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雪の朝 煙草 笑う

作者: IronLotus

鼻先を擽る冷気と、子供達の笑い声で身を起こせば、濡れ縁の下は、薄く銀世界が広がっていた。

或、雪の朝の事である。


隣では、女が静かに寝息を立てていた。

遠くの座敷からは、弦の音が重なるようである。


無暗に枕をまさぐると、煙草が出てきたので、プカプカやった。やっていると、縁側を年端もゆかぬ童たちが走り去って行った。


何やら目出度い、目出度いと口々に叫びながら、日の丸の扇を掲げていたように思った。


はて、今日は何かの祭日であったかしらん、と考えていると、朝食で御座います、と女中が現れて、立派な御膳を置いて行った。


布団も片付かぬ内に、朝食とはせっかちな事である、と箸を手繰ると、鍋から大きな茄子が三ツも釣れた。


屋敷の天井で、二匹の鷹が「ケーン」と啼いた。


窓の外には、富士が広がっている。


寝ていたはずの女が目を閉じたまま笑っている。


「斯様な物が、幸せの形で御座いまするに。」


今日は正月であるのだなと、この時初めて気が付いた。

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