表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/142

サフィーの狂気

後ろか…

私は、後ろから飛んでくるリセナの剣を、弾く。

「煙に紛れてたはずなんだけど?」

「虫の知覚能力を侮るなよ?空気の微振動で物体の動きが分かる。」

ペンダントの力を弱めて、触角を出している。

『人化』のペンダントなんて名前だけど、人に化けるじゃなくて、人に近い姿に化けるだ。

触角を髪の一部のように見えるよう、調節してる。

そして、リセナのいる方向に剣を振り下ろす。

「チッ、浅かったか。」

「ほぼ勘で動いてたけどね。」

「そりゃあそうでしょ。音は頼りにならないもの。」

「どういうこと?」

転生者だからこその知恵だ。

「音は、空気の振動なの。空気が振動して、その空気の振動が耳に伝わる事で、音を知覚出来るの。その、音が進む速度の事を『音速』って言うの。」

「なんだか難しい話ね。それが、さっきのとどう関係があるの?」

「物体が、音より速く動いたら、どうなると思う?」

音より速く動く、超音速というやつだ。

「音より先に、物体が飛んでくる?」

「正解。私は、剣を音より速く振った。だから、剣の次に音が来るから、音で攻撃を判断しない方がいいよ。」

流石、ファンタジーの世界という感じね。

生身で、超音速の速度を出せるなんて。

そのうち、本当に光速で移動する奴とか出てきそう。

「教えてくれてありがとう、じゃあその音速とやらを超えて動かせば、貴女の触角も機能しないんじゃ?」

「確かにね。空気の振動を感知してるなら、触角も機能しないだろうね。」

リセナって、意外と頭いいのかな?

音速で攻撃すれば、私の触角が機能しない、ねぇ?

確かに機能しないだろうね。

でも、目の悪い昆虫たちは、触角で物を調べてるのよ?

触角は、虫たちの目であり、耳であり、鼻であり、舌でもある。

触覚?元々触れて確かめるのが触角なんだから、あるに決まってるでしょ?

そして、ファンタジーの怪物昆虫である私の触角が、音速如きで欺けると思ったら、大間違いだ!

「フン!」

私は、確かに音速で飛んできたリセナの剣を受け止める。

「な!?」

「音速程度で、私を欺けると思わない事ね。走り回っても無駄よ?空気の振動、熱感知、魔力の動きで貴女の位置が分かる。」

位置を変えたところで、最低でも、音速を超えて移動しないと、空気の振動で感知出来る。

もちろん、それ以外でも感知出来るけど。

「煙の外に出たか…ここじゃ私の方が有利だからね。」

私は、リセナが煙の外に出た事を確認すると、私も外に出る。

そして、壁がワイバーンに攻撃されているのを見た。

「そう言えば、壁の破壊が目的だっけ?あれ、まずいと思うよ?」

「へぇ?どういう風にまずいの?」

「どうって…」

私が何か言う前に、ワイバーンに幾つもの光の槍が刺さる。

「な!?」

そして、第二射が飛来して、ワイバーンの命を刈り取る。

「ほーら、言わんこっちゃない。」

「お前、何をした!?」

リセナが、剣を捨てて掴みかかってきた。

「ちょっと!服が伸びるでしょ!」

「黙れ!そんなことはどうでもいい!」

胸ぐらを掴まれて、服が伸びている。

「あーもう!サフィーよ!あそこには私の妹がいるのよ!」

「妹?そいつがやったのか?」

「私の妹よ?弱いわけないでしょう。」

サフィーは、強くて、可愛くて、私のことを心の底から愛してくれてる、私の自慢の妹よ?

『お姉様、恥ずかしいです…』

『声に出してないから、大丈夫。』

サフィーに怒られてしまった。

「あ、翼だけ攻撃した。」

「飛べないワイバーンなんて、ただの的でしかない…貴女の妹は、とんでもない事をするわね。」

「一思いに殺せばって事?サフィーって結構残虐な事、平気でするわよ?」

『お姉様?』

『あ…』

まずい、サフィーに聞かれた。

『何がまずいんですか?』

『えーっと…サフィーが怒るでしょ?』

『そうですね、堂々と残虐非道な奴、なんて言われてキレない方がおかしいですよね?』

ブチ切れてらっしゃる。

「ん?顔が青いけど…何かまずい事でも?」

なんで、ニヤニヤしてんだこいつ。

「私の持ってる恩恵を介して、サフィーがこの状況を見てるの。」

「それがどうした…あ」

「今、サフィーがブチ切れてる。」

「あー…」

何故か、リセナから同情の目を向けられた。

敵に同情される何て…

『そうですね、さっさとその女殺して、私の所に来てください。お話があります。』

『いや、でも。』

『速くしてくださいね?』

反論は許されなさったよ。

「さっさと貴女を殺して、帰ってこいですって。」

「貴女の妹って、そんなにヤバい奴なの?」

「姉と一緒に呼ぶと、私は特別なんだって言って、姉の事を殺そうとするくらいには…」

「うん、本当にヤバい奴だった。」

サフィーが、ヤバい奴って言われるのは不快だけど、事実だからなぁ。

『お姉様?私のこと嫌いですか?』

『そんな事無いよ。ちょっと困ってるだけ。』

う〜ん、サフィーがヤンデレの道を突き進んでる。

そのうち、後ろから刺されそう。

「大丈夫?」

「何が?」

「凄い困った顔してたけど…」

そんなに顔に出てたか…

「サフィーが良くない方向に愛を傾けてるから…」

「ヤンデレってやつ?」

「そう」

なんで知って…コレも勇者か?

世界に影響与えすぎでしょ。

「それが本当なら、私、貴女の妹に拷問されて殺されそうなんだけど…」

「ありえる…というか、そっちの方が自然なくらいね。」

「う〜ん、逃げていい?」

「逆に、逃げるなら今のうちだと思うよ?」

そろそろ、サフィーが飛んできそう。

…いや、こっち向かって来てる。

「サフィーがこっちに来てるよ?」

「は?」

「貴女への、殺意で真っ黒になりながら。」

リセナの顔が、どんどん青くなる。

「死ぬなら、もっといい死に方したいから、逃げるね。足止めお願い出来る?」

「気乗りはしないけど出来るよ?」

「じゃあよろしく!」

そして、リセナは一目散に逃げ出した。

「逃げるは恥だが役に立つ…今回に関しては、マジで当たってるわね。」

「ええ、そうですね。お姉様は逃しませんよ?」

「サフィー、どうしたら許してくれる?」

サフィーは、にっこり笑って、

「許しません♡」

かわいい言い方と、顔をしているが、私は恐怖しか感じなかった。


リセナ、賢明な判断だ。

逃げてなかったら、どうなっていた事か…

結局、エリーレの街は無事、サフィー(の狂気)によって守られました。

…ビーノは無事ではなかったもよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