気持ちの整理
つかの間の静けさの中、メルティアは失明していた。何も見えない状況はメルティアに自分の気持ちにけじめをつけるには、良い時間いなっていた。改めて周囲にいる愛すべき男性たちの事を考えていた。
翌日メルティアは、目が覚めた。筈だった。メルティアは、目を開けたが周りが真っ暗だ。
まだ夜なんだ・・・「誰か灯りを下さい。」周りのざわめく気配がする。
「メルっ、其方は目が見えていないのか?」ポセイドンは驚いて問いただす。
「えっ?今夜じゃ無いの?・・・目、見えなくなっちゃったんだ・・・」
神器による、度重なるダメージに、加えて生きているのが不思議な程の大出血、更に昨日の100人以上を一度に蘇生する様な無茶な神聖力の使い方をしたのだ。目くらい見えなくなって当然だった。
「そっかぁ、残念だなぁ。皆んなの顔が見たかったなぁ。」一言呟くとその大きな青い宝石の様な目を閉じた。
「目は神器による傷では無いから必ず治るよ。」ポセイドンは、静かになぐさめた。
「ふぅ・・・もう自分じゃ何もできないや。情け無いなぁ」メルティアは、ため息をついて、窓の外の鳥達の囀りに耳をすました。
「すまない・・・結局メルを守ってあげられなかったな。神話の大神なのに情け無い話だ。」
「ありがとう、そんな事思ってくれただけでもうれしい。皆んなは怪我なかったの?」
「ふふっ、メルのお陰で大勝利。ハデスのやつ慌てて戻って行ったよ。これからの問題は、多数の暗殺者が送られてくるだろうな。」
「・・・目が見えないから、気をつけようが無いなぁ・・・」
「大丈夫、これからは一時も目を離さないから、安心して眠っていいよ。」
メルティアは、考えていた。ポセイドンには、地上の代表として忠誠を誓う一方で、一人の女性として求められている。
シェスターには、一時天使と融合するまでは、心も身体も許した関係である。
シーベルにも、その純粋な人柄、男性としての魅力にも惹かれては心を乱される。
なんて淫らで情け無いのだろう。盲目になって改めて情け無い自分が恥ずかしくなっていた。
それどころか、今は食事や、着替え、トイレまで一人で出来ななくなっているのだ。メルティアにとって、今と言う時間は整理のつかない心の整理をする、大切な時間になっていた。
心配したシェスターが、メルティアの部屋に入ってくる。
「目が見えないんだって?心配しないで!不便かもしれないけど僕がついてるから・・・」シェスターは、いつも通り優しい。
シェスターは、メルティアにキスをする。抱きしめる。メルティアは、拒まない・・・とは言え、シーベルやポセイドンの顔が頭に浮かぶ。
選ばなきゃ、ケジメををつけなきゃ、思い浮かべるが、キスを受け入れ、抱擁に身を任せてしまう。
涙がボロボロとこぼれ落ちる。もう如何していいか分からなくなっていた。
「ど、如何して泣いてるの?僕はここにいるよ?僕は、メルが嫌わない限りそばにいるし、メルが間違ったりたった一人で世界を敵に回しても、僕はメルだけの味方だよ。例え僕がメルの一番でなくなったとしても、それは変わらない。一番になる努力をするだけだから・・・」
あまりにシェスターの正直な気持ちがメルティアの心を抉る。シェスターは最近のメルティアを見て気付いているのかもしれない。
メルティアはシェスターの胸で泣きじゃくっていた。
「いいよ、今この時だけはメルは僕だけの物なんだから・・・」シェスターは、メルティアに優しく呟きかけた。
「逢いにきたよ、姫様・・・元気ないって聞いたから。」シーベルが入ってきた。
メルティアの目が見えないのをいい事に、シーベルは、突然に抱きしめて、キスをした。
「また、強引なんだからぁ!」肩をすくめて、顔を少し背ける。
「残念でした、今日は目が見えないから、ベルのイケメンの破壊力に負けないんだからね。」
「じゃ、早く目が見える様になって貰わないとね。」シーベルは、メルティアの頭を撫でて、閉じた瞼にキスをする。
「メル、アレスの傷は大丈夫?これ以上メルに借りができたら、そばにいられなくなっちゃうからさ・・・」
「ううん。ベルがあの時アレスを跳ね返してくれなかったら、シーライオスは、瓦礫の山になってた、、、私が守らなきゃだったんだけど・・・感謝してる。」
「・・・悔しいなぁ、つぎは必ずシェスと同じ土俵にあがって見せるよ、命をかけてでもね。」シーベルからは、メルティアに対して遅れをとっていると言う焦りを滲ませていた。
「・・・ベル⁉︎大丈夫だよ、ちゃんと見てるからね。焦らないで・・・」シーベルはいい仕事をしているのだが貧乏くじが多かった。
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