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vsリセナ

「チッ、速い。」

私の剣は、軽々と躱される。

けど、私もコイツの剣は当たってない。

それに、サフィーのいるテントからも離れた。

『サフィー、余裕があれば手伝ってくれると嬉しいんだけど。』

『分かりました、幾つか支援魔法を掛けます!』

すると、いつもの支援魔法に合わせて、様々な魔法が掛けられた。

サフィーも、ギルドで何かしていた。

その時に修得した魔法かしら?

『はい、幾つも魔法を覚えましたよ?』

『凄いわ、必要になったら頼むから、いつでもいけるようにしておいてね?』

『任せて下さい!!』

サフィーは、やる気満々だ。

「急に強くなったわね?妹の支援魔法?」

私もこっちに集中するか。

「ええ、いいでしょ?優秀で、可愛くて、優しくて、頼ってくれて、自分も頼れる妹が居るのは。」

「本当に妹を溺愛してるのね…これは、妹に手を出すのは本気でやめたほうが良さそうね。」

へぇ、サフィーを襲う気だったのか…絶殺

もう許さん、例え焼き土下座で謝罪されても許さない。

サフィーに手を出そうとした罪は重い!

「急に殺気が…そんなに嫌だった?」

「じゃあ、貴女は心の底から愛してる相手を、目の前で殺すとか言われて、キレない自身ある?」

「絶対そいつ殺しに行くわ。」

「ほらね?」

ようやく私の気持ちを分かってくれたか…

まぁ、殺すことに変わりはないけど。

「距離を取るって事は、魔法勝負がしたいの?」

「まさか、お前と魔法で戦って、こっちに勝ち目は無いだろうが。」

魔法勝負なら、圧倒的な魔力量の私に利がある。

近接戦闘では、身体能力で私が勝っているけど、経験とか、技術で負けてるから、総合的には不利。

けど、私にはサフィーがいる。

いざという時は、サフィーに協力してもらえれば、数的優位に立てる。

奴の駒である魔物は、こっちの捨て駒である冒険者と戦ってるから、魔物をけしかける事は出来ない。

ハーウェイも、この戦いを見てるはず。

なら、私の周りに魔物を近付けないようにするはず。

「ぐぅ!?」

私は、肩に痛みを感じて後ろに飛ぶ。

何かが刺さったような傷があった。

そして、リセナの左手に血の付いた短刀があった。

「何考えてるか知らないけど、ずいぶんと余裕そうね?殺し合いで、そこまで深く考え事が出来るなんて。」

「うっせー!戦いは頭を使うもんだろ!」

「そうね、でも余計な事考えてるね?」

確かに、さっきのは余計な事かッ!?

「チッ、勘がいいのね?」

リセナの剣が私の首の薄皮に刺さっている。

「一応、警戒はしてたからね。」

けど、私の大剣もリセナの首の薄皮を切っている。

リセナの剣が私の首を貫く頃には、私の大剣がリセナの首をはねてるだろう。

だから、仕切り直し。

お互い後ろに飛んでもう一度距離を取る。

突然、リセナのいる地面が爆発する。

今度は、魔法で攻めてみる。

これが効くとは思ってない、実際リセナは爆発の直前に後ろに飛びかけていた。

「さっきの仕返し?」

何かが来るのを感じた私は、すぐにその場を離れる。

私が、距離を取った次の瞬間、私が立っていた場所に、影で出来た槍が幾つも突き刺さる。

「もちろん、お互い効いてないけど。」

そして、リセナの魔力が動くのとほぼ同時に、私も魔法を発動する。

二つの魔法が、幾つもぶつかり合い、辺りは煙に包まれた。











「くっ!これでは戦況が…いや、そんなことより、魔物を止める方が先か。」

私が、指示を出そうとした時、市壁の一部が爆発する。

火の玉が飛んでくるのが見えた。

「ワイバーンか!」

見ると、二匹のワイバーンがこちらを攻撃していた。

この当たりにワイバーンは、なかなか現れない。

つまり、あの魔族が連れてきた物。

「ワイバーンを優先して攻撃しろ!あれは敵の切り札だ!倒せればこちらが有利になる!」

私の指示を受けて、幾つもの魔法がワイバーンに殺到する。

しかし、距離がありすぎてほとんど当たらない。

逆に、でかい上に動かない市壁へは、ワイバーンのブレスが何度も当たる。

このままでは、壁を削られ続けるだけだ。

私の魔力、は戦力が整うまでの足止めで使い過ぎた。

精霊術はあと数回使えるが、それで二匹のワイバーンを倒せるか…

その時、幾つもの光の槍がワイバーンに突き刺さる。

「何!?」

そして、第二射がワイバーンに突き刺さる。

それは、首や頭、心臓などを的確に貫き、ワイバーンを絶命させた。

「いったい、何が…」

市壁の各地で、驚きの声があがる。

仲間が一瞬でやられた事に、ワイバーンも困惑している。

今度は、光の槍がワイバーンの翼を喰い散らかした。

翼を失ったワイバーンは、地に落ちる。

「はっ!ワイバーンは地に落ちた!一斉に攻撃しろー!!」

私が一喝することで、正気に戻った冒険者達が、ワイバーンに一斉攻撃を仕掛ける。

翼を失ったワイバーンは、魔法や矢の雨あられを受ける事になり、数分後には亡骸が転がっていた。

「あの光の槍は、いったい誰が使ったのでしょう?」

「私にも分からん。」

だが、なんとなく目星は付いている。

ワイバーンは、三匹いた。

二匹は今倒したが、もう一匹は炎の槍に串刺しにされて、死に絶えた。

炎の槍…あれ程強力な炎魔法が使えるのは、あの子くらいだ。

ルビーノ…マンイータービーの元女王候補にして、サフィーから聞いた話だと、姉妹最強。

格上の魔神教である、アルスを相手に一歩も引かずに戦い続けた、か。

アルスの強さは、私もAランクに推薦していたから、よく分かる。

その、アルスを相手に一歩も引かないとは…

化け物だな。

そして、その妹であるサフィーア…

姉ルビーノから、溢れんばかりの愛を注がれて育った元女王候補。

支援、回復、聖属性の天才。

「まるで、聖女だな…」

そして、サフィーは、光魔法が使える。

ビーノから魔法を教わっているのなら、あの光の槍は、ビーノが使っていた炎の槍を光魔法にしたものだろう。

つまり、あの光の槍を放ったのはサフィーだ。

流石は女王候補、強さが人間とは比較にならないな。

下を見れば、ちょうど怪我人を一箇所に集めて、回復魔法を使用している所だった。

「彼女は、聖女と呼ばれそうだな。」

あれだけの大人数を一度に治療出来るとは…あれは?

サフィーの身体に、何かが纏わりついているように見えた。

後で聞いてみるか。

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