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三話 帰還

朝、優斗達は二人で朝食を食べていた。


「ねぇねぇ、いいでしょ?」

「・・・。」

「優斗いいだろ?」

「・・・。」

「朝食食べさしてあげたじゃない!ね!」

「優斗もおいしそうに食べてたじゃないか、チップと思えば安いだろ?」


ミリアに朝方起こされて朝食が用意してあると言われ、二人はホイホイついてきてしまったのだ。

どうも昨日のマッチが気になっているらしく、朝食のお駄賃として要求をしてきた・・・食べた後に。


「はぁ色々問題があるんだけどな・・・。」

「問題って?」

(ここで言えないから困ってるんだ!)

「はぁ、仕方ない、諦めが悪そうだしな・・・。」

「やった!」


春也は二階の部屋まで急いでマッチを取ってくる。


「はいこれ、ミリアちゃん今日どこか行くの?」

「ふふ、ありがと、これから魔法学校に行くの。」


”魔法”という単語に優斗が反応するが、耳だけを傾ける。


「ミリアちゃん学校か、じゃあ今日は会えないのか、残念だなー。」

「今日もうちに泊まればいいじゃない、お金は取るけど。」

「残念僕達も行く所があってさ、また明日来るかも!」

「ほんと!じゃあ絶対に来てね、待ってるから!」


じゃいってくるねと言ってミリアは学校へと向かった。


「ミリアちゃん”待ってるから”だって!」

「変な約束はするなよ・・・まだ元の世界に帰れるかも分かってないんだからな。」

「大丈夫!ミリアちゃんが待っていてくれるなら何所へでも行ける!」

「はぁ、まぁいいか、お前なりの現実逃避って事にしておくよ。」

「はは、分かってるねぇ優斗先生は。」


そんな不毛な会話をしながら午前中のやることを決めることにした。

二人は昨日置いてきたイノシシもどきを取りに門へと向かうことにした。


「にしても、結構人が居るね。」

「昨日は太陽が沈んでたからな、それだけ治安が悪いんだろ。」


曲がり角を曲がり昨日門があった場所へと来る、門は開いていた。


「なんだか人ごみが出来てない?」

「だな。」

「いってみよう。」


人ごみを掻き分け二人は入っていく、その人ごみは門の外まで続いている、昨日の小屋のあたりで止まった。


「出て行きにくいね・・・」

「嫌な予感しかしない」


どうやら昨日春也が倒したイノシシもどき、もとい”ノルド”が原因でこの騒ぎらしい。


「だから、これは俺達が倒して、昨日ここへと持ってきたって言ってるだろ!」

「おいおい、これは預かり物なんだ勝手に持っていかれちゃ困る。」


ざっと6人は居るであろう男達がハンスに食って掛かっている。


「お!来たかサハラにキリシマ!」


”げっ”とさすがの優斗も顔に出てしまう、しぶしぶと人ごみから出て行く。


「おいおいまさかこいつらの物とか言うんじゃないだろーな?」

「そのまさかだが?」

「二人だぜ、ありえないだろ!」

「だってよ。」


振られても困るんだけどな、奇妙な格好をしてる上に、この大衆の中で春也一人で持ち上げるのを見られると後々厄介に巻き込まれる可能性が出てきてしまうと、優斗は考えていた。


