表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、断罪されたので男になりました!?   作者: 雨水卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/62

10-4.悪役令嬢、救出劇に身を投じる

神聖国の首都までセシルを送り届けると、短い別れの挨拶を交わした。


「僕は神聖国で、聖女の力を調べます。ルド様、くれぐれも無理をせず。お気をつけて…」

「ええ、ありがとうございます。」


セシルが神殿の奥へと消えていく。

ルドは小さく手を振り返し、深く息をついた。


――そして、アギトと二人きりになると、途端に気まずい空気が流れた。


「……あの、アギト」


声をかけると、アギトは振り返らずに歩を進める。

言わなきゃ。ここで言わなきゃ。


「今まで……ありがとう。」


ようやく絞り出した声に、アギトは反応しない。

けれど、静かな気配が「聞いている」と伝えてくる。


「オレ、世間知らずで、たぶん知らない内にいっぱい迷惑かけたよね」


アギトの漆黒の瞳が、振り返ってルドを映した。


「だから……あんまり考えないで“ついてきて”なんて言って、ごめん。」


本当は――ここで言うつもりだった。


“もういいよ”って。

“あとは一人で大丈夫だから”って。


だけど、唇は震えて、言葉は喉に引っかかった。


「えっと……オレ、ひとりで――」

「ついてこいと言えばいい」


アギトの低い声が、真っ直ぐに割り込んできた。


「だって……!これ以上、迷惑かけられないよ!」


ルドはぶんぶんと首を振る。

視界が揺れて、涙でアギトの顔が滲んだ。


「望みを言え。迷惑とも、わがままとも思わない。」

「っ……!アギトが……すき」


声が震え、言葉が零れる。

ぼたぼたと雫が足元の石畳を濡らした。


「……離れたくない」


アギトが一歩近づく。


「一緒に、居たい」


また一歩。


「でも……怖いんだよ」


もう距離はゼロだった。


「アギトが……死んじゃったら、どうしようって!」


次の瞬間、アギトの腕がルドを強く抱きしめた。


「死なない。」


短く、強い声。

その声が、震えるルドの不安を丸ごと受け止める。

人気のない郊外の転移門(ゲート)を背に、ルドはアギトに縋りつき、嗚咽を堪えきれず泣いた。

太陽が高く昇る。

その光を遮るように、二人に大きな影が差した。


――神聖国の真上にそびえる、白の王国の影だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