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貴族との出会い

「ありがとう、本当に感謝している。」

「いいですよ、交易都市へ行くのに、邪魔だっただけなので。」

どうせ貴族だ。後で何かしらお礼してくれるだろう。

「ビーノ様、大丈夫ですか?」

そこへ、ローケンがやってくる。

「ん?ローケンじゃないか!」

「こ、侯爵様!?」

へぇ、こいつ侯爵だったのか。まぁどうでもいいけど…ん?

「どうしたのサフィー?」

「侯爵って上級貴族ですよね?」

「そうだね、サフィーには手を出させないから、大丈夫だよ。」

それに、あっちには恩を着せてある。それも、家族の分も含めての。

よほど、欲にまみれた奴じゃない限り、何かしてくる事はないだろう。

「侯爵様は、どちらへ?」

「今は、視察を終えて我が家に帰っている最中だ。お前は?」

「交易都市の支部店へ、補給に向かっている所です。」

侯爵のおっさんは、私の方を見て、

「彼女等は?」

「古代神殿に行きたいらしく、護衛してもらう代わりに、連れて行っています。」

「古代神殿?また奇妙な所に…」

そんなにおかしいだろうか?古代神殿だよ?ロマンありそうじゃん。

それとも、とんでもない魔境なのかな?

それはそれでいいね。

「そう言えば、自己紹介をしたほうがいいかしら?」

「そうだな、だったら私からにしよう。へリス・コリラットだ。ローケンが言っていた通り、侯爵だ。」

「そう、私はルビーノ、一応Dランク冒険者よ。」

「えっと、サフィーアです。」

ヘリス…もしくは、コリラット侯爵か…

サフィーは…いつも通り、私の後ろに隠れてるわね。

「私のことは、ビーノと呼んで。妹はサフィーでお願い。」

「分かった、ビーノ嬢とサフィー嬢、これでいいか?」

「ええ、それでいいわ。」

嬢呼びが普通なのかな?

「時にビーノ嬢、そなたは本当に人間か?」

「は?」

「いやいや、侮辱しているわけではないのだが…私の勘は、よく当たるんだ。」

勘ね…

この世界じゃ、勘は馬鹿にできない。勘は、ある種の未来予知…或いは第六感。それくらい、勘という物は馬鹿にできない。

「否定はしない。ただ、私達が何であるかは、ここでは言えない。」

「分かった。余計な詮索は、しないでおこう。」

「ありがとう。」

魔力を隠しきれていないのかな?

魔物の魔力は、他の種族とは、かなり違う。

その、魔力が勘に繋がっている可能性がありそうね。

「あ、あの!」

馬車の中からボロボロのドレスを着た、少女が出てきた。

「あ、私、メリーって言います。あ、あの!助けてくださり、ありがとうございました!」

「どういたしまして。改めて見るとかわいいわね。」

「え!?」

思わず、頭を撫でてしまう。

あれ、ぷるぷる震えてる。恥ずかしかったかな?

「大丈夫?」

「あ、あの。サフィーさんが…」

「えーっと?…あー。」

私は、サフィーを見る。

いつも通りのサフィーがいる。

私は、メリーちゃんを抱きしめる。

「…お姉様。」

やっぱり。

「サフィー、そんなに怒らないで。決して、そういう意図があったわけじゃないの。」

「…」

「貴女も撫でてあげるから。ね?」

しかし、サフィーは、そっぽを向いてしまった。

「えーっと、何が…」

「サフィーが嫉妬しちゃったのよ。」

「嫉妬?ちょっと頭を撫でたくらいで?」

メリーちゃんは、訳が分からないという感じだ。

「サフィー嬢は、姉思いなんですね。」

「姉思いと言うより、独占欲が強いが正しいわね。まぁ、私もサフィーが男と楽しそうにしてたら、こうなる気がするけど…」

いや、殺しに行くかもしれない…

取り敢えず抱きしめて、落ち着かせてあげよう。

「…」

あれ?まだ不機嫌かな?

私は、サフィーを180度回転させて、もう一度抱きしめる。

「…いいですよ。」

ようやく許して貰えた。

…ん?なんか、胸がスースーする。

気のせいかな?

「お父さん、私もサフィーさんみたいな、妹がほしいです!」

空気が凍りつく。

「そ、そうか…だが、すぐには生まれないし、妹かどうかわからないぞ?」

「それに、メリー様には頼れるお兄様方が、いらっしゃるじゃないですか?」

「私、兄様嫌いです。」

ドンマイ、メリーちゃんのお兄さん達!

「どうして、メリーちゃんは妹がほしいの?」

「ビーノさんみたいに、妹を可愛がりたいからです!」

私が原因か…

「それに、妹がサフィーさんみたいに甘えてきたら、嬉しいな〜って!」

「メリーちゃん?私は、サフィーのことが、大好きだから嬉しいけどね。普通、ここまで甘えてくる妹って、かなり鬱陶しいよ?」

「そんなことないです!私はちゃんと、妹を可愛がれます!」

どうしよう…

私は、ヘリスに目を向ける。

すると、首を横に振りやがった。

私が、どうにかしろって事か…こういう子ってなかなか、諦めてくれないからな〜

「取り敢えず、お家に帰ってから考えたら?」

「え?どうしてですか?」

「ほら、これはメリーちゃんの家族の事だからね?お家に帰って、お父さんやお母さんと一緒に考えたら?」

ヘリスが、『グルン!』という効果音がつきそうな動きで、こっちを向いてきた。

「わかりました!お父さんとお母さんと一緒に考えるね!」

「それがいいわ。」

これでよし。…ヘリスには頑張って貰おう。

「所で、」

メリーがまだ何か話したい事があるらしい。

「赤ちゃんってどうやって出来るんですか?」

ようやく、氷が溶け始めた場の空気が、一気に絶対零度に逆戻りする。

「お父さん!赤ちゃんってどうやって出来るんですか?」

「そ、それはな〜あ、あはは。」

おいヘリス!こっちを見るな!

「ビーノさん!赤ちゃんってどうやって出来るんですか?」

「え、えーっと…ねぇ?」

私は、サフィーを見る。

すると、サフィーは、信じられない様なものを見たかのような目を向けてきた。

「サフィーさん!赤ちゃんってどうやって出来るんですか?」

「え?えーっと、ローケンさんが知ってると思うよ?」

今度は、ローケンに飛び火した。

「ローケンさん!」

「ええ、えーっと…私もよくわからないです…ガッスさんは、知ってますか?」

「俺!?」

メリーちゃんが期待の目を向ける。

ついでに私達全員も。

「えーっと…あれじゃねえか?その〜夫婦の愛ってやつ。」

「愛…愛ってどんなことをするんですか?」

「え!?そ、それはな〜…ビーノ嬢とサフィー嬢がよくやってるから、聞いてくれ。」

は?

「ガッス…お前、覚えとけよ?」

「回復魔法は得意なので、沢山楽しめ(苦しめ)ますよ?」

「なんで俺だけ!?」

今晩は、ガッスの丸焼きかしらね?

「それで、何をするのですか?」

はぁ

「“自主規制”に、“自主規制”を…」

「待て待て待て待て待て待て待て!!」

「それはまずい!!」

「ストープッ!!」

「一旦落ち着きましょう!!」

このあと、顔を真っ赤にしたサフィーに、猛烈に説教された。

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