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第一章 13

「やっと見つけた」


妖艶に微笑んで佇むその少女を見た途端、ぞわりと全身に寒気が走った。


その容姿を見るに、リアが探していた姉で間違いないようだが……。


つと、此方に少女の瞳が向けられた。


「ーーッ!!」


深淵のような紫の瞳と、青空のように澄んだグエルダの碧眼が交差する。


心臓が早鐘のように鳴り、冷や汗が流れた。


少女の姿を見るだけで、何故こんなにも嫌な予感がするのだろう。


話したことも見たことすら無い存在に、何故。


此方の異常な反応に気づいているだろう少女は、クスリと含みのある笑みを溢した。


「あら、貴方は?」


「……はじめ、まして」


震える腕を抑え、グエルダは声を絞り出す。


と、突然背後から何かを叩きつける激しい音が聞こえてきた。


驚きに肩を揺らして振り返ると、席からリアが立ち上がっていて。


どうやら音の原因は、リアの座っていた椅子が倒れた所為らしい。


「お姉ちゃん」


焦燥感を浮かべるグエルダをちらりと見て、リアは姉に駆け寄ってゆく。


少女は妹を優しく優しく抱き締めた。


「あぁリア、良かったわ」


「うん」


「見つからないかと思ったもの」


そのやり取りを、グエルダは呆然と見つめる。


本来なら姉妹の再会を喜ぶべきなのだろう。


なのに、どうしてこんなに違和感しか残らない?


いや、理由はわかってる。


迷子だったリア自身が、姉との再会に対して余りにも嬉しそうではないからだ。


潤む瞳が、申し訳なさそうにグエルダを見た。


「もしかして、貴方がリアを助けてくれたの?」


「……え、えぇ」


ゆっくり頷くと、少女は顔を伏せたリアを連れて此方に歩み寄ってきた。


相変わらず少女は笑みを張り付けており、シミ一つない白い手を此方に差し出した。


「始めまして。私はヒューナよ」


「グエルダ、です」


恐る恐る手を伸ばし、目の前に差し出された白い手を握りしめる。


肌に触れた瞬間、くらりと眩暈がした。

少女の手があまりにも冷たいからか、それともーー。


グエルダは慌てて少女の手を離し、無理矢理笑顔を作りあげた。


「そ、それじゃあ2人が無事会えたみたいなので、俺はこれでーー」


「お待たせしました。御注文のお品です」


と、空気に気づかない店員がテーブルにデザートと飲み物を置いて去ってゆく。


「……ぁ」


それはあまりにも、タイミングが悪かった。


「あら、頼んだモノは食べないと勿体無いわ。折角だもの、私も一緒にお茶良いかしら?」


呆然と瞳を揺らめかせるグエルダに、ヒューナはクスリと嗤った。


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