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悪役令嬢、断罪されたので男になりました!?   作者: 雨水卯月


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39/62

14-1.悪役令嬢、ディスる

金の王国・公爵家にて帰宅したルドを迎えたのは、

慌ただしい屋敷の空気だった。


(伯父上の辺境領でなく、中央の公爵家に戻れ、って…言われたけど…)


ルドは半年ぶりの我が家の広間に立ちすくむ。

そこへ兄が書類を抱えて駆けてきた。


「あ、兄さま!何かあったの?」

「ああ!ルド!帰ってきたのか」


兄が額に汗をかいている。珍しいこともあるものだ。


「聖女が国家反逆罪で捕えられることになった」

「え?」

「しかし、逃げおおせたようでな。今、国を挙げて聖女の行方を捜している。聖女派の家宅捜索の方針決めで…」

「オルフェウス様!こちらにお出ででしたか!こちらの書類の決裁を!あと、家宅捜索の順序も早急に決めていただかないと!」


政務官が慌ただしく、兄さまを連れていく。

そういえば、兄さまの名前はオルフェウスというのだった、といま思い出す。


「どういうことか、聞く暇もなく連れていかれちゃったね…」


ルドは力なくアギトに笑った。

とりあえず、とルドはアギトと共に自室に向かった。


公爵令嬢であったルドの部屋は、女性らしいパステルカラーと花柄で整えられた可愛らしい部屋だった。今の自分に不似合いなことこの上ない。


(この部屋、いやだなぁ…)


令嬢時代の名残を感じてしまう。客室を用意してもらおうにも、

メイドも執事も忙しくて声を掛ける暇すらない。


「しょうがないか…」


ルドはレースがふんだんについたベッドのシーツを捲ると

その上に寝転んだ。

久しぶりの極上の柔らかさのベッドの感触に眠気が襲ってくる。


「昼間から…誘っているのか?」


(あ!しまった!アギトも居るんだった!)


「そ、そんなわけないじゃん!」


がばっと起き上がるが、アギトに圧し掛かられ、ベッドに縫いとめられる。


「ちょっ…!ちょっと、アギト!!怒るよ!」

「皆、忙しい。俺たちが少しくらい騒いだとて、気づかん」


べろり、と首筋を舐められる。


「ふっ…!」

「赤の王国を抜けるまで、俺はいい子にしてただろう?」


---

 そう、あれは馬車の中で――

   「んっ…!…っ!」

   「ルド、口を開けろ」

   「あっ…んっ…」


 ルドは何度目か分からないアギトからのキスに耐えていた。


   「アギトっ…ここじゃダメっ…」

   「なぜ?」

   「まだっ…赤の王国内じゃん…それに馬車の中でなんて、ヤだよ…」

   「いつものように魔法で空間を遮蔽すればいい。」

   「それじゃ、騎士が不審がるって…」

   「もう十日以上してない」

   「もうちょっとだから、いい子にしててよ」


---


という、やり取りを思い出す。

(確かにいい子にしていたけど、こんなすぐ?)


ちょっとくらい旅の疲れを癒してから――という言葉は、かろうじて飲み込んだ。

言えば、お前で癒すと言われかねない。


するりと服にアギトの手が入り込む。


「あっ…アギトっ…」


ルドがその気になり始めた時

廊下がにわかに騒がしくなり、バンと扉が開く音が響いた。


寝室は奥にあるので、おそらく近くの部屋の扉が開かれたのだろう。

なんだろう、とルドは体を起こす。


「…ちっ!」


(舌打ちした!舌打ちしたよこの人!)


機嫌が急降下したアギトを連れて、廊下への扉をそっと開ける。

廊下を挟んで向かいの応接室に誰かが立っている。金色の――


(あ!あーー!)


「アレクシス殿下っ!!」


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