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交通事故にあった私、蜂になる  作者: カイン・フォーター
古代神殿と遥かなる旅の始まり
127/142

メリーちゃんのヤダヤダ

貴族のいざこざに首を突っ込めば、良くないことになるのは目に見えている。

なら、適材適所、貴族の事は同じ貴族のヘリスに任せておけばいい。


「さて、この籠以外のサンドイッチは食べていいらしいよ?」

「ほんとに!?じゃあ、食べよう!!」

「ふふっ、相変わらずメリーちゃんは元気がいいね。」


そう言って、私はメリーちゃんの頭を撫でてあげる。

しかし、サフィーから殺意が飛んでこなかった。

…代わりに、私も撫でてほしいという視線が飛んできた。


「サフィーもだいぶ丸くなったわね。」

「そうでしょうか?相手がメリーちゃんだから、怒りが湧いてこないだけだと思いますけど…」

「じゃあ、メリーちゃんとキスしたら?」

「一週間は口ききませんね。」


流石にメリーちゃん相手でも、そこまですると怒るらしい。

私なら…微笑ましいで済ませるかな?


「ビーノお姉ちゃんは食べないの?」

「食べるよ?ちょっとお話してただけよ。」


私は、籠からサンドイッチを一つ取り出して食べる。


「うん!美味しいわね!」

「でしょ!これも食べて!!」


そう言って、メリーちゃんが差し出してきたのは、お世辞にもきれいとは言えないサンドイッチだった。


「私が作ったの!!」

「そうなんだ〜。じゃあ、一つもらうね。」


私は、端のサンドイッチを取ってみる。

…あんまり言いたくないけど、正直な感想を言うなら、ベトベトかな?

隣のサンドイッチのドレッシングが付いてるし、所々にバターも付いている。

それどころか、持ち方を間違えれば、中から具材が出てきそうだ。


「じゃあ、いただきます。」


勇気出して、私はサンドイッチをひとかじりする。

…うん、なんと言うか、凄い味。


「うん!とっても美味しいわ!!」

「ほんとに!?やった~!!」


正直な感想は、このサンドイッチにはジャムとドレッシングが両方入っているらしく、甘くて塩っぱくて脂っぽい。

それに、脂っぽさは大量のバターによるもので、断面を見ると、バターの層ができていた。


「サフィーお姉ちゃんも食べて!」

「え?」


サフィー、自分に飛び火したことに驚きつつ、メリーちゃんのキラキラと輝く純粋な目を見て、


「じゃあ、私も食べようかな…」


サフィーは、感情を押し殺して、サンドイッチをひとかじりする。

…っ!?


「そうだメリーちゃん!この蜂蜜あげるから、また今度サンドイッチ作ってくれない?」

「ほんとに!?ありがとう!!」


ふぅ…危なかった…

私が、メリーちゃんに声を掛けてなかったら、サフィーの歪んだ顔を見られてた。


「サフィー、なんてことしてくれたのよ。もう少しでメリーちゃんに見られてたわよ?」

「だって、このサンドイッチ、びっくりするほどバターが入ってるんですよ?口の中が大変なことになってますよ!」


私達は、メリーちゃんに気付かれないように小声で話す。

サフィーは、不満そうにサンドイッチの感想を述べる。

私だって、サフィーの言っている事は分からなくもない。

しかし、それは言うと、あまりにもメリーちゃんが可哀想だ。

だから、サフィーもそこは自重している。


「?」


メリーちゃんが、話している私達の方を向く。

それに合わせて、私達はなにもないかのようにニコニコしている。

それを見て、メリーちゃんは首を傾げながら、


「お父様に、蜂蜜持っててもらうね。」


メリーちゃんは、ヘリスの所に行こうとした。

ん?今行って大丈夫かな?