「ハンスさん、すみません」

「?」

「そのノルドは彼らの物です、あげちゃってください。」

「おいおい、サハラそれでいいのか?」


優斗はハンスに近づいて小声で言う


「(騒ぎになるほうがめんどくさいですから・・・)」

「そうか・・・わかった、いいぞお前ら持っていっても。」

「何言ってやがる、これは最初から俺達のものだ!」


そう言ったものの、足早に逃げるようにノルドを運ぼうとする、しかし予想以上に重たかったらしく6人がかりで必死といった感じだ。

大衆はノルドを見たいのか6人を囲むように移動していく。

そんな大衆を見ながらハンスが二人に問いかける。


「これでよかったのか?」

「顔に泥を塗るような事をしてすいません。」

「お前らがそれでいいなら良いんだがな、ギルドに持っていけば良い金になったはずだぞ?」

「それよりあんな大衆に囲まれたら、有名人になります。」

「それもそうだな、昨日今日きた冒険者が二人で倒したって噂になれば、色々言い掛かりもつけかねられないしな。」

「安全はタダじゃないんで」

「変な奴だ・・・宿の方はどうだった、寝心地よかっただろ?」

「おかげさまで、朝が騒がしかったですよ。」

「はっはっは、ミリアに起こされたか、だいぶ気に入られたな、俺でも朝起こされた事なんて指で数える程度だぞ。」

「優斗、どうする、やることが無くなったが」

「問題ない、むしろ好都合だ・・・ハンスさん一つ質問いいですか?」

「なんだ?」

「町に珍しい物をお金と交換してくれそうな店ってありませんかね?」

「何だ金に困ってるのか? なおさらさっきのデカブツをギルドに持っていけばよかったものを・・・そうだな。」


ハンスは後ろを振り向き、槍を持った二人を見比べるしぐさをする。


「ダンケ!お前町案内してやれ、暇だろ?」

「ハンス先輩そりゃないっすよ、こっちは夜勤明けで眠いのに。」

「はい一つ、我々は町民の為に身を粉にして安全と安定のために尽くします!」

「うわぁ・・・我々は町民の為に身を粉にして安全と安定のために尽くします!」

「行ってくれるな?」

「後で何かおごってくださいっすよ?」

「ああ、奢ってやるよ、後、案内終わったら帰って良いからな。」

「へいへい。」


ダンケと呼ばれた男がハンスの手配で町を案内してくれるらしい。


「えーと、ダンケ=デロルドっす、よろしくっす!」

砂原優斗さはらゆうとだ。」

霧島春也きりしまはるやです。」

「町案内します、えーと物を売りに行きたいんですよね?」

「珍しい物を買い取ってくれるところなら何所でも。」

「了解っす!」


ダンケは目的の場所に案内を始めた、優斗達は後ろに付いて歩く、町のおいしいお店やら、治安が悪い路地裏や、町の特徴などを教わる、やがて目的の店へとたどり着く。


「ここっすね、珍しい物を置いてるお店ってのは。」


紹介されたお店だがだいぶ古ぼけている、木窓は腐っているのか今にも落ちてしまいそうだ。

お店の名前らしき看板があるが、さすがに文字までは翻訳できない。


「ここはなんて書いてあるんだ?」

「ん? ”中古屋”ですけど・・・文字読めないんすか?」

「長旅で言葉は覚えたんですけどね、文字はからっきしで。」

「なるほど、とりあえず中に入りましょう。」


あまり詮索はされなかった、三人は店の中へと入っていく。

中は外と変わって意外と綺麗なのにびっくりする。


「ん? いらっしゃい・・・何か売りに?」


物陰からこちらを見ていた人物が話しかけてくる、その人物は女性で、さらさらと長いブロンドの髪が白い肌とあわさって人形のような妖艶さをかもし出していて、優斗達よりも少し年上といった印象を受ける


