ータネとアメとトリー
あなたに「ケーキ・チョコ・プレゼント」を
何時からかはわからないが自分の家にはすりガラスのポットが置いてある。
なんでも物心ついた時から何時も食事するテーブルの中心に置いてある。
お母さんとこのポットについて聞いたことがあった。
母「このポットはね、悪夢を見ないおまじないなの。」と言うとそういうとお母さんはすりガラスのポットを持った。」
自「悪夢を見ないおまじない?」
母「そう、悪夢は見ない方がいいでしょ?」
自「うん!それはもちろん!」
母「なんでも好きな飲み物を用意して?」
自「はーい。じゃあ、牛乳!!」と言い自分は冷蔵庫から冷たい真っ白な牛乳を取り出した。
母「いいよ。それでここにチョコの種を入れましょう?」
自「チョコの種?」
お母さんがキッチンから戻ってくると小さなハンカチに何かを包んで持ってきた。
中から黒い丸い500円玉くらいの物が二つ出てきた。
母「そうよ。チョコのタネはどんなに寝れなくてもぐっすり寝させてくれるのよ。」
自「えっ!どんな時でも?」
母「どんな時でも!」
母「そしてこのすりガラスのポットにあなたが好きな牛乳にチョコのタネをいれて1分ほど待とうか?」
自「うん。待つよ?」
母「その間にこれ!」
自「なぁに?それ」
キッチンに行った時に一緒に取ってきたのだろう。
母が持っていた小さなハンカチから白い小さなお花みたいなのが出てきた。
自「かわいい!なぁにこの白いお花?」
母「白いお花みたいだけど違うのよ?アメなの。可愛いお花にみえるよね。」
母「このアメの名前はケーキのアメ。見た目が白から中心にかけて黄色くなってて真ん中がいちごのケーキみたいに赤色だからそう言われてるみたい。」
自「ケーキ!!アメ!!美味しいものしかないね!」
母「チョコのタネが溶けるまでの1分はケーキのアメを舐めておくの」
自「ケーキのアメはなんのためなの?」
母「よく寝れるだけじゃ悪い夢、悪夢を見るかもしれないでしょ?だから、いい夢を見るために舐めるのよ」
母「そろそろ牛乳にチョコのタネが溶けたかな?」
ポットを見ると中に入ったていたはずのチョコのタネが無くなっていた。
その代わりに牛乳を真上から見た時に黒い筋みたいなのがあった。
おそらく、チョコのタネが溶けた後の物だろう。
お母さんはゆっくりポットをかき混ぜる。
そして
自「美味しいね!いい夢見るために寝る前にはこれ絶対にしなきゃね」
母「でも寝る前以外に使っちゃダメよ?」
自「なんでなの?」
母「いっぱい使ちゃうとね・・・トリがいっぱい来てお空へ連れてかれちゃうよ?家族や友達と離れ離れななっちゃうと嫌でしょ?」
自「うん!やっ!!」
母「そうだよね。よくわかってるね!いい子いい子。」
だが、子供の好奇心とは自制できないものだ。
夜じゃないのに私はすりガラスのポットでチョコのタネを溶けさせ、そないだにケーキのアメを舐めて、溶けたチョコの液を飲んだ。
すると次第に眠たくなり、体が動かなくなり、私は息を引き取った。
最後私の体は結晶化していき、その結晶から小さくてか細いトリが生まれた。
そのトリは空に高く舞い上がった。
このすりガラスのポットは自分が生まれた時に出産祝いのプレゼントの中に紛れていたらしい。
私はただ好奇心を抑えられなかっただけなのに、それだけなのに
ねぇ、神様わたしは死んじゃうの?
ねぇ、聞いてるの?
ねぇ、教えてよ。
ねぇ!!
『そこまで言うなら自分でこの世界にいたという痕跡を残せばいいじゃないか』
『最後の慈悲としてこの紙に書いた文を本としてどこかに置いておこう』
『それだけだ』
わ、わかった。
書くよ。
………
『よし、かけたな』
うん、書いたよ。
もう私の存在が無くなっていってる。
さよなら、この世界。
『自分は最後に君が生きていた世界に本を置くとは言っていない』
『ずっと自分の手元にこの本を置く』
『残念だな。君はこの世界の誰の記憶にも残らないのだから』
『あぁ、あと、あのすりガラスのポット置いたの自分だから』
『自分からあの子へのプレゼントだよ。』
『まぁ、このことを聞いたらあの子は怒り狂うだろうな』
『ハハッ』
あなたに自由があリますように dy________より