後日譚3(青の王国その後)
「私は我が国を魔女に明け渡した罪人です。どうかご容赦を」
「ご容赦はしません。あなたはサムターンの呪いを広めた主犯と言ってもいい。責任を取るべきではありませんか?」
ルドは容赦なく言い切った。
青の王国では王都で人口の2割が命を落とした。
もちろん死因は餓死や凍死もあるが、それを上回る死因がサムターンの呪いだった。
聖女の魅了が解けた時点で、もう少し感染対策をしていれば、ここまで大きな被害は出なかったはずだ。青の王国の宰相補佐であるユリウス・アーデルハイドが聖女を王宮に誘き寄せたとして、今裁判にかかっているのだ。
ルドは裁判官に、一つの提案をしている。
それが、黒土への道の開拓およびサムターンの呪いの感染者の支援対策である事前事業の青の王国側の陣頭指揮官への任命である。親善大使と名前がついているものの、完全なる名誉職で、報酬も権限もなし。その上で調整役として重要な役割も担っており、誰もやりたがらない仕事なのである。
扱いが難しい罪人なら、誰もやりたがらない仕事をさせればよくない?ついでに身柄も金の王国に預けちゃえば面倒もなくない?と唆している最中なのだ。
もちろん、ユリウスが優秀であるため、ルドも必死に引き抜こうと画策している。
この場で、誰が一番悪役かと投票したら、間違いなくルドが一番になるだろう。
始終そんな顔と態度で、裁判をひっかきまわし、最終的に面倒だから、持っていきなと
ユリウスを渡された。
そして、冒頭に戻る。
「私は我が国を魔女に明け渡した罪人です。どうかご容赦を」
「ご容赦はしません。あなたはサムターンの呪いを広めた主犯格と言ってもいい。責任は取るべきです。サムターンの呪いの感染者がゼロになるまで、四国共同の事前授業の参謀として無償で働いてください。」
(めんどくさーい…自己憐憫とかどうでもいーです)
やけに冷めた思いで、ユリウスに答える。
なぜなら、ルドの好みからユリウスは大幅に外れている。
線の細いインテリよりムキムキの武闘派の方が好きだし。
ツンデレ系の四角四面の男より自分にだけ甘々なダウナー系の悪い男の方が好きなのだ。
ややあって、ユリウスが縋るように問うた。
「あなたは私を許すのですか?」
「許す?許すのは…無理じゃないですか?」
ユリウスの顔が救いを見つけたかのように明るくなり、
ルドの言葉にまた奈落の底へ落とされたように暗い表情に戻る。
「罪は消えません。あなたは一生、売国奴の汚名を負って生きるでしょう。」
「でも」と続ける
「あなたが“悪”でないのは知っています。聖女は“悪“でした。比類なき、紛うことなき”悪”。浄化されれば、魂も残らないほど、魂の芯まで“悪”でした。」
ユリウスはルドを見上げた。もう一度、希望を見出すように。
「私は…あなたは聖女とは違うと思うのです。あなたは悪ではない。だから償って、挽回する機会が与えられた」
ユリウスの目から涙がこぼれる。嗚咽も漏れる。
ルドは気まずさで立ち去りたかったが、なんとか堪え、ユリウスが落ち着くのを待った。
「あ、ありがとうございます。ルクレツィア親善大使…私はあなたの為に、身を粉にして働く所存です。一生ついていきます」
「一生とかは重いんで、結構です」
「いえ!一生かけて、あなたに誠意を示して見せます!」
ルドはここではた、と気づいた。
慰めたつもりが、ヤバめのシンパを作ってしまった、と。
(また、変な奴を引っ掛けたって、後でアギトに怒られるな…)




