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月下の神殿――銀麗月と聖香華  作者: 藍 游
第十六章 香華族の秘宝
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ⅩⅥー9 エピローグ――伯父と姪

 ソン・ララは、離宮での宴会で伯父と伯母の姿に圧倒された。


 二人とも決してしゃしゃり出ないが、アユに話題を振られたときは、年を重ねた者らしく、驚くほど深い洞察に満ちた発言をする。二人は只者ではない――ラウ伯爵もシャオ・レン副大統領もそう思ったようだ。


 食後、ラウはレオンに尋ねた。

「あの老夫婦のことを知っていたか?」

「いえ、このたびはじめてお目にかかりました」

「あのように老いるというのは、なかなか良いな」

「そうですね」


「老女が言っていたことを覚えているか?」

「ルナ大神殿のレリーフ画のことですか?」

「そうだ。たしかに、大神殿には多くのレリーフ画がある。シャンラのルナ神殿とは比べものにならない。大神殿の公開とあわせて、レリーフ画の解説をぜひ加えたい。だれか適任者はいないか?」

「ソン・ララ教授の母上が古代美術史の専門家です。もとミン国の国立芸術大学教授で、関連のご著書もあります」

「では、その人物に頼め」

「承知いたしました」


 ララは、レオンからレリーフ画の解説記事について依頼を受け、母リ・ヘジュに意向を確認した。喜んで引き受けるという。ララは、ミン国のヘジュのもとにレオンを案内した。


 レオンは、ヘジュにラウ伯爵からの正式な依頼状を届け、今後のスケジュールを確認して、カトマールにトンボ帰りした。ヘジュはレオンの美貌に驚いたが、ララに伯父もまた若い頃はレオンにも劣らぬ美貌の青年だったと教えた。


 ララは実家に一泊した。先日の離宮での宴の席で、伯父と伯母の姿に圧倒されたと話すと、ヘジュは得心した表情になった。そして、驚くべき昔話をしてくれた。


 すべてが一段落したのち、シュンはララに自分たちの過去を伝えた。リリアとレオンとカイのことは教えなかった。


 ララは驚きながらも納得してこう答えた。

「やっぱり、伯母さんはファウン皇帝だったのね。母さんが言っていたとおりだわ」

「気づいていたのか?」

「ええ。伯父さんは母さんをカトマール帝国大学で学ばせたでしょ? 大学創立一千五百年式典のとき、ファウン皇帝が大学にお越しになったんだって。だから、母さんは伯母さんを見たとき、ビックリ仰天したって。調べると、ファウン皇帝の夫君殿下の写真や肖像画も見つかって、まさに伯父さんだったんだもの」

「ありがとう。いままで秘密を守ってくれて」

「当然よ。伯父さんたちが何も言わないのは、いろいろなことを考えてのことでしょ? これからも言わないわよ。でも、お願いがあるの」

「何だ?」


「わたしにとっては、いつまでも伯父さんと伯母さんでいてほしい。皇帝陛下だの、夫君殿下だの、そんな肩書きに沿った振る舞いは、わたしにはムリ。これからもずっと、ミン国の小さな村の農民である伯父さんと伯母さんの姪でいさせて」

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