言う以上何か言うのもなんなので、ジェフは何も言わずに商人達の野営地へスコープを向けた。


「…今の所、動きは無い、か。はぁ…」


 内心では、面倒な事になったと思いながらスコープを覗くジェフだったが、その様子に李儒は気になっていた事を聞くことにした。


「トルーマン様? 何故商人達から、奴隷を解放しようと思ったのですか? トルーマン様のお言葉からすると、危険を承知の上、みたいな行動ですが…」


 ジェフにこの行動の真意を聞く李儒に、スコープを覗き込んだままのジェフが答えた。


「はっきり言や、奴隷解放は二の次だ。俺が着目してんのは、奴らが商人って事だ。まあ、見てろとしか言えねぇな」


 奴隷解放は二の次、そう言うジェフにただ徐栄も李儒も少女達も疑問に思いながら、徐晃が帰ってくるのを待っているのだった。


 10分程が経った頃、徐晃達が息を切らせ…る事も無く小走りで帰ってきた。


「こいつらの体力だけは本当に分からん…この国の子供は皆化けモンなのか?」


 ひたすら歩き続けた後、またこうして走り回れる体力が、鍛えている訳でもないのに、あること自体ジェフをげんなりさせるに足る理由である。


「オジさん!! ちゃんと帰ってきたよ!!」


 褒めて欲しそうな顔をしている徐晃を前に、ジェフはとりあえず言葉で答える。


「ああ、良くやった。んでだ、徐栄にその場所を伝えてお前達の仕事は終わりだ、ご苦労さん」


 えー、などと言っている徐晃にジェフは一応もう一つ釘を刺しておく事にした。


「徐晃、お前よぅ。俺と徐栄が離れて、お前まで離れた時に、本隊に何かあったらどうする気なんだ?」


 そう言われた徐晃は、最初は分からなかった様だが、ジェフが顎で李儒達を指し示すと、途端に顔色が悪くなる。

 徐晃がジェフの言いたい事を理解出来た様なので、ジェフが話を締める。


「つぅ訳だ。んじゃあ、徐栄、お前は徐晃達が見つけた場所で待機しといてくれ、ああ、もし見回りが来そうな場所だとお前が判断したら、見回りに関しては自由にしてくれ。但し声を立てさせるなよ。徐晃、お前は李儒に従って後ろに居る全員の護衛だ、頼むぜ? ああ後、李儒。火を消した後、もう少しこの野営地から離れてくれ。松明用には、こいつを使え」


 そう言ってジェフは、ジッポーライターをズボンの右ポケットから取り出しながら李儒の前まで行き、目の前で火を起こす。


「今ので、使い方は判るか?」


 頷く李儒が一度火をつけたのを確認したジェフが、徐栄に手で移動を指示すると、徐栄は頷いて移動を開始し、李儒も焚き火を消して少女達と移動を始めるのだった。

 少女達と徐栄が暗がりで見えなくなった時点でジェフも移動を開始した。


「さ~て、お仕事を始めようか。お前さん達に恨みは無いが、こっちもギリギリなんでねぇ」


 ジェフは呟くが、その言葉は誰に聞かれることもなく、闇に溶けていくのだった。


 〇


 移動を開始したジェフは、今更ながらこれも手の平の上かも知れないと思い始めていた。


(ホテルに突っ込んだ時の重装備が、森の中じゃダークブルーの目立たないタクティカルベスト着てるんだからな…どっからどう見ても、潜入作戦しますって言ってるのと変わらんぜ)


 ジェフは現在、暗色系の普段着の上下にタクティカルベストを着た、PMC(民間軍事会社)にジェフが爺さんと言っていた男や仲間達と共に合流した時の服装に似ていた。


(本当に細かい所まで見てやがるな。気持ち悪ぃぜ、ったく)


 悪態をつきながらも、徐々に、しかし確実に商人達の野営地へ近づいていく。

 辺りには身を隠せそうな岩場の中央に焚き火を囲んで、男達が騒いでいた。


(なんだ? 歌か? …宴会中とはねぇ、あやかりたいもんだぜ)


 商売が上手く纏まったのか、ゴロツキや人夫、商人2人は酒を飲み騒いでいる様だった。

 それを眺めながら移動していたジェフだったが、急に近くにある岩に背中を預けて移動を止める。

 足音がした為に移動を止めたジェフだったが、足音が覚束ない為、相手が酔っている様だと、推測すると息を殺して待つ。

 男はふらふらしながら、ジェフの前にある岩の影に隠れて立ち止まる。

 暫くすると小さな水音が聞こえ始めた。

 ジェフは音も無く岩から離れながら腰のタクティカルナイフを右手で引き抜くと、男を確認しつつ男の背後へ移動し、男の真後ろについた瞬間、左手で口元を塞ぎ、右手のタクティカルナイフで喉を引き裂いた。

