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■ 黄泉の国の鬼さん 編

名前 :


基本スペック : 黒髪黒目、日本人、性別オス。(他非公開)


称号 : ラーメン屋店主(屋台)

    異世界放浪者(自動)

    不思議ラーメン製作者(自動)



--------------------

俺は素敵なラーメン屋さん

--------------------




「止まれ止まれぇい!! そこな不審者、止まれぇい!!」


「はーいはーい、ストップストップーぅ。お兄さん、ストップねー。はい、そこのバミってあるところでストップよー」


「む! 不審者よ! その線を踏むでない! せっかくわしが総務課の備品担当から『でこぼこの地面にも貼れる! 超粘着テープ』を無理を言って分けてもらったというに……大事に扱えい!」


「その白い線が停止位置だからー。はい、オッケー。お兄さん、ここ、黄泉の入り口の門なのね。関係者以外立ち入り禁止なんだけど、ご用件は何かなぁー?」


「毎度どうもー。ラーメン屋っす」


「うむ、まあ、ラーメンの屋台だというのは見ればわかる。この黄泉の第一門が門番、赤鬼! 視力は10.3である!!」


「同じく門番の、青鬼でーす。ちなみに、夜番のシフトが多いよー。で、なんで黄泉にラーメン屋台?」


「ラーメン売りに……」


「……うむ、まあ、ラーメン屋だからな……」


「ラーメン屋台引いてるもんねぇ……。でもねぇ、関係者以外立ち入り禁止なんよー。戻ってくれる? ていうか、戻れる? 普通はさぁ、死んじゃってたり死にかけたりする人しか来れないんだけどなぁ。ここに来る前にさ、河原におばあちゃん居なかった? 止められなかった?」


「ああ、あのばあちゃんにはチャーシューサービスしときましたけど」


「なんと! あの婆さんにすでにラーメンを!?」


「ええぇええ……? 買収されちったの? おばあちゃんってば」


「や、普通にお客さんとして支払いもしてもらいましたけど。『やっぱり味噌じゃな、味噌! この野菜大盛りがいいんじゃわ!!』って、ぺろりと大盛り平らげてましたよ」


「あの婆さんが……、金を払った、だと……!? 信じられん……! そ、それほどの味なのか……?」


「ちょっと、赤おっさん! 涎たれてるよー! ゴクリ、じゃねぇから! ええと、それで、お兄さんはどこまで行くつもりなの? やっぱ門番としてはさ、不審者を通したら怒られちゃうわけよぉ。関係者の証明できるものとかあれば通せるんだけどねぇ。あとは、お兄さんが死者だったらー、とかね。でもどう見てもお兄さん生きてるし。ぴっちぴちの生者だし。通せないよねぇー」


「って言われてもなぁ……。……ああ、そうだ。忘れてたけど、先日ここのお客さんが忘れてった忘れ物を届けるってぇ用事もあるんっすよ。んで、いつもは通らないこっちの道を通ってるんですけど……」


「忘れ物とな?」


「忘れ物って、どんな? 見せてくれないかな」


「これです。なんか、これがないと仕事が進まないから届けに来てくれって連絡があったんですよね。道々商売してもいいからって言われて遠回りしてるんっすけど、連絡し忘れてんのかな、あの人」


「青っち よ、このしゃく……」


「赤おっさん、このしゃく……」


「あ、見覚えあります?」


「あるなどというものではないぞ、ラーメン屋よ。これは、……いや。わかった。通るがよい。我らが上司が世話をかけたようである。すまぬ」


「わぁあ、なんで本部のほうで残業申請多いんだろって思ったら、閻……げふんげふん!! 上司がミスしてたのねー。いやぁ、こりゃばれたらスト起きますわー。……ははーん。それでラーメン屋さんを巡らせてるわけね。赤おっさん、こりゃラーメン代金、ツケていいってことだとみたね!」


「ラーメン食べたい奴には食わせてやってくれって言われてるんで、そうだと思いますよ。河原のばあちゃんは持ち帰り用ラーメンの分だけ払ってもらってるんで。お二人も食べます?」


「もちろん、食べるぞ! 近頃人手が足りんで、休憩時間もろくに取れておらんからな! 儂は濃厚とんこつ醤油を! チャーシュー10枚乗せで!」


「屋台ラーメンなんて、初めてだなぁー。しかも、仕事中に食べれるなんて、わくわくするねー。こっちは塩大盛りで、餃子も一皿ー! 長く門番してるけど、こういうことがあるんだったら閻魔……げふげふ! 上司の脱走癖も黙認するべき?」


「へい、濃厚とんこつ醤油と、塩大盛り、おまちーぃ」


「おぉおお!!! ふぐぅ……!!! ふまひ!!! ふーまーいーーーーー!!! 濃厚でいながら、えげつないしょっぱさが無い! スープが飲み干せるぞおおお!!」


「赤おっさん、うるせぇー……。しかも、口から麺出てるぅ……。それにしてもお兄さん、すげぇラーメン屋さんなんだなぁー。こっちの塩もめっちゃうまい! 透明なスープなのにしっかり深みがあるっていうか、スープだけでも何杯でもいけるよ。麺と良く絡んで……いいねぇ。社食見習ってほしいよー」


「喜んでもらえりゃ、こっちもうれしいねぇ。……それにしても、門ってあとどれくらいあるんだろなぁ。毎回このやり取りすんのか……?」


「ふむ、社会人の基本、ほうれんそう(報告・連絡・相談)がうまく機能しておらんようだな」


「あ、さっきのしゃくだけどさぁ、うちの上司への嫌がらせ……じゃなくて、反省を促すために、その『お客様の忘れ物入れ』っていう籠の中に入れておいてくれないかなぁ。それを見たら上司もきっと反省するっしょー。そうしてくれるなら、こっちでこの先の門番連中にはラーメン屋さんのこと伝えておくからさー」


「そりゃありがたい!

 なんたって俺は、



  『場所を問わない超人気ラーメン屋さん』



だからなぁ。」




「場所と相手は選べるのだぞ、ラーメン屋よ……」


「そうだよ、選んでいいんだよー。でも、また来てほしいなぁ。餃子もおいしいし!」









end

-------------


黄泉の門番 赤鬼:

種:赤鬼(平行世界:---産。オス。年齢:不詳)

称号:

 赤おっさん(他称)

 黄泉の門番(シフト制)

 おっさん

 濃厚とんこつ醤油ラーメン好き(鬼)

 チャーシュー好き(信者)


-------------


黄泉の門番 青鬼:

種:青鬼(平行世界:---産。オス。年齢:不詳)(←修正)

称号:

 青っち(他称)

 黄泉の門番(シフト制)

 ちゃらいにーちゃん

 塩ラーメン好き(鬼)

 餃子好き(スタンダード派)


--------------------------------------

蛇足)どこかのどこか。

   ちなみに、停止線は門があいてもぶつからない位置(内側にも外側にも開く門なので)。(「種」修正しました。)

   


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