「話が早くてたすかるっす、ええ、この二人が珍しい物を売りたいそうで。」

「いいわ、そこに座って。」


春也が我先にと正面に座る、後から優斗に小突かれて交代する。


「ふふ、じゃ見せて。」


優斗はかばんから文房具を取り出す、主に、鉛筆、消しゴム、マーカー等・・・。


「うーん、これは何に使うのかしら。」

「それは、え「ちょっとまってね、考えさせて。」


女性は手に持った鉛筆で面白そうに遊び始める。


「手に持った感じだと不思議に指の間にはまる・・・こっちも似た様な感じだけど、材質もぜんぜん違う、ガラス? それにしても色が綺麗。」

「・・・。」

「あ、ごめんなさい、やっぱり分からなかったわ。」


女性は持っていた物を置き、うれしそうに言う。


「えーと、これは鉛筆と言いまして、文字を書くのに使います。」


取り出していた紙に文字を書いてみせる。


「すごい、インクを使わないのね・・・じゃーこちらの色が付いてるのも?」


女性は満面の笑みで優斗が説明してるのを聞いている。

やがて説明が終わり、商品の換金へと移る。


「あまりお金は出せないわ、手持ちだと銀貨20枚がいいところかしら?」


後ろでダンケが俺の年収の2倍とかっつぶやいてるのを聞いて、優斗は即決した


「ええ、それでかまいません。」

「いいの? 他のところに持っていけば2倍にはなるわ。」

「いや、あまり騒ぎになると嫌なので、品物の出所とかはあまり聴かないでください。」

「うふ、分かったわ、詮索はしない。」

「じゃー「でも貰い過ぎてる、お店の中から何か一つ持っていって。」

「・・・そうさせていただきます。」


優斗達は女性がお金を用意してくるからと、その場を離れている間に店の中のものを品定めする。

品物の中から優斗が一つ決めてカウンターを見る、そこには、いつの間にか女性がお金を用意して座っていた。


「これ貰らっていっても大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、それなんかはもう興味が無くなった物だから。」


優斗は金色の砂が入った不思議な形をした砂時計のようなものを貰うことにした。


「これは約束のお金、中身を確認してみてね。」

「・・・・・・18、19、20、たしかに。」

「じゃ、また珍しい物が手に入ったら持って来てね、次はちゃんとお金を用意しておくわ。」

「ああ、わかりました。」

「あ、名前を聞いてなかったはね、私の名前はシノラ=アマーズ=ロッド、シノラとよんで。」

「名前はさ「春也です! 霧島春也! 春也って呼んでください!」

「なま「ダンケ=デロルドっす! ダンケって呼んでください!」

「・・・。」

「あなたの名前は?」

「砂原優斗だ・・・優斗でいい」

「ユート・・・変わった名前ね。」

「また、何か手に入ったら来ます、それじゃ」


三人は・・・主に春也とダンケが名残惜しそうに店を後にする。


「ずるい、優斗だけ名前呼ばれて!」

「そうっすよ、俺も呼ばれたかったすよ!」


優斗はこみ上げてくるものを押さえながら言う。


「・・・ダンケ次に行きたい所が有るんだがいいか?」


それ以上の事は言わせないと言う迫力でダンケに聞く。

ダンケは背筋が凍るのを感じてたじたじと答える。


「いい、いいっすよ、次は何所に行きたいんっすか?」

「そうだな、お前らが居ないところに行きたいと言いたい所だが、服を仕立ててくれる所に行きたい、これだと目立ちすぎて困る。」

「そうっすね、それだったら良い所をしってます。」


そういってダンケの後をまた歩き出す。

春也が何かを思い出したように裕也に聞く。


「そう言えば、何でシノラさん、僕たちが物を売りに来たのが分かったのかな?」

「簡単だ、俺達の格好を見てみろ。」

「学生服?」

「そうだ、あの店は基本的に外の物を買って町で売る商売をしてるんだ、買いに来る連中は町の人だろ、逆に売りに来る連中は町の外の連中が大半、こんな格好をしてれば外から来ましたと言っている様なもんだ。」

「なるほど。」


やがて町の中を丸く繰り抜いたような、広い通りに出る、その一角で止まると、ダンケは店に入っていく、それにつられて優斗たちも入る。

そこは服の仕立て屋らしく、革や布がおいてある、がその隣には何に使うのか分からない、鉄の板のようなものまで置いてある。


「かぁちゃんただいまー、お客さん連れてきたよー。」

「何だダンか、やけに早いじゃない・・・お客!?」

「そう、服の仕立てしてくれってさ。」

「ダンケの家だったのか。」


それにしてもと二人は思う、ダンケが二人いる・・・


「ここだったら畏まる事はないっすよ、注文なら何でも聞くっす。」

「あらやだ若い子ね、ダンと同い年ぐらい? よろしくね。」

「「よろしくお願いします。」」

「ふーん、だいぶ変わった服を着てるのね・・・これなんていう生地かしら?」

「かぁちゃん、そんな事より服を仕立ててよ。」

「わかったよ、せっかちな子だね、誰に似たんだか・・・そこの二人こっちへ来て、寸法測るから。」

((少なくとも外見はそっくりだ!))


