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兵士は一体何処へ行く

 皆様、ご存知の方はお久しぶりです。

 初めての方は初めまして。

 真・恋姫†無双『転生後も共に』と言う小説書いていた者ですが、夏の改変の為、ある意味私の小説が消滅の憂き目にあってしまいました。

 小説のデータはあるのですが、他のネタがクロスしており、話の解体をしているうちに話自体がエラいことになった為、どうしようか途方にくれておりました。


 しかし、キャラが勿体無いなぁと思った為、ちょっとした気晴らしにこんな話を作ってみた次第です。

 良ければご覧ください。

 目の前の豪華なホテルを前に銃弾の飛び交う中、1人の男が走っていた。

 その男の前に横付けで急停車した車から黒服の男達が飛び出してきたが、走ってきた男が持っている銃の下部に付いていたグレネードランチャーを車に発射する。

 車が爆発し廃車になり飛び出してきた黒服の男達は、吹き飛びピクリとも動かなくなった。

 ホテルからも黒服の男達がゾロゾロと出てきて、銃を撃ち続けている黒服の男達を尻目に廃車になった車を盾に、男は背中を押しつけると、奇っ怪な姿の男が2人、LMG(軽機関銃)を両手で持ち前進してきた。

 奇っ怪な姿(分厚いパワードスーツ)に身を包んだ男の片方が車を盾にして姿勢を低く保った男に話しかけてきた。


『小僧、露払いご苦労』


 パワードスーツに身を包んだ男にそう言われ車を盾にした男は呆れ口調で返してきた。


「パワードスーツ装備は流石に重過ぎて動けなくなったと思ったぜ、爺さん」


 そう返されたパワードスーツの男は、笑いながら自らが小僧と言った男に言い返す。


『ふっ、この位の装備でないと3人での強襲なんぞ出来ないだろう?』


 そう言い返されて小僧と言われた男が苦笑する。

 この間にもパワードスーツをきた2人の男が、LMGでホテル前に銃弾をばらまきながら前進していた。


「全くだな、にしても奴さんも派手だな。確か一般の客も居るはずだろうに」


 男はそう言うと、盾にしていた車から身を乗り出し援護射撃を開始する。

 先ほどからパワードスーツの男達の乱射で黒服の男達が激減していた為、男が援護射撃を行う頃には、数人しか居なかった。


『ホテル前、クリア…だな』


 もう1人のパワードスーツの男がそう言うと、車を盾にしていた男が車を乗り越えて再び走り出した。


『小僧、分かっているとは思うが、一般人への攻撃は厳禁だ』


「わぁ~ってるって。手筈通りにやって、今度こそ終わりにしようぜ、爺さん!」


 そう言いながら男はホテルのロビーに侵入すると、ロビーの少し奥に配置されたエスカレーターから民間人がなだれ込んできた。

 その後ろには、武装した黒服の男達が、銃を発射している。

 男は、一般人に押されてもビクともせずにサイトを覗き込み、黒服達に銃弾を叩き込む。

 小僧と言われた男に遅れてやってきたパワードスーツの男達はLMGのマガジンを入れ替えながら更に前進している。

 エスカレーターを登り僅かに残った黒服達を始末すると、エレベーター前に3人が集まる。

 集まったところで、爺さんと言われた男が話し始めた。


『上に奴がいる。此処からが正念場だ。一気にケリを付けよう』


 残りの2人が頷くとエレベーターの到着音があたりに響く。

 エレベーターが開くと中には誰も乗って居なかった。

 小僧と言われた男は一瞬気が抜けたが、その時、ロビーから数十の足音が響き渡った。


「マジか、やられるのも早いけど涌くのも早いなぁ」


 小僧と言われた男が、悪態をつくと爺さんと言われた男が怒鳴る。


『小僧、早く乗れ!!』


 小僧と言われた男が、エレベーターをチラリと見るとパワードスーツの男達はエレベーターに乗っていた。


「流石にこの状況で3人とも乗ったら、良いカモになるぜ? …爺さん、あんたのお陰で此処まで来れたと思ってる。楽しかった。じゃあ、旦那に挨拶に行ってくるわ」


 そう言うと小僧と言われた男は、頭に右手をやり崩れた敬礼をする。


『…俺は、ヤワな鍛え方をさせていない。サッサと連中を片付けて追いかけてこい』


 爺さんと言われた男が、そう言うとエレベーターの扉が閉まる。

 扉が閉まりきった後、小僧と言われた男は呟いた。


「Yes,Sir」


 男の呟きをかき消すかのように、銃弾とランチャーの雨が男に降り注ぎ、小僧と言われた男は弾雨に晒されながらもサイトを一瞬覗き込み、トリガーを引く。

 黒服達は数を減らしていくが、甲高い銃声がロビーに響き渡ると、小僧と言われた男を膝を着きゆっくりと倒れていった。




 少女達は暗い森の中を、夢中で駆け抜けていた。

 最年長と思われる長身の少女は暗い森を走りながら、後ろに続いている小さな少女達の為に身体を盾にして葉っぱや枝を取り払う。

 懸命に走る少女達だったが、次第にゆっくりと速度が落ちてきた。

 それに気付いた長身の少女が、遅れてきた少女に近づいて手を引く。

 少女達は、既にかなりの時間を走っていた様だった。

 後ろに居る少女達はおろか、長身の少女ですら、顔が青くなっていた。


(此処まで来れたのに、くっ)


 沈痛な表情になりそうだった長身の少女だったが、直ぐに顔を振り気を入れ直す。

 年端も行かない少女達が、さっきの自分を見れば不安にさせてしまう。 こんな暗い森で不安になれば、悪い方向にしか進まない。


(例え辛くても自分だけは、前を向かないといけない。皆の為にも、自分の、為にも…)