「メリーちゃん。リン姉が持って行ってくれるって。」

「え?いいの?」


メリーちゃんが、リン姉の方を見ると、リン姉はニコニコしながら、首を縦に振った。

そして、メリーちゃんから蜂蜜を受け取ると、ヘリスの方へ行った。


「リンお姉ちゃんって、凄く優しいよね。」

「そうね。私やサフィーよりも優しいよ?」


リン姉は、私達の姉で、いつも私達(問題児)の面倒を見てる。

だから、リン姉は純粋なメリーちゃんに、まともに育ってほしくて、優しくしてるんだろう。


「そうなんだ…一緒に遊んでくれるかな?」

「きっと遊んでくれるよ。だって、リン姉は優しいからね。」


これなら、メリーちゃんが満足するまでは交易都市にいたほうが良いかもね。

といった感じで、ヘリス達と再会した。




…メリーちゃんのサンドイッチは、私とリン姉で食べきりました。
















数日後


「メリーちゃん、リン姉と遊ぶの楽しい?」

「うん!凄く楽しい!!」


メリーちゃんは、サフィーとリン姉と一緒に遊んでいる。

初日は、リン姉と二人で遊んでたんだけど、嫉妬したサフィーが乱入して、3人で遊ぶことになったみたい。

…私?

私は、将棋とかオセロとかで、ヘリスのことをいじめてるけど?


