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15話 王国デート 後半

ドット&アリシア  


「少年とアリシアを見ていると、昔のアリシアとハウロスの関係を思い出すよ、お前ら本当に似ているよな」


 引き続き剣の素振りをしていると、ドットが昔を懐かしむように目を細めて呟く。


「確かにそうかもね。私がルークくらいの頃は、『ハウロス師匠!』って言いながら後をついて行ったな……それが今は師匠と言われる側か……何だか不思議だね」


 当時はハウロス師匠の後を必死について行って修行に明け暮れる日々だったな……懐かしい。


「剣も魔法も国一番の使い手、でも頑固で仲間を守るためなら絶対に引かない。少年も似た所があるよな? やっぱり親子だなー」


「確かに、ああ見えて結構頑固だよね? 決めた事は絶対に曲げないし」


 こうしてルークとハウロス師匠を比べると本当によく似ている。特に魔物と戦っていた時の真剣な眼差しは瓜二つだ。


「だけどよ……あんな死に方をする人じゃなかったのにな」


 ドットが私の肩に止まって遠くを見つめる。あの時はまだ幼くて何が起きているのか理解できなかったけど、今なら分かる。


 ハウロス師匠は逆境に飲み込まれて暴れたんだ。敵味方関係なく攻撃し、それを止めるために王様は矢を放った。


「陛下は逆境の暴走を恐れている。もしルークが完全に逆境に飲み込まれたらきっと殺してでも止めるはず。でも!」


 もしあの時に戻れたら……と思うと悔やんでも悔やみきれない。もう二度とあんな悲劇は繰り返してはいけない!

 

「何があっても私がルークを守る。次こそは止めてみせる! だって私は……ルークの師匠なんだから!」


(だからどうか見守っていて下さい、ハウロス師匠……)


「そうだな……また同じことを繰り返したらハウロスに見せる顔がないよな……なぁアリシア、この流れでこんな事を言って悪いんだが……」


 ドットはクルリと背を向ける。


「ちょ〜っと試し切りし過ぎじゃないか?」


「えっ?」


 つられて振り返ると、大木が至る所に倒れて道を塞いでいた。  


「おーい! 誰だよ森をめちゃくちゃにしたやつは! 木が道を塞いで通れねぇーじゃねーか!」


 荷物を馬車にのせて運んでいた商人がイライラした様子で立ち往生していた。


「すみません! すぐに片付けます! ほらドットも!」


「オレは関係ねーだろ」


「いいから手伝って!」


 結局その日はせっかくの休日だったにのいつも以上に働く羽目になった。

 



ルーク&リリー


「いらっしゃいませ、おや、お久しぶりですね。今日はお2人だけですか?」


「はい、そうです」


 以前、師匠が連れて来てくれたカフェテリアを訪れると、マスターは微笑ましい笑みを浮かべてボクらを案内してくれた。


 昼食の後も引き続きお店を見て回ったら、あっという間に時間が過ぎていった。日は傾き夕暮れの空がドルマン王国を優しく照らしている。


「これは当店からのサービスです」


 まだ何も注文していないのに山盛りのクッキーが乗ったお皿がテーブルに置かれた。


「いいのですか⁉︎ 」


「やった〜‼︎ ありがとうございます♪」


 早速リリーがクッキーに手を伸ばす。


「ルーク、今日はありがとね。凄く楽しかったよ!」


「ボクの方こそ、誘ってくれてありがとう」

 

 正直に感謝を伝えたら、リリーは照れ臭そうに髪に触れる。


「ねぇ、どうしてルークはアリシアさんと旅に出たの?」


 両手にクッキーを持ってリリーが尋ねる。どうしてと言われてもなぁ……


「ボクの村は凶暴化した魔物によって壊滅したんだ。酷い有様だったよ。今思い出してもゾッとする。もうあんな事は嫌だ。だからアリシア師匠と旅をして、凶暴化した理由を突き止めたいんだ。もう二度とあんな悲劇を起こさないために!」


 リリーはクッキーを頬張る手を止めてボクを見つめる。つい熱く語ってしまいなんだか恥ずかしい。


「やっぱり、ルークはすごいね。あたしは……まだ何もできていないよ……」


「そんな事ないよ! リリーのおかけで何度も危機を乗り越えられた。だから……」


 ボクはポケットから赤い星形の小さなペンダントを取り出した。


「これは?」


「お店を見て回った時に見つけたんだ。リリーに似合うと思って」


「えっ⁉︎ あたしに?」


「もちろん。目を閉じて」


 リリーは言われた通りに薄く目を閉じる。それを確認してボクはそっとペンダントを付けてあげた。うん、やっぱり似合っている。


「綺麗……ありがとう、ルーク!」


「どういたしまして」


 リリーは目を細めて、うっとりとペンダントを眺める。


「旅人が夜道に迷った時はどうするか知ってる?」


「う〜ん……なんだろう?」


「星を頼りに進むんだって。星が帰るべき場所を教える。本当かどうかは分からないけどね」


 何だか自分で説明しておきながら小っ恥ずかしいけど、リリーは納得した様子で頷く。


「実はあたしもルークに渡したい物があるんだ!」


 そう言って鞄からカラフルな色をした瓶を取り出してテーブルに置いた。


「これってもしかして……」


「回復薬だよ。もっとマシな味にしてほしいってルークが言っていたから作ってみたんだ〜 果物とかをを混ぜてあるから飲みやすいと思うよ!」


「ありがとう! すごく助かる!」


 正直、あの回復薬は二度と飲みたくなかったから本当に助かる。


「これからもよろしくね、ルーク」


 リリーがそっと小さな手を差し出す。


「こちらこそよろしくね、リリー」


 正直この時のボクは平和なこの時間が続くと思っていた。凶暴化した魔物は順調に倒せている。でもその考えは甘かった……

ご覧いただきありがとうございました


息抜き回はこれで終わりです。次はいよいよあの謎のお墓に向かいます。


続きが読みたい、面白い! と思った方はブックマーク、高評価していだだけると泣いて喜びます(笑)


それでは16話でお待ちしています。10時10分頃に投稿予定です。タイトルは「墓参り」です!

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前作の作品です。仮想の世界を舞台に、データーの世界に閉じ込められるお話です。無事にプレイヤーは元の世界に帰れるのか? そもそも誰がこんなゲームを作ったのか? 各章は30分ほどでサクッと読めます。イラスト&表紙付きです♪ 仮想からの脱出ゲーム
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