表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦聖女は楽園を探し求める。  作者: バナナード
9/59

冒険者

今回は、冒険者としての初めての戦闘場面を描いてみました。

 メルティアは、他の従者達とパーティを組んで冒険者をする事になった。


 現在のレベルは、Exで未確定である。


 ギルドは、都合上『オーラビジョン』と呼ばれる、依頼事項詳細や戦闘映像を、映し出した映像を一般公開して、実力のある冒険者は、規定より早く昇格を可能とする手法を取ることがある。


 メルティア達は、あまりにステータスが高いため、この制度を使う事になったのだ。


 このオーラビジョンは、ギルドの酒場で、食べ放題飲み放題の有料で公開されでおり、ひとつのお祭りとしても認識されているのだ。


 そして、本日は、チーム『ホワイトプリンセス』のヒュドラ討伐戦があるのである。


 このヒュドラは、何度もAランク以上の冒険者たちが失敗している案件である。


 ヒュドラ自体も多くの戦闘を経て進化していると聞く。


 気を引き締めて当たらなけらばいけない。


 場所はわかっており、近くに転移魔法陣も設置されている。


 そこから、アクセスするのだ。


 「さて、依頼をこなして参りましょう。」4人は、転移陣に飛んだ。特に気負いは無く、対人戦の罪悪感も無いため、むしろ気楽なのだ。


 『プロテクション・アンプリフィケーション・レジスト・ヘイスト!』補助魔法をかけてダンジョンにはいる。


 ステータスが50%以上上昇する。


 観客も息を飲み見守る。


 まず襲って来たのは、ポイズンリザードの群れだ。


 カルセドとシェスターは、なん無くトカゲ達を処理して行く。


 危なげない戦いぶりに、観客はつまらなそうだ。


 一方で女性達は、シェスターに釘付けだ。「シェスター様って賢者なのに細剣の腕前も剣聖なんですってよ。あんな方とご一緒できたらいいのに・・・」女性達の溜め息が聞こえてくるのだ。


 次に襲ってくるのは、ファントムバットの群れだ。数が多い。


 「下がって!」アルフィンが前に出る。


 『ファイヤーピラー』


 蝙蝠は、近づく事も出来ずに焼かれて灰になっている。危なげない戦いぶりなのだ。


 アルフィンは、メルティアと同い年だが、比べても少し幼げで可愛らしい。男性からの視線も多いのだ。


 進入して丁度1時間程でヒュドラの部屋に到着した。


 中央にいる。大きい。


 通常の3倍の大きさがある。倒せなかった間に成長してしまったのだ。


 「これは、少しホネかな・・・」シェスターは言う。


 メルティアは、淡々とと補助魔法をかけ直すと、話しかける。


 「私が守ります。安心して戦って下さい。」微笑んで、いつでも魔法を放てるように、幾つもの魔法構成を組み上げる。


 戦闘開始だ。シェスターは、メルティアを守る様に前に立つ。


 カルセドは、7つも有るヒュドラの首をひとつづつ切り落として行く。


 さすがのカルセドも、ここまで成長したヒュドラの分厚い外皮を切断するのには、苦労するのだ。


 しかも、数分で再生してしまうのだ。


 4人とヒュドラの距離が近づき過ぎている。


 危険を感じる間も無く、ヒュドラの6本の首が一斉にメルティアを襲う。


 《バキバキバキッ》


 メルティアの物理障壁がヒュドラの攻撃を防ぎ切る。


 荒れ狂うヒュドラの攻撃は、全員に同時に降りかかるが、メルティアは、その全てを防ぎ切る。


 「アルフィン!首を切ったら切り口を焼くか、凍らせて!」


 「分かったわ。」


 ヒュドラの首は再生できずに減って行く。


 最後の首一つを切り落とすと、カルセドがとどめの大技を繰り出す。


 『轟撃雷天!!』


 胴体が真っ二つにされ勝負はついた。





 ギルドは悲喜交々の反応が渦巻いていた。


 一歩一歩ランクを上げて来た冒険者達は悔しがり、実力差を理解した者は素直に讃えたのだ。


 また、それぞれの戦士に憧れを持つもの、容姿や戦いぶりに魅入られる者さまざまである。


 「カルセドのとどめの技は、すごかったな。」


 「いやいや、ヒュドラの首の再生を許さないアルフィンの炎魔法が、すごかった。」


 「シェスター様がもうカッコ良すぎて、メルティア様が羨ましい・・・」


 「なんと言っても、あの酒場で給仕をしてる、可愛い女の子があんなに落ち着いて戦っているなんて凄すぎる。」


 盛り上がっているのだ。


 オーラビジョンの中継は、終了。


 ギルドは、活気に溢れて良い雰囲気となっていった。


 4人は帰還し成功報酬を受け取った。


 あと2つ、企画をクリアすると、晴れて4人はAランク昇格となる予定だが、僅か2週間の間にあっさりと達成されたのである。


 その後は、アンブロシアの4人は、ギルドでは顔となり、それぞれが他のパーティの助っ人に入る事も多くなっていた。






 しばらくの平穏が続いたある日、メルティアはランチの仕事を終えて、シーライオスの町を散策していた。


 油断していたのだ。


 一人で外出してしまったのだ。


 海岸に面した、誰もいない路地から海を眺めていると、背中に痛みが走る。


 「あっ・・・あれっ・・・」


 一瞬の出来事だった。 


 『毒針』である。


 メルティアは、倒れ込んだ。


 アンブロシアからの刺客による、不意打ちだった。


 アンブロシアの最上級アサシンである、ベノアルカテルによる調略行動であった。


 ベノアルカテルは、誰の目にもつかないまま、メルティアを国外に連れ出してしまったのだ。


 気が付くと、首・両腕・両足には、魔法が使えないように強力な魔封アイテムが装着されていて、自由がきかないばかりか、魔法が使えないのだ。


 しかも、メルティアは魔法による構成毒ではなく自然毒には耐性がほとんどない。


 絶対絶命である。



 


ご意見・応援などお願いできたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