2曲目『平和』
・・ぃ・・・ろ・・・!
『?』
「…きろ!」
『誰だ?僕の安らぎの時間を邪魔する奴は…Zzz』
「起きろ!バカタレ!!」
『ウルサイ!ほっといてくれよ…Zzz』
バーン!!
頭の中を星が閃いた。
「!!」
顔を上げると、出席簿を振りかざした数学教師の顔が有る。
「話も聞かんとは余裕だな、ん?…チョットこの問題解いてみろ!」
頭から眠気が一気に消し飛ぶ。
そして黒板には複雑な無理関数の問題。
『無理…』彼は心の中で呟いた。当然だ、10秒前まで爆睡していた人間が、数学のメンドクサイ公式やら解き方なんて思い出せるわけない。
いや、正しくは思い出す努力もしないわけだが…。
こうなれば、彼に残された選択肢は少ない。
あの勝ち誇った数学教師の顔面にパンチを入れるか…あるいは、4階の窓から突き落とすのも良い。
―まてまて―
違う違う、そんなことをしたら一瞬で退学だろう。
ヘタすれば警察沙汰だ。
そんなリスクは犯せない、やっぱりここは毒・・・
じゃなくて、素直に期待に応えよう。
「…わかりません」
彼は教師な期待通りの言葉を吐くしかない。
「ア〜レ〜?こんな問題楽勝だろ?だから寝てたんだよなあ?俺の話も聞かずにな」
おそらくこの台詞が言いたかったのだろう。教師の顔はニヤニヤを隠し切れていない。
『黙れ!!ヒトとゴリラのハーフみたいな顔しやがって!』と言いかけて止めた。
「バカはちゃんと授業を聞くんだな。座れ、アオイ」
アオイと呼ばれた青年は教師を睨んでから席に座った。
彼の名前は碧勇。(アオイ・ユウ)
ちなみに、彼は専ら名前で呼ばれる事が多い。
“アオイ”では、女の子みたいだからである。
プロフィールを簡単に紹介しよう。
まず年齢は17歳、現在高校2年生。所属クラブは無し。
趣味は読書で、特技はピアノ。と、これだけ見ればオトナシそうな印象を受けるが、初対面の人に趣味を言っても、おそらく信じてもらえないだろう。
その一番の理由は何が原因か真っ白な髪の毛である。それに加えて女か男か判らないような中性的で端正な顔立ち。さらに、ホストと間違われてもおかしくない雰囲気。
明らかに遊んでそうなオーラを放っている。
実際、軽そうな女からの逆ナンなんて日常茶飯事だ。
が、人見知りがヒドイせいでイマイチ上手く喋れない。
結局、女の方が脈無しと判断して、離れていってしまうのである。
こんな感じの高校生(通称ユウ)は大体平和な日常を送っていた。
あの瞬間までは…




