【深夜のオールジャパン】余白の言葉
(SE:ゆるいジングル)
高瀬:
「こんばんは、“余白の言葉”です」
佐伯:
「お願いします」
高瀬:
「今日は、“気配”という言葉について」
佐伯:
「……ちょっと怖いやつですね」
高瀬:
「よく使う言葉なんですけどね」
佐伯:
「“人の気配がする”とか」
(少し間)
佐伯:
「……あれ、冷静に考えると変じゃないですか?」
高瀬:
「どのあたりが?」
佐伯:
「“いる”って確定してないのに」
佐伯:
「“いる感じ”だけあるっていう」
高瀬:
「そうですね」
高瀬:
「“気配”は、実体がなくても成立する言葉です」
佐伯:
「それ、ちょっと怖いな」
高瀬:
「“気”という見えないものが、“配る”ように広がる」
佐伯:
「広がる……」
佐伯:
「じゃあ、誰もいなくても“残る”ことあります?」
(間)
高瀬:
「ありますね」
佐伯:
「え、あるんだ」
高瀬:
「例えば、人がいた後の部屋とか」
高瀬:
「なんとなく、まだいる感じがすることはありませんか」
佐伯:
「……ああ、それはあるかも」
(少し間)
佐伯:
「でもそれって、気のせいですよね?」
高瀬:
「気のせい、かもしれません」
高瀬:
「ただ——」
(間)
高瀬:
「“そう感じる”という事実は、残ります」
(SE:小さくコツ…)
(間)
佐伯:
「……今の、なんですか?」
高瀬:
「何も鳴らしていませんね」
(少し沈黙)
佐伯:
「いや、今……」
高瀬:
「気のせい、かもしれません」
(間)
高瀬:
「もしくは」
(静かに)
高瀬:
「“気配”かもしれません」
(佐伯、少し言葉に詰まる)
佐伯:
「……いや、それで済ませるの怖くないですか」
高瀬:
「便利な言葉なんですよ」
高瀬:
「説明できないものを、一つにまとめられる」
(間)
佐伯:
「……聞いてる人、大丈夫ですかね」
高瀬:
「大丈夫ですよ」
高瀬:
「この番組は、安全ですから」
(ほんの少し間)
高瀬:
「——今のところは」
(SE:ジングル)




