幕間
西の塔で聖女を見つけた時、ルドは一瞬攻撃を躊躇った。
その逡巡がなければ、確実に聖女を倒せていたはずだった。
聖女は弱り、ほとんど魔力も使えない状態で、アギトは油断していた。
ルドがあの状態の聖女に劣るはずもないと。
あの躊躇いが何だったのか、アギトには分からないまま
ルドはその場に倒れた。
ルドに駆け寄ると、息をしていない。心臓が止まっている。
聖女がフラフラと塔を出て行くのを目の端で捕えが
この状態のルドを置いていけるはずもなかった。
必死に蘇生を試みる。
戻れ――戻ってこい、ルド
アギトは声の限り、ルドを呼び続けた。
心音が戻り、呼吸が戻っても、ルドは目を覚まさなかった。
アギトは後悔に苛まれながらも献身的にルドの看病をする。
お願いだ――目を覚ましてくれ
その願いが聞き届けられたのは、3日後の事だった。
ルドの中から、悪魔の気配が消える。
呪術で留めていた悪魔の浸食が綺麗に消えていた。
(何が起こった?)
その時、ルドの瞼が微かに動く。
そして次に眉を顰めた。
苦しいのだろうか、痛いのだろうか
アギトはルドのさらりとした前髪をかき分け、額に触れる。
ルドの表情が少しだけ緩む。
ほっと息を吐き、ルドの手を握る。
今度は力強く握り返され、アギトは目を見開く。
「ルド…ルド…」
握り返された手をそっと包み込み、アギトは何度も名前を呼んだ。
何故か「クソ悪魔!!」とルドが叫びながら、飛び起きた。
「……あれ?」
「ルドっ!」
アギトが飛びつくように抱きつき、ルドの身体をぎゅうと抱きしめた。




