13話 ただいまドルマン王国
「皆様、本当にありがとうございました。凶暴化したレッドドラゴンがいなくなり、これで観光客も戻って来るはずです!」
翌朝、ボク達はドルマン王国に戻る事にした。村長さんは1人1人と握手を交わして深く頭を下げる。村の住民も総動員で見送りに来てくれた。
「また近くを通ったらいつでも遊びに来て下さい。歓迎いたします!」
「マジか、ありがとな村長!」
ドットさんは村長の方に飛び乗って耳元でピーピー叫ぶ。
「お兄ちゃん! エルフのお姉ちゃん、悪いドラゴンさんを倒してくれてありがとう!」
道具屋で出会った少女がボク達の前に駆け寄る。
「もうおじいちゃんの腰痛は大丈夫そう?」
「うん! もう治ったよ!」
少女はニカッと白い歯を見せて元気よく答える。ふと隣を見るとアリシア師匠が強面で職人気質な人と話していた。
「あんたらのおかげでクソドラゴンがいなくなった。これでまた鉄が取れる! こいつはお礼だ受け取ってくれ」
「いいのですか⁉︎ ありがとうございます!」
アリシア師匠は強面な男性から立派な剣を受け取ると、早速鞘から抜いて軽く素振りを始めた。照りつける太陽を浴びて眩い光を放っている。
「さてと、帰るとするか。なぁルーク、陛下から水晶玉をもらっただろ? 試しにあれを使って帰ろうぜ」
「そうですね、やってみます!」
水晶玉を取り出して触れると、一気に魔力が吸い取られた。地面に謎の幾何学模様が現れて青く光る。よく分からないけど凄そう!
「みんな、絶対に手を離さないでね。狭間の空間に取り残されるみたいだから」
「はい、分かりました!」
アリシア師匠の警告にリリーが真剣な顔で頷く。
「村長、また遊びに来るぜ!」
ドットさんが村長さんに羽を振る。眩しい光がボク達を包み込み、体が軽くなった。徐々に視界が狭まっていく。最後に見たのはゴクエンの村の人々が驚く表情だった。
* * *
「ここは……」
眩しい光が収まって段々視界がはっきりしてきた。豪華なシャンデリア、真っ赤な絨毯。間違いない! ここは王室。本当に一瞬でドルマン王国に戻ってこれたようだ。
「ご苦労だったな」
玉座にはいつも通りドルマン王が座っていた。お父さんを殺したのは王様? 今問い詰めていいのだろうか……いや、やめておこう。もう少し調べてからにしよう……
「陛下! ただ今戻りました」
アリシア師匠は王様にお辞儀をすると、簡潔にゴクエンの村で起きた事を話した。
「分かった。お主らにはしばらく休暇を与える。話は以上だ。アリシアはまた少し残るように」
「………わかりました」
何故か一瞬、アリシア師匠がボクの方をチラッと見る。
「ドット、またルーク達について行って」
「分かった」
後ろに控えていた兵士が大きな扉を開ける。ボクらは自分達の部屋に向かった。
* * *
「さて、ルークの様子はどうだったか教えてもらおうか」
陛下は王室に誰もいない事を確かめると、そう切り出してきた。
「正直に申し上げると……暴走しました。でも、自分でスリープ魔法をかけて自制しました! だから……」
「問題ないと言うつもりか?」
「………」
「お主の肩の傷は誰につけられたか覚えておるな?」
「はい、ハウロス騎士団長……ルークの父親から受けた傷です」
「もしあの時ワシが奴に矢を放っていなかったらお主が死んでいた。分かっておるな?」
「………」
「何かあったら迷わず殺せ。これは命令だ」
「………」
私は何も言えずにただ会釈だけして王室を後にした。
* * *
「やれやれ、どうしたものか……」
王室を出て廊下を歩いていると、警備をしている兵士が立っていた。
「そこの君、ちょっとよいか?」
「はい! なんでしょうか陛下?」
兵士は胸に手を当てて一礼する。
「率直に聞くが、お主はルークの事をどう思う?」
「ルークですか? そうですね……たまに廊下ですれ違うくらいですが、挨拶もしますし、悪い子ではないと思います。お言葉ながら陛下が言うほど危険だとは思えません」
「ならお主はこれを見ても同じ事が言えるか?」
ワシが水晶玉に触れて魔力を込めた。鈍い色を放ち映像が浮かび上がる。そこに写っていたのレッドドラゴンにナイフを何度も突き刺すルークの姿だった。
「これは……」
流石に驚いた様子で兵士が映像を食い入るように見つめる。
「これで分かったはずじゃ、ルーク……いや、逆境は諸刃の剣。使い方を間違えれば我が身を滅ぼす。よく覚えておくのじゃぞ」
「………」
兵士は何か言いたげな様子でワシを見る。やれやれ、どいつもこいつもルークを甘く見ている。もし、何かあったらワシがルークを殺す事にしよう。ハウロスを殺したように……
ご覧いただきありがとうございました。
後8話で逆心の逆境は完結です。是非最後までお付き合い下さい♪
続きが読みたい、面白い! と思った方はブックマーク、高評価していだだけると泣いて喜びます(笑)
それでは14話でお待ちしています。




