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交通事故にあった私、蜂になる  作者: カイン・フォーター
古代神殿と遥かなる旅の始まり
123/142

久しぶりの交易都市

あれから、また一ヶ月半経った。

夏のピークは既に過ぎており、少しずつだけど涼しくなってきている。

しかし、それでもまだ暑い。


「終わりましたよ?」

「やっと終わった~!!」

「ほんとにここの検問は長いですよね~」

「他の街が緩いだけなんじゃないの?」


確かに、他の街はかなり緩い。

けど、この街はそうするわけにはいかない。

だって、ここは『大帝国』から分裂した国々との国境。

検問をしっかりしないと、何が入ってくるかわからない。

そこため、厳密な検問が行われている。


「久しぶりに帰ってきたわね。交易都市。」


メリーちゃんは、元気にしてるだろうか?

ハーウェイやヘリスは、どうしてるだろう?

気になることは山ほどあるが、まずはローカー商会の宿に向かわないと。


「さてと、二人ともフードは被った?」

「もちろん。」

「私まで被る必要あった?」

「あるよ。酔い潰れた、リン姉を背負って帰ったことがあるからね。もしかしたら、覚えられてるかも知れないから、一応よ。一応。」


私達は、ローケンに用意してもらった、フード付きの外套を羽織って馬車から降りる。

めっちゃ怪しいけど、案外色んな人がしてる格好だ。

ここは、スラムが多いから気を付けながらいかないと、財布ダミーを奪われる。


「ん?」


いくつもの気配が、馬車に近づいてきているのを、感じ取り、私は足を止める。

気配には、サフィーやリン姉も気付いたようで、私が指示を出す頃には、準備が整っていた。

そして、ナイフを持った男が傭兵に襲いかかるのが見えた。

私は、一瞬で賊との距離を詰めると、


「君〜、そんなもの人に向けちゃいけないよ?」

「なんだおま、ぐはっ!?」


私は、賊からナイフを奪い取ると、鳩尾に一撃入れて気絶させる。

そして、次の賊を潰しに向かう。


「な、何だこいつら!?」

「強すぎる!!」

「君らも寝てなさい。」

「「え?」」


二人の賊の顔を掴むと、地面に叩きつけた。

これの方法を使えば、一度に二人気絶させられる。

けど、いちいち叩きつけないといけないのが面倒くさい。

これなら、普通に殴った方が早い。


「さてと、リン姉もサフィーも頑張ってるね。」

 

リン姉は、いつも通り電光石火で賊を薙ぎ倒してる。

サフィーは…うわぁ…

私の視線の先には、光の縄に拘束されて、壁や地面に叩きつけられる賊の姿があった。

あれ、いつか死人が出るんじゃ…


「何だこいつら…」 

「駄目だ…ここにいたら殺される…」

「逃げるぞ!俺はまだ死にたくねえ!!」 

「逃さんよ。」


私は、先回りして、全員の意識を一瞬で刈り取った。

どうやったかって?

