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戦聖女は楽園を探し求める。  作者: バナナード
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魔封具

 メルティアは、元々魔封アイテムを使用しないと自らの溢れ出る魔力を、コントロール出来ない状態であるが、今回魔王から嵌められた魔封の首輪は、付けたままでは自分の回復すら出来ないと言う不便なものだった。


 魔封具というよりは、奴隷や拷問用の首輪なのだ。


 当のメルティアの病状は思わしく無い。


 元々、両脚の多発複雑骨折でベッドに横たわった身体ある。


 シェスターとシーベルを助けに出撃した時も当然戦える様な状態では無かったのだ。さらに徐々に体力が減少して、今では呼吸すら辛い状態にまでなっていた。


 「はっあっ・・・あぁ、ごめんね、シェス。看病させっぱなしだね。」


 苦痛で冷や汗をかきながらも、平静を装うが気を失う寸前だった。


 「もう、待っていられる時間も無いな。ベル!破壊出来るか、やって見るしか無いな⁉︎」


 「俺も昨日やって見たんだが、首輪が魔力を拡散してしまうので、魔法で破壊するのは、難しそうなんだ。」


 「じゃ魔法公式の解析から構成を無効化するしか無いと言う事か・・・難しいな。」


 「わ・・・私が慣れれば良いんだけどね。」メルティアは、痩せ我慢する。


 実際メルティアには、一つだけ手段があった。それは、自分自身を魔力でエネルギー化させて、力ずくで首輪を破壊する事だ。部分的な外力は、分散出来ても全体的にかかるエネルギーが首輪を覆い尽くした状況では、エネルギーが逃げばを失って自壊するはずだ。


 ただし、自分自身にも同じエネルギー負荷がかかるため、メルティアの体力が耐えられない可能性も高いのだ。


 自分が死ぬ可能性もあるため、最後の手段として、今は実行しないで周囲の愛する者達との時間を楽しんでいるのだ。限界がきた時点で魔力爆発を検討していたのだ。


 もしかしたら、首輪と一緒に自分も死ぬかもしれない。そんな考えは、メルティア自体に無理や痩せ我慢をさせた。


 明らかに苦しんでいるのに微笑み、静かに休んでいたいのに出来るだけ仲間達と一緒に過ごそうとするのだ。


 極め付けは、「血を吐きながら笑ってるって、ホラーだよね。」と笑い飛ばしてしてしまうのだ。周りは見ていられなかった。






 一ヶ月後のある日、その限界らしい状態が見え始めた。吐血が止まらない、一時落ち着いていた両脚の腫れが悪化している。42℃の発熱が続いて身体が硬直、痙攣して上手く動かせない。会話も声が震えて上手く喋れないのだ。


 「えへっ、へ、シェスっぅそろそろ、私限界みたい・・・これから私、この首輪っを、、、力ずくで破壊っ、、、するから、私を研究棟、、、に連れて行って。」


 「おい突然なんだよ、メル一人でそんな危険な事やるのか?」


 「だって、誰か側に居たら魔力爆発に巻き込まれて、きっと死んじゃうよ。」メルティアは、シェスターに、作戦の説明をした。


 「メルが生き残れる可能性は、どの位あるの?」


 「体力っが、、、残って、無いから、2割、プラス、ステータスの幸運っ、、、補正で4割位かなぁ・・・」シェスターは、何も言えない。選択肢が無いのだ。


 メルティアは暇乞いのために、燃命の秘薬を飲むと、カートに乗せて貰うと玉座の間に連れて行ってもらう。


 「お父様!ご挨拶に参りました。」


 何かを悟った様に、アンゼルはメルティアの側に歩み寄ると、ぎゅっと抱きしめる。


 「お前程手の掛かる娘は、いなかったが、お前程可愛いと思えた娘もいなかった・・・待っている。必ず帰ってこい。」


 「ずっとここにいたいよ。でももう時間が無いからいくね。今までありがとう。」メルティア固有の真っ青な瞳に涙を溜めて言葉を紡ぐ。


 「シェス、私を愛してくれてありがとう。もっと一緒に居たかったけど、どうかな・・・仕方ないから行ってくるね。」もう、シェスターは泣き崩れてなにも言えない。ただメルティアを抱きしめた。


 「シーベル、もし戻れたら貴方ともちゃんと向き合うから、、、損な役割ばかりさせてごめんね。」


 「たのむ、生きて戻って来てくれ、それ以上の高望みはしない・・・」


 「カルセド⁉︎いつも何も言わずに付き合ってくれてありがとう。」


 「大丈夫、姫なら必ず戻ってこれます。私に出来る事は待つ事。ずっとお待ちしてます。」カルセドは、切なそうに顔を歪ませ微笑む。


 「アルフィン・・・もしも私が戻って来なかったら、シェスはお願いね!多分シェス壊れちゃうから・・・」


 「分かったから、帰って来なきゃ駄目だよ。悲しむのは、シェスだけじゃ無いんだから勘違いしないで。」メルティアの手を握りしめる。


 「あと、私が帰らなかったら、魔術師君たちには、後でよろしく言っておいてね。上からずっと見てるからって・・・」すこし切なげに、いまこの場に居ない彼らに想いを馳せる。


 「さ、いかなきゃ・・・あの私を覚醒させた実験室に連れて行って。」シェスターは、静かに抱き上げると歩き出した。


 「シェスぅ、良い男が台無し。あんまり泣かないで・・・必ず帰って来るから。」メルティアは、微笑むと静かに目を閉じた。

よろしくお願いします。

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