■ 隠れ里のドラゴン 編
名前 :
基本スペック : 黒髪黒目、日本人、性別オス。(他非公開)
称号 : ラーメン屋店主(屋台)
異世界放浪者(自動)
不思議ラーメン製作者(自動)
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俺は素敵なラーメン屋さん
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「へい、らっしゃーい」
「ぬ……。何故このようなところに人間が居るのだ? ここはドラゴンの隠れ里ぞ」
「おぉ……。でかいな。久しぶりに巨大なドラゴンのお客さんだなぁ。……屋台の三倍は…ある、か?」
「なんと、ドラゴンの言葉が話せるのか? これは珍しい!」
「おっと、茶色のドラゴンさんよ。屋台のそばでそんな畳3枚分もありそうな翼を振らんでくれよ。スープに埃が入っちまわぁ」
「スープ、とな。このようなところで料理か? 野営の準備でもしておったのか?」
「いやぁ、俺は屋台でラーメン売り歩いてるもんだ。料理の行商って感じか」
「ほう。料理をその場で作って売るとな。面白い。私も食べられるようなものであろうか?」
「食事が必要ないってぇドラゴンのお客さんが以前いたけど……、そのお客さんはスープだけ飲んでったなぁ。あとは、普段は動物を踊り食いするっていうドラゴンのお客さんは、ふつーに注文して食っていってたぞ」
「なんだと。私よりも先に屋台での食事を体験したドラゴンがいるのか!!」
「気になるんなら、食ってみるかい?」
「ぬぬ……! うむ、よし! もらおうではないか! ……あ、いやしかし、まて。人間との商いに使えそうな貨幣が無いかもしれん……。その、以前そなたが会ったドラゴンたちは、どのようにしたのだ?」
「人間から巻き上げたその世界の貨幣で払ったドラゴンもいたけど、よくあるのは物々交換だなぁ。たとえば『きれいな石』とか、よくわからん『動物の肉』とかも貰ったかな。『木の実』とか『時間』とか『通行証』とか……。まあ、なんていうか、その世界のルールや状況なんかにもよるんでなぁ。貨幣だと確かに分かりやすいんだが、それに準ずる物でも全く構わん」
「そうなのか……。よし、わかった。まずはそなたの料理とやら、それをもらおう。そして、それに見合うと私が判断するものをそなたに支払おうではないか」
「ああ、こっちはそれで全然かまわんぞ。ちょっと待っててくれ。今準備する」
「ふむ……なんともかぐわしい……。このままこの箱ごと丸飲みしてしまいたいのぅ……。うぅ、尾が勝手に揺れるぞ……」
「おいおい、そりゃ勘弁。そんなことされちゃぁ、スープがこぼれちまうっての。はいよ、醤油ラーメンドラゴン用大盛りおまちぃ。カウンターに乗らねぇから、地面に置くぞ。チャーシューたっぷりおまけしといたぜ。ささ、ずいっと食ってみてくれ」
「おぉ……! よい香りだ。肉の塊とはまた違う、複雑な香りに涎が止まらぬ。どれ……」
「あ、熱い料理だから気を付け……」
「人間よ」
「あれ、もう空……」
「これは、これは……私の生涯をかけて集めた財宝をすべて渡すべきだと思うのだが、その箱の中に入るか? 入らぬなら、そなたの家に私が持って行ってやろう」
「は?」
「いかん。もう一度味わいたいが、……財宝をすべて渡してしまうとなると次の支払いができぬ。よし、久方ぶりに人間の国を一つ二つ滅ぼして財宝を集めなおして……」
「ちょ、待ったぁああああああ!!! いや、それ、そこまでいらないから! ラーメン一杯も相場ってものがあってな!?」
「任せよ、人間。私はこの隠れ里の長をしておる。財宝の質は良いぞ」
「や、そういうことでなく!! あ、そ、そうだ! 隠れ里への通行証! それ、くれればいいから!! 次の支払いも、財宝全部とかでなくていいから!」
「なんと! そなたの料理の評価はそのようなものでは……」
「いやいや! 毎日何十杯もあんたのためにラーメン作り続けなきゃいけないだろ!」
「……ほほう。それはそれで良い……」
「良くないから!
俺はなぁ、こう見えても
『いろんなドラゴンから引っ張りだこなラーメン屋さん』
なんだよ!」
「むむぅ……。私の里で正式に店を出す許可をやってもよいのだぞ……?」
「無理!!」
end
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隠れ里の茶ドラゴン:
種:ドラゴン(平行世界:ブドランド産。メス。年齢:不詳)
称号:
隠れ里のドラゴン(茶色)
五枚羽のドラゴン(強)
隠れ里の長(実力主義)
チャーシュー好き(探究者)
ラーメン好き(信者)
お金持ち(財宝ざくざく)
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蛇足)ありがちドラゴン登場。
初めてのドラゴンのお客さんのときには、
店主が口の中にラーメンを放り込んでいたらしい。