ゲスの生殖能力を抹消しただけだよ。

大した事はしてないね。


「やっはり、男は気絶させやすくていいね。」

「“急所”が丸出しですからね。」

「あらサフィー。そっちは終わったの?」

「全滅させました。ついでに、“急所”も潰してあります。」


ついでで、子種を潰される賊たち…可哀想とは思わないね。

だって、潰したところで新しい賊が出てくるだけだからね。


「こっちも終わったよ。…途中、股間を抑えて倒れてる賊がいたんだけど?」

「おかえり。それは、サフィーがやったのよ。」

「やっちゃいました。」


やっちゃいましたって…

可愛く言ってるけど、やってることはまったく可愛くないのよ…


「そ、そう…取り敢えず、賊は潰したし早く進みましょう。」

「そうね。じゃあ、行ってくるね〜」

「はい。是非、楽しんできてくださいね。」


私は、ローケンに挨拶を済ませると、サフィーとリン姉に連れて別行動を始めた。


















「うわっ!?」


歩いている途中、前から走ってきたガキとぶつかった。

私は、そのまま走り去ろうとするガキの頭を鷲掴みにする。


「おい待てやガキ。人にぶつかっておいて、謝罪の一つもなしか?」

「…」

「黙っててどうするの?なんか言ったらどう?」

「…」


しかし、ガキは口を開かない。

仕方ない、無理矢理開かせるか。


「お前、孤児だろ?じゃあ、今からお前の孤児院に行って、どういうことか説明してもらいに行ってくるね?」

「…」

「いいの?きっと怒られるだろうし、孤児院の人も哀しい想いをすると思うんだけどな〜?」

「…」


チッ、クソガキが…

私は、盗られた財布ダミーをそのままにして、

近くの孤児院に向かった。





「うちの子がご迷惑をお掛けしました!!」


孤児院に向かって、話を説明すると、中年の女性深々と頭を下げて謝られた。

横には、涙を流したガキが立っていた。

泣いている理由は、怒られたからじゃない。

あのダミーには、目潰し用の薬が入っていて、開けるとその粉が噴き上がる仕掛施されている。

そして、それを浴びたガキは、それはそれは大泣きしたらしい。


「私の盗られたのは、スリ対策のダミーだったが、それをこのガキが持ってるってことは、ガキがスリをしてるってことだろ?」

「それは…」

「あんた、ガキにしっかり教育してるか?放任主義じゃあ、ろくな大人にならないぞ?」


私が、孤児院の先生に怒っている姿を、ガキ共にしっかり見せつける。

これで、スリをすると先生に迷惑がかかることがわかってもらえるといいんだけど…


「取り敢えず、今日は何もしないでおくが、二度目があれば私達がガキにしっかり教育するからな?」

「それだけは!!」

「だったら、ちゃんとした教育をしとけよ!!」


私は、若干魔力を持たせて怒鳴りつける。

そして、女性の額を突いて、


「孤児がこんなことをするのは、ここでしっかり教育出来てないからだろ。それか、ここでの生活に不満があるんだよ。」

「…」

「せめて、教育くらいはしっかりしとけよ?」


私は、それだけ言ってその場を離れた。

しかし、サフィーは残り、それを見たリン姉も遠くでサフィーを見守ることにしたらしい。


「どうしたのサフィー。」

「少し、話したいことがあるので先に行っててください。」

「そう…じゃあ先に行ってるね?」


私は、そう言うとその場を離れる…ふりをした。

その場を離れると、屋根の上に乗りゆく末を見届けることにした。


「そのガキは、初犯ですか?」

「いえ…違います。」


となると、やはり常習犯か…

すると、サフィーが女性に近づいて、平手打ちをした。


「姉様は優しいのでこんなことしませんけど、私違いますよ?」


女性の前見を掴み、覗き込むようにしてにらみつける。

すると、女性は顔を真っ青にして、ぷるぷると震えした。

そんな女性を、サフィー殴り飛ばす。


「しっかりとガキに教育をさしておくことね。」

「…」

「返事は?」

「はい…うっ!?」


俯いた女性の顔にアッパーをしたサフィーは、満足したのか踵を返して歩き出した。

流石サフィー。既にボロボロの人に追い打ちをかけていくスタイル。


「もう満足?」

「はい。これで、ガキ共も少しはマシになるでしょう。」


あれだけすれば、あのガキ共もまともになるでしょ?

先生が、あんなことになったんだから、あれ以上迷惑はかけなくないだろうね。

これでよくならなかったら、ガキじゃなくて、クソガキだね。


「それじゃ、何処かでお昼ご飯でも食べましょう。」

「そうですね。じゃあ、屋台でも探しませんか?」

「屋台ね。色んなものがあって楽しいわよね〜」


私達は、屋台を探して街を回り始めた。


















「うん…これは、ハズレだったね。」

「屋台は、当たりハズレが激しいですからね。」

「美味しくも、不味くもない…一番反応に困るわね。」


他の屋台を当たろう。


「これも…いまいちね。」

「ですね…」

「他を当たりましょう。」


次の屋台


「二度あることは三度ある…」

「微妙ですね…」

「普通の店に行ったほうがいいわね。」

「ですね…」


結局、近くの店に寄ることにした。

しかし、


「店なんてないんだけど?」

「じゃあ、前のバーに行きましょう。あそこなら何かあるはず。」


『臨時休業』


「何があるの?」

「尽く外れてるわね…」

「普通に手持ちのパンでも食べませんか?」

「それか、ローカー商会の宿に行くか…」


それは、なんか嫌だな…

結局、手持ちパンに蜂蜜を塗って食べることになった。





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