 長身の少女は、暗くなりそうな自らに喝を入れたが、先に小さな少女達が限界を迎えた。

 皆の足が遅れてきて、倒れそうになっていたのだった。


(ほう)ちゃん、流石に無理よ。少し休みましょう」


 萌と呼ばれた長身の少女は、何時も隣に居てくれる自分の親友に向き直った。


「…しかし、いつ奴らに追い付かれるか分からないんだぞ? この暗い内に行けるところまで行くべきじゃないか? (きょう)って、ひゃっ!?」


 そう言う萌であったが、直ぐに響と言われた少女に背中を触られて奇声を上げる。


「わたしやあなたならまだ走れるけど、この子達はそうは行かないわ。これ以上走ったら追いつかれる前に、この子達が潰れちゃう」


 そう言う響の言葉に、萌は少女達を見渡すと、藍色の髪の少女が後ろを振り返る。

 言葉はなかったが、強い意志の篭もった目で此方を見返してきた。

 それを見た萌は、一瞬目をつむり小さな声で少女達に話しかけた。


「皆、少し休もう。あの大きな木の後ろまで何とか走りきるよ」


 少女達は泣きそうな表情ながら頷き、最後の力を振り絞りどうにか大きな木を背にした。

 流石に無理をしすぎたらしく、何人かの少女は嘔吐を繰り返しており響がその少女達を介抱している。

 すると先ほど見つめ合った藍色の髪の少女が、弱々しく話しかけてきた。


「…はぁはぁ、ど、して、止まったの?」


 藍色の髪の少女も青い顔をしており、正に息も絶え絶えだった。


「…かなり距離を稼いだ筈だからな、ここら辺で少し休まないと動けなくなる」


 そう萌が藍色の髪の少女に言うと、少女が困った顔をして返してきた。


「も少し早くして欲しかったかなぁ」


 青い顔をしながらも懸命に笑顔を作り、おどけてみせる藍色の髪の少女を見て、萌は少女を抱きしめる。


「無理させてすまない。皆は私が必ず守ってみせるから」


 萌は少女の震える身体を抱きしめながらそう言うと、耳元で少女が呟いた。


「萌姉は良いお姉ちゃんだけど、何でも1人でしようとしすぎ」


 顔色は相変わらず青いが藍色の髪の少女は、もう息が整ってきたらしく多少饒舌に話し始めた。


「皆で頑張ろ? 萌姉には、響姉や私達が居るんだから」


 そう言うと、藍色の髪の少女は、萌から少し離れ、若干赤みが戻った顔で花のような笑顔を作った。

 すると、泣き笑いの顔になった萌が、藍色の髪の少女の頬に手を当て少女に話しかける。


「藍にはかなわないな、お前は何時もそうやって人の心を癒してくれる」


 そう言い萌は藍と言う名の少女を抱きしめ直すと、藍は照れたように頬を掻く。


「持ち上げすぎだよ、萌姉。あ、(りょく)、気がついたみたいだから行ってくるね」


 そう言うと藍は萌の下を離れていき、藍が緑と呼んだ緑色の髪の少女の下へ走っていった。


「さっきまで青い顔だったのに、もう走れるのかあいつは」


 そう言いながら萌は藍を見ながら苦笑していた。

 小休止を取った少女達は数人を除きフラフラになっていた。

 しかし、何時までも留まるわけにはいかなかった為、フラフラの少女達を優先して皆でゆっくりと歩き出した。

 少女達は皆、足取りは重いが、それでも前へ進んでいった。

 暗い森の中を少女が身を寄せ合って歩いていくと、前を歩いていた萌と響に戦慄が走った。

 何故2人がそうなったかと言うと、2人の目の前に妙な姿をした男性が立っていたからだった。




 男は混乱していた。

 ホテルのエレベーターホール前で、いきなり目の前が暗くなったかと思えば、急に辺りが薄暗く先程の屋内とは違う湿度の香りが漂う場所に立っていたからだ。

