小話1(アギトは割と自分勝手、という話)
ルドはアギトに凭れ掛かり、本を読んでいた。
今、夢中になっているのは、最近流行りの恋愛小説だ。
「人の恋路がそんなに面白いか?」
「面白いよ!というかこの世界は娯楽がなさすぎるっ」
テレビもネットもゲームもない。
平和になった途端、ルドは時間を持て余していた。
「なら、それと同じ、楽しいことをするか?」
「はあ?これはお話の中のことだから…!」
ちょうど開いていたページがラブシーンだったのだ。ルドは赤くなって抗議する。
アギトがくるりとルドの向きを変え、足を持ち上げる。
「うわっ、ちょっと!待って!足を持ち上げないでっ!」
(楽しいことって、こういう事じゃない!!)
ルドは必死に抵抗する。先ほどまで流れていたほのぼのした雰囲気は幻なのかと思うほど、アギトはギラギラした肉食獣の目でルドを襲う。
「ちょっ!ちょっと、アギト!」
その時、バンッと扉が開け放たれ、呆れたような声が降ってくる。
「お前たち…また盛っているのか」
「邪魔をするな」
金の王国の第一継承権を持つアレクシスにアギトは不遜な態度で言い放つ。
「私は続けてくれて、構わんが…」
バンッ、と部屋中の窓が自然に開け放たれる。ぶわりと風にカーテンが舞う。
突如起こった変化にルドは戸惑う。
「これに耐えられるなら、見ていてもいい」
挑発するようにアギトが言った。部屋の中の空気は重苦しく、アレクシスは苦しそうな顔でなんとか耐えている。しかし、今にも風圧で部屋から追い出されそうだった。
「アギト!やめて!!」
ルドがアギトを制止すると、風がやむ。部屋の中の重苦しい空気が霧散した。
アレクシスは耐えきれず、床に膝をついた。
「王位継承者が無様なものだ」
「アギト!」
「こいつは分かっていて邪魔しに入ってきたのだ。お前の結界も破って」
確かに結界は張っていた。防音もしていたはずなのに、なんでわかったのか、ルドは不思議だった。アレクシスに答えを求めるように視線を移す。
「結界が張られていれば、誰でも感づく…」
(そりゃそうか…)
「しかし、ノックもせずに入るなんて、王太子として、どころか紳士としてのマナーがなってないですよ。」
「怒るところはそこか」
「だってオレにとっては救けで…」
しまった、と口をつぐむが、もう遅かった。アギトの冷たい視線がルドに突き刺さる。
「続ける」
「へっ?」
「アレクシス、そこで見ていけ」
ルドは再びソファに押し倒される。
ルドの抵抗も物ともせず、アギトはルドの服を剝いでいく。
「ぎゃっ!殿下!後生ですから、お願い出て行って!早くっ!!」
アギトにペシャンコにされたアレクシスはもう二度と二人の邪魔をするまい、と心に誓った。




