とある兵士と元気?な徐晃
第12話で御座います。
徐々に見ていただいている方々が増えてきているようで、嬉しい限りです。
何時もより短いですが、どうぞ~。
徐晃が小高い丘の上で泣き出した後、直ぐに近くへやってきた徐栄が徐晃を抱き締めて背中を撫でさすり、あやしていた。
それと同時に隣で腕を組ながら、また考え事をしているジェフを見て、徐栄はジェフの奇行を聞いてまさか狂ってしまったのか? とそんな事を考えた自分を恥じた。
(この人は、自分の事を兵士と言っていた。しかも、7日間も殆ど眠らずに私達の側を見張り続けながら。賊徒達をも容易く蹴散らして、私達を治療して下さった…)
疑うつもりは無いのだが、只でさえ女尊男卑が余りにも強いこの国では、此処まで能力のある男性は殆ど居ないため、徐栄はジェフの事をただの兵士では無いのではないか? と思い始めていた。
(トルーマン殿は、最初此処が何処かも判らなかったのに、私達を深い森の中から連れ出して下さったばかりか、荒野で只さ迷った訳ではなく水辺へ案内して下さり、最後は藍の故郷にまで連れてきて下さった。此処まで来れば、村や街が必ずあるし、此処を越えれば洛陽へも目と鼻の先だ。トルーマン殿の知恵や勇気は計り知れない、やはりこの方は名のある将軍に違いない)
徐栄はここまでべた褒めしているが、実際は単純にノートパソコン内にある地図と荀イクや李儒から得た情報、そしてジェフ自身の経験によって推理しただけなのである。
特にジェフ達が、長江の支流近くの水辺に辿り着いた事が、この幸運を招き寄せた。
水辺近くの土を確認した時、明らかに干上がっていたため、地面の模様や土の硬さ、水気、味(ミネラル分)などを調べる事がジェフにとっては簡単だった事と、李儒の季節と雨期の情報に地図を組み合わせて大体の位置を割り出して西にひたすら移動した結果が、今の河東群である。
三分の一程運だったとは、ジェフの言葉なのだが…
「オジさんは、神様なの?」
唐突に徐晃が口走る。
目元は泣いていた為、まだ真っ赤だった。
そして真剣かと言うと、そうでもなく徐晃にとっては、もう帰れないと思っていた故郷へ信じられない早さで帰れた為、ある意味混乱しているのだった。
「んな訳ねぇだろうが、俺は普通の人間だっつうの」
やや呆れた顔をするジェフに、徐晃は何時もの笑顔を作れないでいた。
「とりあえず、ここらで今日は休むぜ。徐晃、明日からは案内頼む」
徐栄が返事をした後、直ぐに行動しだしたが、徐晃はまだ動けずにいたのだった。
小高い丘を背に野営をするジェフと少女達一向だったが、今晩は特に賑やかだった。
無理かも知れないと思っていたのに、何とかなってしまった事に安堵し、笑みがこぼれてしまう。
そして、助けてくれたジェフの株は鰻登りだった。
一方、ジェフは妙な感覚に捕らわれていた。
(上手く行き過ぎだ)
ジェフが腕を組み考えていた内容がこれだったのだ。
(確かに俺は長江近辺に居ると予想し西へ移動した。その結果、何とか徐晃が言う河東群との境に着いた。だが、治安が悪いと李儒も言っていたのに、森以降誰とも会っていない。これを偶然と答えて良いのか?)
表情には出さず、物思いに耽っていると、徐栄が食事を運んできたようだった。
「トルーマン殿、お疲れ様です」
ジェフも見たことがない位、良い微笑みにジェフは、失礼ながら悪いモンでも食ったのか? と思っていた。
ジッと徐栄を見つめるジェフに、徐栄が照れながら話す。
「ど、どうかなさいましたか? 何か失礼をしたのならお詫びします」
そう言って拝礼すると、ジェフは居心地の悪そうな表情をしながら徐栄を止める。
「お前さん、なんかあったのか? 表情とか態度とか、変わりすぎて気持ち悪いぜ?」
そう言われた徐栄は、フッと目を伏せてしまう。
「すいません、今までトルーマン殿には無礼を働いてきましたが、せめてもの償いにと態度から改めるつもりだったのですが…」
そう答える徐栄にジェフは首を振って答えた。
「お前さんの態度は、あくまでもあのお嬢ちゃん達の為だろ? 慎重になって疑い抜いてなんぼだ。寧ろそうでなきゃ、あのお嬢ちゃん達もお前さんを慕わないと思うぜ? お姉ちゃんよ」
そう言ってジェフは、口の端を持ち上げて小さく笑っていた。
徐栄は、照れることも慌てることも忘れて、ただジェフを見つめているのだった。
すると、ジェフの背後の空気が動いたが、ジェフは身じろぎもせずに欠伸をしていたが、突然両目を塞がれた。
「だ~れだ?」
そう言う背後の相手を片手で掴んで前へ、持って行きながら答えた。
「どうした? 徐晃。もう元気になったのか?」
そう言われた徐晃は、元気よく、うん、と返事をする。
「オジさん、ほんとにありがとね!! 私、頑張って道案内するよ!!」
徐晃は飛びっきりの笑顔でそう言うと、また明日ね!! と言いながら焚き火の下へと戻っていく。
それを見届けたジェフは、ジェフを見つめる徐栄に話し掛けた。
「徐栄。徐晃の事暫く気にかけてやってくれ」
ジェフにそう言われた徐栄も直ぐに頷く。
「はい…相当無理をしているようですから、響にも言っておきます」
その言葉に、ああ、と答えてジェフと徐栄は焚き火に集まる少女達を見つめるのだった。
次話は、戦闘シーンになるかもしれません。
火器の戦闘シーンはどうなるんだろうか…