 しかも、まだ目が慣れていない為、匂いからしか判断できなかったが、自分の現在地が深い森の中に居る様だと経験則ながら感じ取っていた。

 瞬間人の気配を感じたが身体が何故か反応せず、男は棒立ち状態で、その気配の正体を目撃する。

 ぼろ布で肝心な所は隠しているが、柔肌の大半を晒した見目麗しい少女が2人此方を見て硬直していたのだ。

 硬直している2人だったが、片方の長身の少女「萌」がハッとして足下に落ちていた細い木の枝を構える。

 流石に撲殺出来るほど太い枝では無かったが、贅沢は言えないとばかりに萌は枝を構える。

 少女2人の後ろには、次々と少女達が集まり、皆が一様に男に気付いて怯えだした。

 暗い森の中で、男と少女達が対峙していると、少女達の後ろから悲鳴が響き渡った。

 少女達の中で身なりが周りに比べれば良い少女が、男に捕まっていたのだった。


「桂花ちゃん!?」


 鳶色の髪の少女が男に捕まった少女の名を叫ぶが、捕まった桂花と呼ばれた少女は、恐怖に固まり全く動けなくなっていた。


「おう、そこの妙な奴、助かったぜ」


 そう言う桂花を捉えた男の周りに次々と松明を持った男達が集まり辺りが明るくなってくる。


「あ、あぁ…」


 後ろを見る桂花の顔色は真っ青になり、歯の根が合わずにカチカチと音を立てている。


「ぐっ、もう追い付いてきたのか!?」


 苦虫を噛み潰した様な顔した萌が桂花を捕らえた男を一瞥し目の前の男を睨む。

 萌の目端には、うっすらと涙が光っていた。

 萌が持っている細い木の枝が震え始めた。


(…こんな、こんな理不尽な終わりなんて)


 萌の目に諦念の色が浮かんだ時、急に萌の目の前に居た男が動き出した。

 萌は、もう駄目だと思った瞬間、少女達や男達の聞いたことの無い音が暗い森の中に響き渡る。

 妙な男が、これまた妙な固まりを顔に近づけ一瞬の内に周りの人間が聞いたことのない音を響かせたのだった。


(やっと身体が動いたが、何で俺A○Rなんて持ってんの?)


 爺さんから小僧と言われていた男は、夜間の森の中でAR(アサルトライフル)担いでますよ、などと考えながらQD(クイックドロー)で桂花と呼ばれた少女を掴んでいる男の眉間に1発、両上腕に1発ずつの計3発をぶち込むと同時に叫ぶ。


「走れ!小娘!!」


 銃声が響き渡り周りが固まっていた瞬間を狙い、桂花に声をかけると、桂花は恐怖など感じさせない動きで此方に走り出し鳶色の髪の少女に抱きついていた。


(動けないだろうなぁ、と思ってたのに意外に根性あるな。ああ、そうじゃなくてひっくり返っただけか)


 桂花の表情は伺えなかったが、多分恐怖が溢れすぎて軽くキレているのだろうと男が考えていると、ARのトリガーを掴んでいた右手を放した瞬間、男の背後のラックから四角い物体を掴み、撃ち殺した男の下に放り投げる。

 撃ち殺された男を呆けた表情で見ていた男達が、事態の急変に頭が追いつき、此方に向き直って怒鳴ろうとした瞬間、小僧と言われた男は彼らや少女達にとってはただの小さな箱、男にとっては凶器である投げた得物、「C4」の起爆スイッチを握り締めた。



 一応、前作の主人公である藍と緑が登場しております。


 性格はそのままに、転生関連を完全に削除しております。


 因みに今作は百合が無いようにしていきたいと思っております。

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