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歴史もの

片岡飢人

作者: しのぶ

ほぼ思いつきで書きました。半分は創作です。

ある日、聖徳太子が遠出をした。

道中で、乞食や行き倒れを見かけるたびに食物を恵んでいたので、沢山あった食事もほとんどなくなってしまったし、予定よりだいぶ時間が遅れて、従者はいらだっていた。


辺りが暗くなってきた頃に片岡山を通った。

すると、道端に飢えて倒れている人がいた。

話しかけてみたが、言葉が喋れないようだった。


聖徳太子は残った食事と水をあげようとした。

そこで従者が言った。


「太子よ、失礼ですが、この世には飢えて死ぬ人間は山ほどいます。

たとえ太子が会う人全てに施しものをしたとしても、その全てを救う事はできません。

この人は今日助けても明日死んでしまうかも知れませんし、助かったとしても、我々の見えない所で多くの人が死んでいるのです。


この人を助けて、他の人々を助けないのは不公平ではありませんか。

皆を救うことができないなら、いっそ施しなどやめるべきです。」



聖徳太子は言った。

「今死にかけているこの人を捨てて行けば、慈悲の心そのものを否定する事になる。


そうしたら、たとえ私に全世界を救う力があったとしても、誰も救われはすまい。」



聖徳太子はその人に食事と水をあげて、自分の服を掛けてやった。



翌日、同じ場所を通ると、その人は死んでいた。

聖徳太子は悲しんで、そこに彼を埋葬して、彼にあげた服をまた着た。





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― 新着の感想 ―
[一言]  しのぶさま、破れ蝙蝠傘です。  片岡飢人を読ませていただきました。  さすがに聖徳太子と納得するものの、聖徳太子の従者の、あまりにも軽薄な言葉に、読んでいて馬鹿も休み休み言えと、突っ込みを…
[一言] ひとりがひとりを救うこと、明日死んでしまう人に施すことは無駄ではないと思います。 マザー・テレサの偉業はそこから始まり、それを貫いて世界に広がっていったわけですし。 豊かな国に住む凡人の私…
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