海王ポセイドン
今回は、地上を守るために、ポセイドンの従者として輿入れを決める回です。それで、丸く収まるのか?ご閲覧お願いします。
メルティアは海底神殿から一時だけ戻ってきた。ポセイドンとの会見の内容一部始終の話をして、シーベル・ファンタムに相談をしていた。
「なるほど、神託は確実に存在している事が確認できたわけですね。」
「そうなると、時間はないのかもしれないな。」
「でも、そこでメルティア様がポセイドンに隷属したとしても、神託の意思が防げられる補償にはならないですよね。」
「そうですね、でもこのまま神託の発動を待つことも危険だと思います。」
「メルティア様はどうしたいんですか?」
「メル行くな。神託が下ってからでも、我々が全力でお前を守ってやる。」
「ありがとうベルぅ。でもね、それじゃ母様の後を追ってここまで来た意味がないからね。・・・・・・うん・・・いくよ。隷属関係になるかどうかは、もう少しポセイドンと話をして決めることにするよ。」
メルティア自身は、本当は結論は出ていたのだった。
メルティアは突然にシーベルの元に走って行くと、ふわりと体を浮かせるとキスをする。
「行ってきます。戻ってきたら港町でデートしてから帰ろうね。」
「あぁ、俺では止められないのか?」
メルティアは微笑んで返事はしなかった。そのまま踵を返すと、海竜に再び飛び乗り海底神殿へ向かって潜っていった。
「ふ~ん、戻ってきたんだね。もう帰ってこないと思っていたよ。」
「そうですね、戻ってこないでガチンコ勝負してみてもよかったかもしれないんですけど、むしろポセイドン様、あなたが気になったのが本心です。
ポセイドンは優し気な薄いグリーンのガウンを羽織って神殿の中央にある玉座に座っている。メルティアはポセイドンの目を見つめ続ける。
「へぇ、私の心を読もうとしているのか?」
「いいえ、具体的にそんな力は私にはないですよ。ただ、とても綺麗だけど寂しそうな瞳をしているので、つい見とれていたんです。・・・何が寂しいのですか?」
海王は孤独だった。海底にいる彼に使えることができる協力者や従者・眷属は海洋生物であったり、基本的に人や亜人ですらない。普通に人型として話ができる友人や、仲間・部下などはいないのだ。特定の生物や、一部の亜人以外に心を通じることのできる者は圧倒的に少ないのが現状なのだ。
「現在、ポセイドン様に仕える従者たちはいないのですか?あまりにも閑散としているように見えますが、、、。」
「ふふふ、痛いところを突くなぁ。私の従者はとても少ない。この海中において我と時間を共にできる人材は極めて少ない。現在、ティティスというセイレーンと、マルンダイトというマーマン(半魚人)、セフィールというマーメイドの3人しかいないし、そいつらも他の海を支配するために外に出ているのが実情だ。巨大な力を持った、キングサーペントや対神戦に優れるスコーピオンクラーケンなど多くの化け物はいくらでもいるんだがね。・・・・・・私の悩みを聞いてくれる誰かは、いないのだな。」
「そうですか・・・少し、私でよければ傍にいる事にします。このような状況が破綻して神託が暴走した場合は、お暇することになりますが・・・。追い返しますか?」
「勝手にするがいい。」
ポセイドンは満更ではなかったのだ。先日従者としてメルティアをスカウトしたのは、事実本心からであった。ポセイドンの目には、メルティアは確かに天使に見えているのだ。それも心は人間としての素朴で素直で裏表のない悪意無い物であることは最初に判っていたことであった。恐らくは人としての感情とは異なるのだが、愛しく思っている感情は存在していた。一目惚れしていたのだ。かたやメルティアも海王ポセイドンに興味は持っていたし、できればよい関係で居たいと考えている状況は同じであった。
「ポセイドン様?お茶の用意ができています。一緒に召し上がりませんか?」
「お茶か・・・嗜んだのはいつぶりだろうな?」
「そんな前だったんですか?」
「ふむ、海は広いし色々なことが起こるのでな、休んでいる暇もなかったんだ。」
「神様の中でもポセイドン様って大変だよね?私たちは人がいて、害し害される関係があるので、油断できないのはあるんだけど、海王様の場合は何かあっても周りに相談できる部下も誰もいないもんね。全部、自分の判断でしょ?」
「ふふっ、生意気言っているんじゃない。ずっとこうやって海の平和を守ってきた我にそのような軽口を聞くとはものを知らない町娘と一緒なのだな、お前は・・・」
「私は実際には直情馬鹿ですから、真に受けないでくださいね。厳かなのは容姿だけだけですから。」屈託なく微笑んで見せる。
その後、メルティアとポセイドンは一緒に食事もとるようになっていた。神は無理に食事を摂る必要はないが、ポセイドンも何かしらメルティアとの会話や接触を楽しみにしていたのだ。メルティアもポセイドンの静かな優しさに惹かれていた。
「ねぇ、これからは海王様をセイって呼ぶことにするけどいいかな?」
「・・・あっ、ああぁ・・・」少し驚いた顔でポセイドンはメルティアを見るのであった。メルティアはいつも食事や、お茶の時は向かい合わずに傍に座ることにしていた。そして必ず手を握るようにしていたのだ。
「あーぁ、冷たい手だなぁ・・・私が温めてあげるよぅ。」両手で左手を取ると自分の胸に当てて目を瞑るのだ。その表情に、ポセイドンは少し顔を綻ばせる様になっていた。
「本当はセイって暖かい心の神様なんだから、もっとそれらしくしないとダメだよ。私みたいに誤解しちゃうから・・・」
「そうだな、もっと私自身が、アテナのように人と接触する機会が多かったなら、こんなに孤独な思いはしなかっただろうな。」
「なんか、セイ今日は正直なんだね?自分から孤独だなんて初めて弱音はいた~。」
「別に弱音じゃないさ。事実を話したつもりなんだが・・・」
「OK!、今日は夜一緒に寝ようね!!」
「・・・ど、どうしてそうなるんだ・・・」ポセイドンは柄にもなく顔を赤くしてうつむく。どうしていいのか分からないのだ。そんなポセイドンを見てメルティアはすっかり安心していた。これで、確実に神託の最悪が避けられるという事なら、隷属してもいいかなぁ・・・なんて思っていた。
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