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14話 王国デート 前半

「ねぇ! 今度はあの店に行ってもいいかな?」


「もちろん。次はいつ休暇がもらえるか分からないからね」


 若い男女2人が楽しそうに店を見ながらドルマン王国を歩いている。あの2人は知っている。ボクの両親だ。と言うことは……


[そう、これは夢。俺がお前に見せている]


 ボクの疑問に答えるように逆境が答えた。


 店を出てきたお母さんの胸には赤い星形の小さなペンダントがぶら下がっていた。お父さんがペンダントを見ながら何やら話し始める。


「なぁ、旅人が夜道で迷子になった時、どうするか知ってるかい?」


「う〜ん、なんだろう?」


「星を頼りに進むらしい。星が帰るべき場所を教えてくれる。本当かどうかは知らないけどな」


 お父さんは照れ臭そうに語り、お母さんは納得した表情で頷く。


「すごく仲が良さそうだなぁ……」


[そうだな、お前の親父はお前の母親の事を何よりも大切にしていた。だから国王はそれを奪った]


「奪う? どう言うこと?」


[そのままの意味さ。お前の母親を殺したのはあの国王さ」


「国王がボクのお母さんを殺した? 嘘でしょ?」


[嘘なんかじゃないさ、あの国王はお前の父親だけではなく母親も殺したのさ]


「………」


(もしこいつの話が真実なら、王様はボクの両親を殺したってこと? でもどうして? あれ? じゃあボクもいつか……)


 悪い予感が頭に浮かび、とっさに首を振った。


[まぁ、近々すべてが分かる日がくるさ]


 逆境はそう言い残すと消えていった。その代わりに今度は別の誰かがボクを呼ぶ声がする……



* * *


「ルーク、大丈夫? 入るよ!」


 ドアをノックする音と同時に扉が開く。この声は……


「リリー……」


 まだ寝ぼけた頭を揺すって目を開くと、ドアの前でリリーが立っていた。


「うなされていたけど大丈夫?」


「なんでもない。心配かけてごめん。今日はどんな村に行くの? 早く凶暴化した魔物を倒さないと!」


 急いで身支度を整えようとすると……


「ルーク、今日はお休みだよ」


 リリーに呼び止められた。


「ねぇ、せっかくの休みだから一緒に遊びに行かない?」


「えっ?」


 よく見てみると、いつもと違っておしゃれな白いワンピースを着ていた。髪もほどいてラフな格好だ。そういえばニックさんも『王国を一緒に見て回ってきな』とか言ってたなぁ……


「いいよ。じゃあ一緒に街を見て回らない?」


「本当⁉︎ やった‼︎ 早く行こ!」


 リリーはボクの手を取ると、軽い足取りで走り出した。




アリシア&ドット 


「アリシア、新しい剣には慣れたか?」


 ドルマン王国の裏山で剣の素振りをしていると、木の枝に止まっていたドットが私を見下ろす。


「うん、軽くて頑丈で使いやすいよ! 見てドット!」

 

 私は目についた大木に剣を構えて軽く息を吐いた。


「”一刀粉砕”!」


 上段の構えから振り下ろされた剣は大木をいとも簡単に真っ二つにしてしまった。


「こいつはすげーな! でも取り扱いには気をつけろよ」


「そうだね、もう少し調整がいるかな?」


 その後も私は黙々と剣を振り続けた。早朝から来ていたのに時刻はもう昼を迎えようとしていた。




ルーク&リリー


 ドルマン王国は本当に広くて迷子になりそうだ。様々な建物がたち並び、見ているだけでも面白い。目につく店を片っ端から覗いていたら、もう時刻は昼を迎えていた。


「ねぇ,そろそろお昼にしない?」


「そうだね、何が食べたい?」


「う〜ん……ねぇ! あれは何かな?」


 リリーに手を引っ張られて小さなお店に向かうと、何故か店主がボク達に手を振った。あの人は確か……


「やぁ、リリー、久しぶりだね元気だったかい?」


 事情はよく分からないけど、何故かエルフの村長と村の人がお店を切り盛りしていた。


「あれ? どうしてここに?」  


「エルフの村で取れた自然の恵みをここドルマン王国にも売り出そうと思ってね。よかったら1つどうだい?」


 エルフの村長さんは焼き立ての鹿肉と、デザートに森で取れた新鮮な果物を皿に盛ってボクらに手渡す。


「ありがとうございます! えっと……いくらですか?」


「お金なんていらないですよルークさん、これは以前村を救っていただいたほんのお返しです」


 若いエルフのお兄さんは笑顔で代金を断る。


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて頂きます。リリー、そこのベンチに座って食べようか」


「うん! わたしお腹ぺこぺこだよ」


 早速2人並んで座って美味しく頂いていると、エルフの村長さんとお兄さんさんが微笑ましい笑みを浮かべてボク達を見ている。なんだか食べずらい……


 でもすごく美味しい! 鹿肉は柔らかくて骨からスッと肉が取れる。甘くてスパイスの効いた味付けがクセになる。デザートのフルーツももちろん美味しい。


「ふぅ〜お腹いっぱい。次はどこに行こう?」


「少し休憩したら、また店を回ってみる?」


「うん! まだ見てみたいお店がたくさんあるんだ! 今度はあの店に行ってもいいかな?」


「もちろん。次はいつ休みがもらえるか分からないからね」


 リリーはボクの手を握って近くの店に向かう。最近凶暴化した魔物と戦う日々だったから、こうしてのんびりと店を回るのは楽しい。できる事なら今日みたいな平和な日が続いてくれたらいいのになぁ……





? ? ?


「クソ……絶対にぶっ殺してやるから待っていろよ……」


 森の奥深くに佇む小さな木のお墓から怨念(おんねん)のこもった声が不気味に響く。強い負の感情は黒いオーラに変わり天高く登っていく。


 ちょうどその時、運悪く上空を飛んでいたワイバーンが負のオーラに直撃した。目は赤く染まり、牙を剥き出す。


 そのワイバーンは完全に凶暴化していた……

ご覧いただきありがとうございました。


今回と次回は息抜き回です。でもその裏では何かが起きています!


続きが読みたい、面白い! と思った方はブックマーク、高評価していだだけると泣いて喜びます(笑)


それでは15話でお待ちしています。8時10分頃に投稿予定です。タイトルは「王国デート後半」です!

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前作の作品です。仮想の世界を舞台に、データーの世界に閉じ込められるお話です。無事にプレイヤーは元の世界に帰れるのか? そもそも誰がこんなゲームを作ったのか? 各章は30分ほどでサクッと読めます。イラスト&表紙付きです♪ 仮想からの脱出ゲーム
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