表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

第一章 2





一階の食卓にて、カリエは母親の作った料理を黙々と食べていた。


「うん。やっぱりお母さんの料理美味しー」


その隣の椅子では、グエルダがテーブルに突っ伏して小さく呻いている。


怒ったカリエに全力で殴られ、その後引っ張られてきたのだ。


ついでに一階へ行くまでの間に散々説教が飛んでいたのはご愛嬌。


ダメージが大きかったらしく、顔だけを持ち上げてグエルダはカリエを見上げた。


「うあー、まだ殴られた所が痛いんだけど……カリエ」


「……」


声をかけられるが、カリエは無視したまま黙々と食事を続ける。


「ねぇ、聞いてる?」


「……聞いてない」


冷たく一言で返され、グエルダは鼻を啜って顔を覆う。

「カリエが冷たい。凍りそうなぐらい冷たい」


「だってグエルダは変態だし」


「…………はぁッ!?」


数秒してから驚くグエルダをひと睨みして溜め息をついた。


先程の事を思いだし、怒りで手が震えてくる。


「私の、私の裸をーーッ。ほんっとに最悪、馬鹿グエル!!」


「それは悪いって思ってるよ! でも、仕方がなかったんだってば」


あの後にグエルダから言い訳を聞いてあげたら、どうやらカリエの母親に頼まれて、寝ているカリエを起こそうと部屋に来たらしい。


「――カリエ、だからグエルダちゃんには私が頼んだんだって言ったでしょう。あまり苛めちゃだめよ?」


と、向かい側で朝食を食べていた女性が、カリエにそう注意した。


黒髪を緩く結った女性、母親の言葉にカリエは首を振る。


「でも、グエルダは私の裸を見たのよ。絶対に、ありえない。しかもジロジロ見てたよね、ね?」


「ぅ、それは……」


「言い訳するのかな〜」


さらに冷えた瞳で見られ、グエルダは項垂れた。


「……いいんですよ、ティアさん。カリエに怒られるのはいつもの事ですし? もう諦めて――」


「ほーう?」


「ッ~~いッ!?」


カリエはテーブルの下で、グエルダの足を思い切り踏みつけた。


痛みに口をパクパクさせて此方を向くグエルダに、カリエは舌を出す。


「まったくもう……。カリエと違ってグエルダちゃんは大人ね。そうだわ、もしよかったら朝食食べていく? まだでしょう?」


「まだです、けど。でもいいんですか? ティアさんの料理美味しいから嬉しいですが……」


「ふふ、全然大丈夫よ。じゃあ今から持ってくるから、ちょっと待っていてね?」


ティアは自身の食べ終わった食器を持ち、台所に入っていく。


ティアからグエルダに視線を移し、カリエは深く溜め息をついた。


「ん? ちょっとカリエ、なんで人の顔見て溜め息吐くのさ」


「ん~、グエルダってばまた遠慮するから」


「そりゃあ、普通は遠慮するよね? カリエは平気そうだけど」


最後の一言を強調して言うグエルダを睨み、カリエは呆れたように首を振る。


「そうじゃなくて……、もう」


「まぁ、なんとなくは分かるけど。……でもさ、村の人たちにはあんまり迷惑かけたくないからさ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