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悪役令嬢、断罪されたので男になりました!?   作者: 雨水卯月


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55/62

16-5.悪役令嬢、聖女と最終対決をする

ぼた、ぼたぼたぼた


眼帯をかけたアギトに見惚れ、

ルドは飲もうとしたコップの水を床に盛大にこぼした。

呪力を使いすぎたアギトの左目は一時的に視力を失っていた。


「ルド?どうした?」

「あっ!えっと…その…」


(いやいや今は見惚れてる場合じゃない!自分のせいでアギトの視力を奪っておきながら、オレの脳みそは何してんだ!)


イケメン好きの業は深かった。

床を拭くメイドに「ごめんね」と謝ると、コップをテーブルに置いて

ルドは自分の頬をばちん!と勢いよく叩く。


「ルド?」


アギトに両手を拘束され、説明しろ、と目で訴えられる。


「…アギトの眼帯姿、カッコいいなって見惚れてました。ごめんなさい」


と、ルドはスライディング土下座をかまそうとした。

アギトは驚き、拘束していたルドの両手を掴んで抱き寄せる。


「お前はまた、突拍子もないことを…」

「ごめん。だって、目が見えなくなったのオレのせいなのに…」

「気にすることはない。お前を守れたんだ。後悔はない。例え視力を失っても、守りたかった」


アギトがルドの頬を撫でる。

くすぐったさに、「ん」とルドが声を漏らす。


「呪力の使い過ぎって、どのくらいで治る?」

「2~3か月で戻るだろ」

「そんなにっ!?」


甘く見積もっていたルドはさらに顔を暗くした。


「ルド、こんなことは何でもない。片目は見えるんだ。」

「でも、色々不便でしょ?深夜にトイレの扉にぶつかるとかあるでしょ!?」


アギトはキョトンとして「……お前の心配は、いつも妙だな」と返す。


「オレ、出来ることなんでもするから。言って。」


ルドはアギトの手を握り、上目遣いで言った。

それを傍から見ていたオルフェウスとアレクシスは呆れた顔で

二人を見ている。


「何故あの色気が女の時に発揮されなかったのだ。魔性の男ではないか。」

「さあ?令嬢時代は“屈指の猿”と領内では有名でしたが、やれば出来るものですね」


ククッとアレクシスが笑う。


「猿っ…!確かに猿だったな!それも指折りの」

「妹のことは諦めていただけますね?」

「まあ、アレを見せられては……諦めるしかあるまい。」


アレクシスはため息をついて、渋々言った。


「おい、ルド!そろそろ仕事を手伝え!」


アレクシスは声を張り上げて、ルドを呼ぶ。


「え?殿下が初めてルドって言った!?今、ルドって呼びましたよね?」


ルドがやっと認めてもらえた、と顔を綻ばせ

アレクシスの周りをチョロチョロと歩き回る。


「ルルー!お父様だよ!やっと青の王国の流民対応が終わって帰って来たよ!」


全速力(とはいえ100メートル30秒)で駆けてくる父と

その後ろに母と伯父が居た。


「おかえりなさい!」


久しぶりに家族全員が揃い、公爵家は一気に賑やかになった。

笑い声と食器の音が混じり合い、灯りの下には穏やかな時間が流れる。

やっと終わったのだ、聖女の残した呪いの脅威も、聖女との対決も。

ルドたちは久しぶりに心の底から笑いあった。


最後までお付き合いいただきありがとうございました!

後日譚をアップ予定です。

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