二人は寸法を測る、他愛も無い会話をして自己紹介とかを済ませる。

かなりの手際で寸法を測り終えてしまう、仕立てるのには時間がかかるので、その間に昼食を済ませることにする。

ダンケが近くの定食屋を教えてくれた、何故か一緒に食べることになる。


「ここの”羊”は格別っすよ」


出されたのはこの店お勧めの羊の炭焼きのような、モンゴルで食べれそうな食事が並ぶ。


「なぁダンケ、聞いてもいいか?」

「?」


ダンケは口の中に大量に物を詰め込んで、いそいそと口の中の物を片付ける。

ちなみに春也は食べるのに夢中だ。


「なんすか?」

「”羊”ってどんな動物だ?」

「あれ、見たことないんすか?」

「ああ、初めて食べる、”牛”や”鶏”とかだったら食べたことがあるんだが。」

「そうなっすか、”羊”って言うのは体がモコモコの毛で覆われててアホみたいな顔した動物ですよ。」

(俺達の知ってる羊と変わりはなさそうだな・・・けど百聞は一見にしかずだな。)

「逆に”鶏”ってなんすか?」

「ああ、鳥の仲間でよく卵を産んで便利な鳥かな?」

「そんな便利な鳥がいるんすね。」

「卵や鳥は食べないのか?」

「卵は食べるけど鳥自体はあまり出回らないっすね。」

「そうか。」


雑談を交わし食事をする・・・


「食事代ぐらい俺たちが出すよ。」

「奢ってもらってありがとっす。」

「まだ時間が早いんじゃない?」

「ああ、その点は大丈夫っす、多分ちょうど出来上がってるころだと思いますっ。」


いくらなんでも早すぎると思ったが、ダンケが言うならそうなのだろう。

三人はダンケの家に向かう。


「かぁちゃん終わった?」

「ちょうど今出来たところだよ。」


優斗達はすぐに着替えることにした、渡された服は意外としっかりとした生地で出来ている。


「どうだい、ぴったりだろう?」

「ああ、寸法もぴったりだ・・・縫い目も確りしている。」

「じゃー御代をいただくよ、ダンケの友達だからね、少しまけておいてあげるわ。」

「ありがとうございます・・・ではこれで。」

「!!」


優斗は感謝の意をこめて銀貨2枚ほど渡した。


「ちょこれは多すぎ。」

「今後ともお世話になるかもしれないので。」

「それでもよ・・・う~ん」

「なら、鎧を仕立ててくれませんか?」

「鎧?」

「春也がこう見えても傭兵をしてまして、先日鎧が盗まれてしまったんですよ、こんな短時間で服を仕立てられるのなら、時間を掛ければよりいいものが出来るでしょう、出来たら取りに来ますよ。」