 男は口元を抑えられもがいていたが、喉を引き裂かれると、首から下に血を流しながら動きを止めるのだった。

 その後直ぐに男を、先程まで自分の隠れていた岩影に移動させ、また自身も移動する。


(腰に剣、戦闘要員1DOWN、次か…なるべくL1_8Aは使いたくなぇしな…)


 ジェフが商人達を襲う理由は、三つあった。

 一つは、食料である。

 ジェフや少女達が、狩りなどで集めてはいたが、流石に20人近い人間が、ましてや食べ盛りの子供が居るのに保つ訳もなく、ジェフが森の狩りで作った貯金、燻製等はほぼ無くなっており、狩りに何を使ったのかと言えば、基本的には罠だったが、森を出るとL1_8Aを使用しないと鳥類を狩れなかった為、L1_8Aの弾は殆ど残っていなかった。


(残弾4発、拡張マガジンじゃなかったら、その前にoutだったな)


 次に、狙う理由は、情報である。

 特に、商人達がこの様な荒れ地に来て商売を隠れてする以上、彼が欲する現在地の地図が入手できる可能性が高いと判断していた。


(徐晃達を信用しない訳じゃないんだがな…、食料のついでに手に入れられたら幸運に感謝したいぜ)


 最後の目的は、現地の人間が使っている服である。

 ジェフの服装が珍しいと、少女達から聞いていたジェフにとって、現地人と同じ服装を入手する事は、急務であった。


(髪の色や目の色、顔立ちは、アジア圏の筈なのにごまかせそうだしな)


 多少変だと思いはしているジェフだったが、情報が少なすぎる今考えた所で無駄だと思い、頭の片隅に置いておき、服装の入手も視野に置いているのだった。

 再び岩場の外周を移動し始めたジェフは少し移動した後、また動きを止めるのだった。


(剣と槍、2人か…声を出させずにやれるかねぇ)


 武装した男(と言っても剣か槍を持って薄着である)2人は、自分達の後ろ、宴会場を見て舌打ちをしているようだった。

 男2人が何か話を話しているが、スコープで覗き込むと、愚痴のこぼし合いをしているようだった。

 その後、他愛ない世間話に移行した後、片割れの剣を腰に刺した男が槍を持った男に何か話した後、岩場の外側を歩いていった。

 もう1人の槍の男が此方へ来た為、岩に身を隠し再び息を殺して待つ。

 槍の男が、ジェフに気付かず通り過ぎた瞬間、ジェフは口元を塞ぎナイフで喉を引き裂く。

 即座に自分が隠れていた個所に槍の男を隠すと、なるべく音を立てずにジェフは剣を腰に刺した男を追いかけていった。

 少し移動すると、暗がりを移動する後ろ姿が見えた為、スコープで覗き込むと追いかけていた剣の男であると認識する。


(お前らに同情するぜ。酒はやれないが、こいつをくれてやるよ)


 ジェフはしゃがんだ状態で右膝をつき深呼吸をした後、息を止めた。

 そして男の後頭部へスコープの照準を合わせると、引き金を引く。

 L1_8Aが気の抜けた音を発すると、男はゆっくりと倒れるのだった。


 ジェフが外周を一周すると辺りには人の気配が無かった為、ジェフは焚き火の周辺へと注意を向けた。


(戦闘要員3DOWN、んで、残り5は焚き火の周りか…良い子だ。んで、一番はあのガタいの良い奴だな)


 人数と最初の対象を確認したジェフはゆっくりと岩場の間を潜り抜けていくのだった。


 〇


 ジェフが外周の掃除を行っていた頃、その事に気付いた者が奴隷の中に居た。


「…気配が消えた」


 暗がりで尚一層目立つ白髪で、手を後ろ手に縛られた奴隷がそう呟くと、隣に居た汚い布で顔全体を覆い隠した奴隷が驚いた様子で聞いてきた。


「し、沙摩柯。それって本当!?」


 沙摩柯と言われた人物に、シッと小さく言われ、顔全体を覆い隠した奴隷は口に手をやる。


「…大馬鹿。好機かも知れないのに、それを棒に振る気?」


 白髪の奴隷が赤い瞳で、顔を隠した奴隷を叱ると、口に猿轡をかまされ、胴と腕、そして足を縄で縛られた奴隷が唸りながら暴れる。


「…お前も少し静かにして。多分もう少しだから」


 沙摩柯の言葉に、顔を隠した奴隷が疑問をぶつけた。


「なんでそんな事が判るのさ?」


 そう聞かれた沙摩柯が事も無げに答える。


「…血の臭いがするから」


 暗がりで判りにくいが、顔を隠した奴隷は沙摩柯の妙な感じにビクッとふるえるのだった。



 マイナーな人がまた出て来ました。


 五渓の蛮王と言われる沙摩柯さんですが、この物語では素浪人です。



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