「ビーノお姉ちゃん…」

「ん?どうしたの?」


メリーちゃんが、急に悲しそうな声をして話し掛けてきた。


「サフィーお姉ちゃんから聞いたんだけど、もう少しでまた旅に出るって本当?」

「…」


私が、サフィーを見ると、サフィーはぷいっと顔をそらした。

余計なこと言ったわね…


「そうね、また旅に出るの。ただ、今度はかなり長い旅になりそうなのよ。」

「長い旅?」

「そう。私達が求めるものに出会うまでに、十五年かかるって言われてるのよ。だから、十五年以上会えないかも知れないの。」

「そんな…」


メリーちゃんは、この世の終わりのような顔をする。

十五年ということは、メリーちゃんが七歳だから二十二歳になるまで帰ってこない事になる。

それは、メリーちゃんが大人になるまで帰ってこないということ。

すると、メリーちゃんは俯いてしまった。


「大丈夫よ。きっと、旅の何処かで私が転移魔法を習得して、メリーちゃんに会いに行くからね。」


私は、メリーちゃんを抱きしめて、頭を撫でてあげる。


「本当に?」

「うん。絶対会いに来るよ。でも、それが何時になるかも分からないけどね…」


私の見立てだと、早ければ一週間程度で習得出来るかも知れない。

けど、それは空間魔法使いに指導を受けながら、万全の状態で指導を受けたらという条件付きだ。

自力で転移魔法を習得しようと思うと、もっと時間がかかる。


「必ず会いに来るよ。だから、それまで待ってられる?」

「うん。ずっと、お家で待ってるよ。お姉ちゃん達が帰ってくるの、待ってるから。」

「まだお別れじゃないんだから、そんなに泣かないでよ。」


メリーちゃんの声は震えていて、目からは真珠のような涙がこぼれ落ちている。

私は、メリーちゃんを抱き上げて、小刻みに揺れながらメリーちゃんを落ち着かせる。

その姿は、赤子をあやす母親のようだった。


「嫌だ。行かないで。」

「そう?じゃあ、いつまで待ってればいいかな?」

「ずっと、一緒にいて。」

「ずっとかぁ…」


それは難しいな…

目的地まで行くことに関しては、対して時間は掛からない。

だから、数年ここに残ることも出来る。

けどそれは、この街に根を下ろすようなもの。

数年もこの街にいれば、きっと私達は動けなくなる。


「ずっとは難しいね。…せめて、冬が来るまでかな?」

「行かないで…」

「メリーちゃん。」


すると、リン姉が話しかけてきた。


「私達はね。一つの街に留まり続けると、その街に残りたくなって、なかなか旅に出れなくなるの。メリーちゃんも私達とずっと一緒にいたいでしょ?」

「うん…」

「それと一緒で、私達もこの街から離れたくなくなるの。ずっとこの街にいたいってね。」


うーん…この話は、メリーちゃんには難しいんじゃ…


「メリーちゃんは、私達と一緒にいたい。私達も、ずっとこの街にいると、ずっとこの街にいたいって思うよになっちゃうの。」

「そうなの?」

「うん。私達にはね、あと二人のお姉ちゃんがいるの。その、二人のお姉ちゃんを探さないといけないし、ビーノが探してるものも見つけないといけない。ずーっと、一緒には居られないの。」

「…」


メリーちゃんは、また悲しくなってきたのか、私に抱きついてきた。


「ごめんなさい。ずっと一緒には居られないの。」

「…」


それからメリーちゃんは、一言も話さなかった。

ずーっと、私に抱きついて、お迎えが来たときも、私から離れようとしなかった。

仕方なく、ヘリスの許可をもらって、私達が面倒を見ることにした。

一緒にお風呂に入ったり、一緒に夜ご飯を食べたり、一緒にベットで寝たり。

メリーちゃんは、私だけじゃなくて、サフィーやリン姉にも抱きついていた。

夜は、リン姉に抱きついて、二人同じベットで寝ていた。

そんなメリーちゃんをリン姉は優しく抱きしめて、一緒に寝ていた。

その夜、刺客がやって来た。


「ふぅ…今すぐひれ伏すなら、楽に殺してあげるけど?」


しかし、刺客達は襲いかかってきた。

私は、刺客全員の首をはねる。


「空間収納で血も回収して…」


私は、地面にも広がった血溜まりを、綺麗サッパリ回収する。

狙いはメリーちゃん。

こっちに泊まってもらって良かった。


「ひぃ…化け物。」

「はぁ、メリーちゃんは今、精神的に疲れてるの。気づかれる前に死んでくれない?」

「え?」


それが、奴の最期の言葉だった。

私は、刺客の首をはねる。


「これで、ひとまず刺客全員の掃討は終わった。…一応、侯爵邸を確認してくるか。」


私は、メリーちゃんがいつでも家に帰れるように、侯爵邸に刺客がいないか確認に向かった。


















侯爵邸


「さて、ヘリスよ。娘を助けてほしいなら、それなりにお金をもらわないといけないね。」

「そうか…ちなみに、渡したお金はどうなるんだ?」

「そうだな…領地の開発か、俺たちの報酬。後はポケットに入るだな。」


そんなことのために、我が領民達が汗水垂らして稼いだ金が使われるのか…

だが、そのうち支払う必要もなくなるだろう。


「ではどうする?娘を助けてほしいなら、協力することをおすすめするが?」

「フフフ…」

「何がおかしい?」


娘を助けてほしいか…


「今私の娘は、この街でどこよりも安全な所にいる。お前らでは誘拐することなど不可能だ。」

「そうか…傷だらけの娘が、連れて来られないといいな。」


刺客がニヤリと笑ったとき、開け放たれた窓から誰かが飛んできた。

そして、俺は勝ちを確信した。


「よく来てくれたビーノ。おかげで助かったぞ。」

「いいわよ。外の馬鹿は全て排除した。内部の人間は手を出してないから、一応気をつけてね?」


それだけ言うと、ビーノは刺客の掃討を始めた。

そして、1分も持たずに刺客達は全滅した。


「メリーは大丈夫か?」

「刺客は皆殺し。念の為、サフィーが結界を張りながら警戒してるわ。後は、いざという時のために、リン姉が守ってるよ。普通の刺客にこの守りは突破できない。」

「そうだな、それなら安心だ。」


メリーちゃんが落ち着くまで、もうちょっと掛かりそうだ。

それまでは、私達が面倒を見よう。

でも、冬には我慢できるようになって欲しいけど…

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