「本当に! じゃーどんな鎧がいいのかしら?」

「そうですね、膝宛や脛宛・・・あとは胸当てとかですかね。」

「分かったは作っておくわ。」

「助かります。」

「ダン、あなたいいお友達出来たじゃない、大事にしなさいよ。」


新しく目立たない服を手に入れた二人はダンケの家から出る。


「他に行くところは?」

「ん、ああ、後はギルドって所に行きたいが・・・ダンケはここまででいいぞ、せっかく家なんだし、寝てないんだろ?」

「はは、すまないっす、限界に来てますっ」

「町の中は大体分かったから後は教えてもらえれば行けるだろう、駄目だったら人に聞くさ。」

「ギルドはそこの右の通に入ってまっすぐ行けばつくっす、武装してる集団がたむろしてるから、外からでもわかるっす。」

「ありがと・・・そうだ案内の礼を忘れるところだった。」

「貰えないっすよ、ハンス先輩にばれたら怒られるっす、ってちょ。」


無理やりダンケの手に銀貨数枚を握らせて優斗達はギルドのある方向へ走り出す。


「じゃーまた町案内よろしくな!」


ダンケは追いかけるほどの気力が無いらしく追ってこなかった、優斗達はそのまま教えられた道の通りを進む、やがて武装した人だかりが見えてくる。


「あれかな?」

「だな。」


普通の人は武装した集団の中に入るのにかなり躊躇するだろうが、優斗は平然と進む、春也は若干身構えて優斗の後をつける。

すると優斗が隣の全身鎧を着た人に話しかける。


「あの、すいません、ギルドの窓口って何所ですか?」

「ん? なんだ坊主そんなことも分からないのか、あっちだあっち!」

「ありがとうございます。」


「あっちだってよ。」

「優斗は良く平然と中に入って話しかけられるよな・・・」

「時間が押してるんだ、迷ってなんていられない。」


優斗は指を刺された方へと歩き出す、窓口と思しきカウンターへとたどり着いた。


「あの、すいません、ギルドの窓口ってここですか?」

「そうよ、なに坊や達。」

「えーと、ここにくればお金が稼げると聞いてきたんですが。」

「そうねぇ、あなたたちがこなせそうな仕事は有るには有るけど・・・ギルドに登録とかしてる?」

「してないです。」

「登録にはお金が掛かるわよ?」

「いくらですか?」

「銅貨25枚・・・二人合わせて銀貨1枚ってところだけど。」

「じゃーこれで、登録お願いします。」

「大金持ってるのね・・・じゃーこっちに名前と今宿泊してる宿を書いてもらえるかしら。」

「すいません、文字が書けなくて変わりに書いてもらえませんか?」

「いいわよ、最初に名前を聞こうかしら?」

「霧島春也です」

「砂原優斗・・・宿は”鳥小屋”」

「・・・・・・っとよし、完成」

「本人確認とかはどうすればいいんですか?」

「登録した宿の名前と本人の名前を言えばいいわ。」

「ありがとうございます・・・じゃー春也、今日はこれぐらいにするか。」

「ギルド受けないの?」

「時間が押してるって言っただろ?」

「ああ」


二人はあわててギルドを出て門へと向かう・・・


「時間大丈夫?」

「後1時間20分ぐらいか・・・急げば間に合う。」


二人は門を抜けて昨日の丘を目指す。


「優斗、背中に乗って。」

「分かった。」


優斗が春也の背中に乗りしがみつく。


「これが女の子だったら・・・」

「急げ時間が無い!」


春也が本気で地を駆ける、時速にして60キロオーバー、森のへと入ったがスピードは落ちない、春也ならではの反射神経で木の間を走る。

木には目印を書いておいたので、石の前まですぐに見つけられた、すでに空間には歪が出来ている。


「ふー、時間どうりにこれた?」

「後五分だ。」

「あっぷな。」


忘れ物は無かとか、色々考えていたが、取りに戻る事を考えたらどうでもよくなっていた。


「神社が見えるな、行こう。」


二人は元の世界へ戻るために空間を通る。


「戻ってこれたね。」

「言い訳を考えておくか。」

「うわ嫌なこと思い出させないでよ。」


さっきまでの出来事が嘘のようにさへ思える、吸い込む空気の匂い、遠くで聞こえる車の走る音、そして、そこから見える町並みを見て自分たちが戻ってきたことを実感する。


「どうする?」

「これが閉じるまでここに居るか。」


五分という時間が早く感じられた。

二人は征服に着替えると神社の階段を降り道路の前で別れを告げる、正直まだ二人は放心状態だった。

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